貨物船へ
カリブ王国 セントラル港 時刻22:30
「お待ちしておりました。どうぞよろしくお願い申し上げます。」
依頼主がロドスに言った。
「こちらこそ、どうぞよろしく。では早速向かうとしましょうか。」
ロドスは依頼主にあいさつした。
「でわでわ、こちらでございます。ぞうぞお二方もこちらへ。」
依頼主は、貨物船の船内へロドスたちを誘導する。
「なんだか変な船ですね・・・。」
歩きながら船内を観察するエルが言った。
「確かになんだか貨物船にしては内装がきらびやかすぎる気がするわ。」
ソフィが同調する。
船内はシャンデリアやカーペット、食堂の食器などはすべて銀食器で高級感あふれるつくりをしていてとても貨物船の内装とは思えない。
「二人とも失礼だぞ!私語は慎め。」
ロドスが言った。
「いえいえ、お気になさらず。この船はかつて、御要人専用の船として作られ、実際に使っていたものを老朽化に伴い売りに出されたものを我々が安く購入いたしたものです。そのため、外見は貨物船ですが装備はそこらへんの戦艦などより充実しており、貨物を安全かつ迅速に運ぶことが可能です。」
依頼主はにこやかに説明した。
「すみません。うちの者のために説明までしていただきありがとうございます。」
ロドスは謝罪した。
「お安い御用でございます。着きました。こちらが、ロドス様たちの護衛対象である倉庫でございます。」
依頼主の示す先には厳重な鍵がかけられた巨大な扉が現れた。
「こ、これは、ずいぶん厳重な扉ですな。」
ロドスは驚いた。
「僕たちの出る幕はなさそうですね。」
エルが言った。
「右に同じ。」
ソフィが言った。
「なかの貨物が何なのかはお教えすることは出来ませんが、それなりの物が入っております。そのため、においを嗅ぎ付けたならずもの、または凶暴なモンスターなど数々のリスクが伴います。この船の完全性、安全性を考慮し、クエストレベルはライトに設定させては頂きましたが、何が起こるかわかりませんのでお仕事のほうよろしくお願い申し上げます。」
依頼主が頭を下げる。
「了解いたしました。西の港に着く間我々が責任を持って護衛いたします。」
ロドスが言った。
「では私はこれで・・・。御用がありましたら、皆様の船室の通信システムをご利用ください。私は、中央監視室におりますので。」
依頼主はそう言い残すとその場を後にした。
「ロドス隊長、今回のクエストやっぱり、僕たちでなくても行けたのでは?」
アルが疑問のまなざしでロドスを見た。
「集中しろ!!良いか今はクエストの最中だ。」
ロドスの顔は真剣そのものである。
「エル、ロドス隊長の言うとおり・・・、集中。」
ソフィが言った。
「へ~い。」
エルは気のない返事をした。
貨物船はセントラルの港を出発し、西の港へと航路を取った。雲一つ無く、満点の星空。
時刻は23:00になろうとしていた。
夜の暗闇の中、貨物船と同時に小さな漁船のような船が貨物船をつけるように港を出る。
甲板に男が見える。
「船は出向した。これより作戦を開始する。」
顔に刀傷のついた見覚えのある男が通信機に向かって言った。酒場にいた物騒な男である。
「本当に来るとは・・・。面白くなってきやがった!!良いねぇ~、こりゃまた血が見れそうだ・・・。泣きっ面が目に浮かぶぜ・・・・・・・・なあ、マリアス。」
ロドスたちはまだこれから起こる出来事に気づいていない。