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Milie's  作者: 電気屋さん
4/11

ギルド

 カリブ王国 

首都セントラル  ギルド・セントラル支部





「今回のクエストは、ランク ライトだ。モンスターから貨物船の荷物を護ると言う、なんとも味気ないクエストだが、それでもクエストはクエスト・・・、気を引き締めていくように。」


 ひげつらの大男が、ホワイトボードに今回の任務の説明書きを指さしながら言った。男の向かいには、6畳ほどの部屋に2人ポツンと机に座っている。





「何か質問はあるか?」


大男が言った。





「はい。一つよろしいですかロドス隊長。」


 大男に小柄で気の弱そうな男が恐る恐る手を上げる。





「なんだエル、言ってみろ。」


ロドスと呼ばれた大男が言った。





「モ、モンスターが出るんですか?」


エルはぼそぼそっと質問する。





「むむむ、エル・・・、お前は毎回毎回当たり前のことを聞くんじゃない。」


ロドスは頭を抱え呆れ顔をした。エルは縮こまった。





「他には?ソフィは何かあるか。」


ロドスはもう一人のスレンダーで髪の色はシルバー、表情もとても穏やかでまさに可愛いと言える女性に問いかけた。





「いえ。私は別に・・・。」


ソフィは無表情で答えた。





「そうか・・・、では準備ができ次第依頼主のところへ行くとしよう。」


ロドスはホワイトボードの文字を消し始めた。するとエルが再び質問する。





「ロドス隊長。もう一つ質問が・・・。」





「なんだ!また変な質問したらお前だけモンスターの餌にするからな!」


ロドスは少しイラっと来たようだ。





「今回の任務何か不自然な気がしてならないのですが・・・、なぜ我々がこのような雑用のようなクエストに就くのでしょうか?それに目的地である西の港を通るルートに、過去にモンスターが現れたと言う例は未だに報告されていません。」


エルは先ほどの質問はこれが言いたかったのだというかのように今回ははきはきと言った。





「西の航路に出現例なし?そいつは初耳だ。」


ロドスが真剣な顔になった。





「はい。一度も確認されていません。」


エルが言った。





「確かにそんな安全航路に護衛だなんて、不自然ね。」


ソフィが後に続いて言った。





「確かにそれが、本当だとすると不自然だな。言いたいことは了解した。そのあたりは上とちょっと話をしてみる。だがしかし、クエストはクエスト・・・、ランク ライトだからとなめてかからないように。ミーティングを終了する。」


ロドスは二人の意見を聞き入れミーティングを終了した。





「なあソフィ。」


エルがミーティングルームの扉を開け外へ出る際にソフィに振り向く。





「何?」


ソフィが言った。





「なんだか嫌な予感がするんだ。西の港は僕の故郷でもあるし、年に2,3回帰郷するけどモンスターなんて一度も出現したことなんてなかった。」


エルはソフィと話しながら扉を出て廊下を歩きだした。





「そうね。確かに不自然ではあるわ。」


ソフィは相変らず無表情で答えた。





「それにランク ライト・・・。僕たちのランクは ヘビーだ。僕たちが出向くにしては少し戦力が多すぎる。」


エルの言葉に力が入る。





「でもクエストはクエストよ。私たちにはそれだけ。」


ソフィの表情が心なしか悲しい表情になった気がした。





「確かにそうだけど・・・。まあ現場で確認すればいいか・・・。じゃあまた。」


エルはそんなソフィに疑問を投げかけるのは、気が進まないらしく話を終えた。





「エル、集合時間は午後22:00よ。今日は遅れないで、前回は5分の遅刻。」


ソフィは自分の寮部屋へ戻ろうとするエルに言った。





「あははは、了解。」


エルは自分が相当信用されていないことを改めて思い知らされた。





























セントラル 酒場





「例の話本当か?」


顔に刀傷をつけた物騒な男が向かいに座るサングラスにスーツの男に向かって言った。





「ええ。ご期待に添える報酬をご用意させていただきました。ここに1000万の小切手があります。」


スーツの男が言った。





「成程・・・、面白れぇ!その話乗った。だがリスクが高い。その報酬にさらに500万だ!!」


物騒な男は酒を飲み干しながら陽気に言った。





「良いでしょう。では500万は今回の仕事が成功した時にお渡しします。まさかとは思いますがエスケープをされたら、こちらといたしましても探しようがありませんから。」


スーツの男は言った。





「かまわねぇ。お前らが何の目的でこんなことするかなんて知ったこっちゃねぇが、こりゃあまたホントに世界が面白れぇことになりそうだ。ふはははははは。」


物騒な男は笑いながら小切手を握りしめ、席を立ち酒場を後にした。





「ええ、その通り・・・。世界は再び変わる。」


スーツの男は不敵な笑みを浮かべた。


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