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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
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プロポーズの日

作者: ぶる
掲載日:2026/06/09

六月の第一日曜日はプロポーズの日だそうで。

 付き合って一年目、ベタだけどプロポーズの日にプロポーズをした。

 秒で断られた。

 五月二十日に付き合いはじめて六月にプロポーズはいくらなんでも早すぎたらしい。

 二年目の六月はじめの日曜日。

 指輪を買って再度プロポーズした。

 一年経ったし、そろそろ頃合いだろうとスーツも新調して跪いたけれどやっぱり断られた。

 法的にちゃんと夫夫になれるわけではないし、養子縁組なんかしたらお前が俺の苗字になるわけで、画数が悪くなるから幸せを逃すとかどうとか心底どうでもいい理由だった。

 指輪はクローゼットの奥に封印した。

 三年目の六月はじめの日曜日。

 オレは今年三十歳になるからお祝いにあんたをくれとプロポーズした。せっかくのお祝いがこんな使い古しじゃダメだとか言うから大喧嘩になった。

 オレの大事なひとをそんなふうに言うなんて。その日、喧嘩のあとは口を利かなかった。でも、彼の部屋で一緒に眠った。

 次の日は月曜日だったのに。

 四年目の六月はじめの日曜日。

 もう一緒にいられればなんでもいいやって気になっていたけど、こうなりゃ意地だとやっぱりプロポーズした。

 いつ死ぬかわかんない俺と結婚してどうすんだよ?って断られた。健康診断でちょっと血圧が高かっただけなのに。毎日オレの作ったご飯食べてればそんなのすぐに下がるよ。

 まだ、一緒に住んでくれないの?

 五年目の六月はじめの日曜日。

 どうせ今年も断られるんだろうな、あーあ。気の長いオレでもさすがに焦れてきた。

 ずっと一緒にいようね。

 うん。

 それだけでいい、口約束で構わない。

 彼のYESが聞きたいだけなんだ。



 それからも毎年毎年、オレは飽きもせずプロポーズの日にプロポーズをしている。

 もはや恒例行事だと言っていい。

 彼は相変わらず首を縦に振らないけど、そろそろ断る理由もなくなってきたんじゃないかな。

 知ってるんだからな。この日が来ると朝からずっとソワソワしてること。

 だから、今年もプロポーズしてやる。


 半ば強引にオレが転がり込んで一緒に暮らし始めて数年が経つ。

 彼は出て行けと一度も言わなかった。

 買い物に行くたびに揃いの茶碗やマグカップを買ってくる彼が愛おしかった。パジャマはお揃いに、カーテンとシーツはネイビーになった。

 オレが一番好きな色だ。





 十五年目の六月はじめの日曜日。

「今年はプロポーズするなよ」


 朝、彼はオレにそう言った。驚きを隠せずにいると、どうにか聞き取れるほどの小さな声でそっぽを向いてこう続けた。


「俺がするから」


 浮かれすぎたオレは、その日全く使い物にならなくて、色落ちのするデニムと白いシャツを一緒に洗濯してしまったし、昼に作ったパスタは茹ですぎてぐずぐずだった。


 昼過ぎから出かけていた彼が夕方に特大の薔薇の花束を抱えて帰ってきた。

 彼のプロポーズのセリフは誰にも教えない。

 オレだけのモンだ。

 緊張した面持ちの彼のプロポーズにかなり食い気味にYESYESYES!と返事をしたら、一世一代だったのに!ってめちゃくちゃ怒られた。

 許してよ、十五年も待ったんだ。



 その日の夜、ベッドの中で彼は……いや、オレの愛しのダーリンは照れくさそうに呟いた。


「俺からプロポーズしたいって、本当はずっと思ってたんだ」


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― 新着の感想 ―
大ハッピーありがとう!ありがとう!ありがとうございます♪♪♪ 次は墓石♡買っちゃいそう(^。^)
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