降伏
「曹操、よく来たな。」
俺は城を開城して城門前で曹操を待っていた。
「陳宮、久しぶりだな。」
曹操は嬉しそうに声をかけてくる。
「曹操、我が殿は?」
「見事な最後だった。天下の猛将とは奴の事を言うのだろう。」
「ありがたい、お前の口から出た言葉だ、殿の名誉は天下に届くだろう。」
俺は曹操に頭を下げる。
「陳宮、俺の配下になれ。」
「・・・条件がある。」
「なに?お前が降るとは少し意外だが配下になるなら条件ぐらい呑んでもよい。」
「殿の・・・呂布様のご家族の身の安全を保証してほしい。」
「呂布の家族か?」
「そうだ。」
「たしか、娘がいたな、たしか歳は13歳だったか?」
曹操の瞳に色欲が宿るのを見た、この男は昔から女にだらしないのだ。
「その娘は俺の妻だ、手を出すなら配下にはならん。」
「はぁ?お前が呂布の娘を娶っただと!」
曹操は驚きの表情を見せる。
「そうだ、呂布様からちゃんと許可を貰って娶った。
さあどうする曹操!」
「ぐぬぬ・・・致し方あるまい、ただしお前の働き次第だからな!」
曹操は少し悔しそうにしながらも俺の主張を受け入れてくれる。
「ありがたい、感謝する。」
「早速働いてもらうぞ、城外で様子を見ている張遼、高順を降らせろ。」
「わかった、俺が使者として出向く。」
「呂布の家族は置いていけ。
お前を信用しない訳ではないが、周りに配慮する必要があるからな。」
「わかった、すぐに向かうが・・・
手を出すなよ。」
「約束は守る、お前が敵に回ると面倒くさいしな。」
俺は曹操の言葉を信じ、城外に陣を張る、張遼、高順の両者に会いに向かう。
「呂布様が亡くなられただと!」
張遼、高順、両者は信じられないようだった。
「確かな話だ、残念ながら殿は・・・」
「陳宮!それならば何故お前はここにいる!
命惜しさに曹操に降ったのではあるまいな!」
高順は俺を睨むように見ながら厳しい声を上げる。
「殿にご家族を任された・・・」
「なに!それを理由に降ったのか!
お前は恥ずかしくないのか!」
高順にとって降伏などありえない選択肢だった、女子供の為に降るなど漢として考えられない愚挙だったのだ。
「他にどうしろと言うんだ!殿の最期の御命令だぞ!どうやって断ればいいんだ!!
俺は殿と共に死にたかったさ!
だが、殿に希様を任され、殿の血筋を後世残すように言われたのだ!
俺は殿の命令を・・・」
俺の慟哭にも似た言葉に高順も言葉がでなくなる。
「俺はこの先、曹操から希様を守る為に手柄を上げなくてはならないのだ!
殿を討った曹操の為にだ!
高順、この苦しみがわかるか!」
「す、すまない。」
高順も俺の気持ちが解ったのか言葉が弱くなる。
「高順、張遼!話を聞かせた以上、二人共手伝ってもらうぞ!」
「「えっ?」」
「漢の涙を見たんだ、安易に死など選ばせてやるか!お前らも俺に付き合え!」
「いや、俺は曹操になど降れぬ。」
高順は降伏する気が無いのだか。
「己の誇りの為に殿の御命令を無視するつもりか!忠義の士なら殿の願いを叶えるために死力を尽くすものではないのか!」
「そ、それは・・・」
「今曹操から出ている命令は二人の降伏だ!
高順、張遼、お前たちが降らねば希様が辱めを受けるハメになりかねんのだ、お前達はそれでいいのか!」
俺の言葉に張遼と高順両者も反論しづらいのだった。
「異論が無いのならこのままこい!」
俺は無理矢理二人を降伏させるのだった・・・




