下邳へ
下邳に向かった夏侯惇は少し笑っていた。
「夏侯惇将軍、如何にしましたか?」
共に来ていた徐晃が気になり声をかけてくる。
「徐晃か、なに、小さい頃から知っているオテンバ娘が女の顔をしていたのだ、まだ子供とばかり思っていたが女の成長は早いものだな。」
「曹清様ですか、しかし、小沛に置いて来てよかったんですかね?」
「無粋な真似は出来んよ、どうせ曹操も来るんだ、娘の行状をたしなめるは親の仕事だ。」
「なんで陳宮なんてオッサンがいいんですかね?言っちゃ悪いですが、見た目だって、その・・・」
「ブサイクだな。」
「いやそこまでじゃないと思いますがね。」
徐晃はあっさりと答えると夏侯惇に少しワタワタしてた。
「曹清が覚えているか知らないが、昔陳宮が曹操の元にいたときに命を助けられているんだ。」
「命をですか?それは私が聞いてもいい事でしょうか?」
「別段問題はない、隠している話でもないからな。
そうだなあれは俺達がやっと本拠地を得た頃、まだ幼い曹清は曹嵩様の預けられていたんだが。」
「曹嵩様と言えば・・・」
曹操の父である曹嵩はかつて戦乱をさけ、琅邪に避難していたのだが、曹操が兗州に地盤を得た際に呼び寄せたのだが、賊に襲われ亡くなっていた。
これを引き金に徐州での大虐殺と繋がる大事件となった事は当時曹操軍にいなかった徐晃も知ることであった。
「そうだ、そして曹清もその場にいて賊に襲われていたんだ。」
「えっ、よく無事に生きておいででしたね。」
「曹嵩様が機転を効かせたのだろう、馬車に追いつかれる前に、一人の侍女と共に曹清を森の茂みに隠したのだ。」
「森の中にですか?」
「狙われていたのは馬車にあった財宝と曹嵩様だったようだからな。
ご自身を囮になされ幼かった曹清を助けたのだろう。」
「そうでしたか。」
「そして、俺達が現場についた時にいち早く曹清の姿が無いことに気づき、森から見つけて来たのが陳宮というわけだ。」
「覚えておいでなのでしょうか?」
「わからん、まだ幼かったからな。
だが陳宮への慕い方をみるに頭で覚えていなくとも身体が覚えているのではないか?」
「へぇ、そんなもんなんですかねぇ。」
「まあ、色恋より、俺達は目の前の戦だな。」
下邳の城が近付いて来ていた。
「了解です、すぐに隊に戻ります。」
「おう、相手は関羽という話だ、油断するなよ。」
徐晃は自分の隊に戻っていく。
夏侯惇は部隊を配し、下邳を包囲しようとするが・・・
「おかしい、城に動きが無いな。」
城に旗がなく、城壁にも兵士の姿が見えない。
「城に使者を出せ、既にもぬけの殻かもしれん。」
夏侯惇が使者を出すが既に劉備軍の姿はなく、住人の代表が残るばかりであった。




