日常
お待たせ致しました。
「言いがかりかぁ?発想も貧相なんだなぁ」
何を言われようと構わない。俺の金を注ぎ込んで買った食料は必ず取り返す。
お前達のような性根の腐──ったカ──ス共に──
「はぁ……はぁ……」
「先生〜、助けてください」
「おい、なにしてる!」
「……なんでもないですよ」
俺の唐揚げ丼が貪り食われているっ!俺の血となり肉となるはずだったものが……。
俺の印象が言いがかりを付ける奴として定着してしまった。
先公に目を付けられてしまう。奴等も人間だからな。
気に入らない奴はテストがどれだけ良くても5は取れなくしてくる。
陰湿な手を取るじゃあないか?絶対に後悔させてやる。
お前達のようなカスには屈しない……!!
「気を付け、礼」
「「「さようなら」」」
お腹空いた……もうお金もない。早く帰って飯を貪り食わないと死んでしまう。
体が震えがてきている。
『次は──』
「……」
お腹減った……寝ないと。寝て夜まで耐え抜いてなんとか明日を迎えて
どこかに料理を貪りに行かなければ……。
「……ただいま」
挨拶もそこそこに手を洗い、制服を畳み、ASMRで無理やり睡眠を取る体制に入る。
この落ち──着く音──が──
「ふぁ……」
ご飯の匂いがする。食べて風呂入って寝よう。
そして明日は彼女に合う前にどこかに出掛けて美味しいものを買うんだ。
それでその美味しい物を彼女に振る舞って喜ぶ表情を来週の燃料にするんだ。
俺は絶対にあんなカス共には屈しない。
「はぐっ、むぐっ……んぐっ……んーっ、んーっ、むぐむぐむぐ」
「……」
目の前で変な顔を晒しているのがいるが、そんなものを気にしている余裕はない。
なるべく早く栄養を採らなきゃいけない。
早く、正確に、口に入れたものを噛み砕き一気に飲み込む。
詰まったときはお茶で流し込み、次のお茶を補充する。完璧だ。
「ふぅ……」
夕飯が終わった後、手早く風呂を済ませ、ASMRを聞き、寝に入る体制に入る。
あんまりバ──リエーシ──ョンな──
「ふぁ……」
朝日が眩しい。今日は休日!彼女に会える日だ!
手早く顔を洗って飯をむさぼり食い、寝癖を直す。
「今日遊びに行くから」
「え?」
暗い赤の上とだいぶ暗い紺のジーンズっぽい伸縮素材を合わせる。
コートを羽織って財布を持ち、外に出る。
『次は〜、鴨居──』
よし、着いた!ららぽーと!!ちょっと遠出したけど、その分いいお土産が買える。
あいつらとも合わないだろうし。
それに、今日は彼女に会うことに1日をフルに使う事が出来る。
多少時間が前後しても大したことはない。
「中々美味しそうな物が買えたのでは?お昼も買っていこう。どれにしようかなぁ〜」
突如、俺の後ろで轟音が鳴り響いた。いっったっ……!
ガラスの破片?なんだ?誰か落ちたのか?
「ァア……コロス……ホロボス……ドレダ」
青黒いネトネトとした何かに覆われた人型の物体が立ち上がっている。
ペチペチ音を立てながら、客の頭を掴んでいる。
こんなものとは関わらないのが一番だ。逃げよう。
ゆっくりと奴の場面からフェードアウトするように駐車場へと繋がる道n──
「っ!!」
な、何故こちらを見た!逃げようとするのが分かったとでもいうのか!?
さっきまで逆側を見ていたのに何故こっちを見t
「ヒッ!!」
結構早いっ……!!この速さで来られたら逃げ切れないっ!
どこかに武器になるものでもないか?
はっ!化粧品店ッ‼絶対あるはずだ。あった!アイライナーッ!!
これを外してっ!こうっ!
「おらぁぁぁあぁぁあ」
「ゴォッ……ドコダ……ドコダ……」
アイライナーが眼球らしき場所に命中したっ!怯んでいるっ!
あそこが急所であることは間違いない……!!
今のうちに逃、げっ!復帰が早過ぎるっ!
いや違う、復帰などしていない。それなのに的確にこちらに向かってきているっ!
なにか鈍器のようなものは無いか?鈍器でなくてもいい!
武器になりそうなものならなんでもいい!どこかに……。
「ウツワ……オマエハウツワ……」
「も、もが……」
頭を掴まれたっ!頭が開いて何かが出て来ているっ!
こんな所で死んでたまるかっ!彼女に会う前にっ!死ぬ訳にはいかないっ!!
「クウ……クッテコロシテホロボス」
「んがぁあぁぁ!!はぁ……はぁ……」
奴の体に蹴りと拳を打ち込んだら腕が外れた。
強そうなのは見た目だけか。こいつ、異様に勘が鋭い以外は大した事ないぞ。
なら……まだ勝てる。勘に頼る人間なんて2年前まで散々相手をしてきた。
武道場の狭い正方形の中でな!
こういう勘が鋭いやつは……2段3段の攻撃にまで対応できない!!
それでも包丁売り場まで走る余裕はない。
なら……そこら辺にあるもので隙を作るしかない。
周りは……ドーナツ屋の油……ジュエリー店の指輪……消化器……水道管……。
なんとかするしかない。マウントポジションなんて取られたら今度こそ死んでしまう。
「おらぁ!!」
「グヌォ……」
奴に消化器の線を噴射に固定し投げつけ、煙幕をばら撒く。
これで時間稼ぎをしつつ、ジュエリー店に向かう。
「あった……!!緊急避難だから!仕方ないよねっ!!」
ジュエリー店に飾られたマグネシウムで出来た指輪を出来るだけかき集める。
警報を背にドーナツ屋へ。
そして、運良く揚げたままになっていた油を使い、マグネシウムを抽出……
水をいくつかの容器にためて油を放置。
「こっちだ!」
「ヌォオォ……」
やっぱり見えてないっ!!
消化器と化粧品のダブルコンボなんてくらって目が見えるわけない!
「ムッ……」
気付いたか……だが、突っ込んできている時点で手遅れだ。
地面には油が撒いてある。数mで勢いを殺せるわけがない。
俺の声に呼び寄せられるように突っ込んで来たのを躱す。
そして、油に突っ込む形となった奴に向かって、水をぶち撒けた。
マグネシウム入りの燃え盛る水と放置し続けた高温の油
それにより蒸発した水の爆発……頼む!死んでくれ!!
「う、うわぁぁあぁぁあ!!」
「ゴォォオォォオォオ、クウ……クウ!!」
くっそ、悲鳴あげちまった。だが、突っ込んでは来ない。
まだ手はある。
さっき予備の油をたっぷり染み込ませた服を店内にぶち込めば……
「ガァアァァァア!!ニクイ……ニクイ……!ニクイィィィイ!!」
「はぁ……はぁ……」
か、勝った……助かった。彼女に会えるんだ……足が動かない。
ははは……緊張の糸が切れて動けなくなったのかな。
まぁいいや……。ここに居てももう命が脅かさ──れるこ──とはない──
新しい月(章)が始まりました。




