白露
「そう、良かった。みなまで言わなくても分かってるよ、恋人がなんなのか。分かったからなりたいんだから。恋人になったらあなたとだけ喋って、あなたとだけキスして、あなたとだけイチャイチャして、あなたとだけ交尾するんでしょ?あなたも私とだけそういうことしてくれるようになるんだよね?あなたがそうしたいと思ってくれてたから交尾は恋人になってからなんて言ったんだよね?それが分かったときは凄く嬉しかった……最初にあった時からあなたは私と同じように寂しい人なんだなって思ってたしあなたと会話してる時が1番楽しかった。私が心を通じ合わせたのはあなたがはじめて。ここに来る前までは楽しい事なんて何もなかったんだ。そんな私がこんなに幸せなのはあなたのおかげなんだ。知ってた?そんなわけないか。言ってないもんね。でももう分かったよね。私の思いは受け取ってもらったと思うんだけど、そろそろ返事してほしいな。どうしたの?何か悩む事でもある?あなたは私の事嫌い?そんなわけないよね。時間がある時はいつも私に会いに来てくれてるし、来れなくなる事をわざわざ私に伝えてるんだから。それに、いつもチラチラ私の体見てるよね?なんでわかったのか、なんて聞かないでね。あれだけ見てたら分かるよ。んーん、いいんだよ。私別に怒ってないから。好きな人に体見られるのが嫌な女なんているわけないじゃん。今まで断ってたときも本当は私と交尾したかったんでしょ?でもそんなんじゃ足りなかったんだよね。四六時中私を側に置いておきたいんでしょ?私もそうだよ。あなたが他の雌と交尾するなんて絶対に嫌。あなたと他人が楽しく会話してるのも嫌なのに、他の雌に愛想を振りまくなんて耐えられない。私あなたの持ちを知ってから気付いたんだ。私はあなたと一緒にいる時間以外なにもいらないって。あなたもそうでしょ?だから、私の恋人になって欲しい。あなたも私のこと好きでしょ?あぁ、ごめんね。まだ私の気持ちをはっきり伝えてなかったね。これじゃあ怖くて返事出来ないよね。私はあなたのことが好き。そろそろ返事聞かせてほしいな。あなたの気持ちは分かってるけど、あなたの口から聞きたいんだ」
あまりにも情報量が多すぎて内容が掴めない。だが、十分だ。
ただ、今俺が彼女に告白されその返事を求められているということ。
彼女が恋人について理解していること……これ以上、何が必要だというのか。
彼女が俺を好きになったのは偶然だ。状況が同じなら、別の誰かを好きになるだろう。
だが、今彼女の前に居るのは俺だ。俺なのだ。だから、言うことは一つだ。
「よろしくお願いします!!」
「……やっとやっと見つけた……ずっと見つからなかったものがようやく見つかった!!好き!好きなのっ!!大好きっ……!大好きなのっ!大好きっ!!あなたがっ!あなたが居ない生なんて耐えられないっ!!あなたの気持ちを知ったあの時からっ!あなたが居ない時間が苦しかったっ!好きっ!好き好き好きッ!!」
好意を告げる。これ程古今東西様々な創作物の中で表現されてきたものはないだろう。
だが、こんな鬼気迫る様子は知らない。助走をつけて抱き締めて
大粒の涙を流しながら、苦悶に満ちた表情を浮かべていた事があったろうか?
……目の前の美女は今、この瞬間から、俺の恋人なんだ。
こんな幸福でいいのだろうか?いや、いいのだろう。彼女が幸せそうなのだから。
ようやく掴んだ幸福を逃すまいと、彼女を抱き返素力が強くなる。
「あなたに、私に名前を付けて欲しいの」
「なに、どういう……名前なんて誰m」
「個人を識別する為の呼び方はあるけど、それは名前じゃない」
「だから、君に付けてほしい。名前を呼ばれる度に大好きな君を思い出したい」
「そうか。なら……」
俺の呼び方が変わってる。彼女の事だから何か特別な意味があるんだろうな。
間違いなく何か俺の知らない意味が篭っているはず。
それにしても名前……名前か。
シロ……そんな犬みたいな名前を彼女に付ける訳にはいかない。
俺のネーミングセンスは最悪だ。何か手掛かりがないものか。出会った時を思い出せ!
出会ったのは9月初旬。残暑見舞いが終わる頃か。
この頃の時候の挨拶は確か、そう。白露の候……いい。白露。白露にしよう。
「よろしく、白露」
「っ!これから末永くよろしくね!奏!!」
「っは……!!」
彼女に名前を呼んでもらえるってこんなに素晴らしい事だったんだ。
世界がこんなにも美しくなれると、初めて知った。生まれてきて、よかった。
「お昼にしよっか」
「うん」
「今日は私達にとって記念すべき日だから、特別なものにしなきゃね」
「そうだね、楽しみに待ってるよ」
何がお出しされるんだろう。火が通ってれば何でも食べ……
いや、彼女が作ってくれた料理なら何であろうt──
次は1週間後です。




