表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アラクネと黒髪ボッチ(改作)  作者: 雷誅 萬刃
10月:終わり、そして
11/15

いちゃ、いちゃ

お待たせしました。


「……明日も明後日もその次の日も」

「ここに居て欲しい。いいでしょ?」

「……それは、凄く楽しそうだけど」

「なら……」

「でも、沢山迷惑を掛ける……」


 あのメンヘラも俺が居なくなれば流石に探すだろう。失踪届も出るはずだ。


 警察にやる気はないが、馬鹿じゃない。


 彼女が俺をここに留めてることくらいすぐに突き止めるだろう。


 警察が追い返されても最期には自衛隊が出てくるだろう。


 彼女が野生の熊並、あるいはそれ以上に強かったとしても


 現代兵器による飽和攻撃に勝てるとは思えない。


 彼女が死ぬなんて耐えられない。


 だから、彼女を隠し通す為にここを買えるくらいの金持ちにならないといけない。


 その為には、どれだけ辛く苦しくても学校に行き、金持ちにならないといけない。


「気が変わったらいつでも呼んで」

「その時は遠慮なく吹かせてもらうよ」

「うん……楽しみだなぁ」


 最後に彼女が何か言ったような気がしなくもない。


 空耳かな?いや、聞けばいいか。


「なにか言った?」

「何も言ってないよ。どうしたの?」

「いや、空耳だったみたい」

「ふふっ……もう」


 妖艶に微笑んで頬を手で撫でられた。今までとは全く違う。


 本能に訴えかけてくるというより絡め取られたような錯覚を覚えた。


「ご飯、食べるよね?」

「うん」

「ちゃんといいもの用意してるんだ〜」

「なんだと思う?」

「んー……」


 アラクネの料理か……何が出てくるんだろう。


 さっき食べさせられた物から考えれば消化液まみれのものは出ないと思うけど。


「じゃ~ん!どう?美味しそう?」

「これは、すごいね」

「猪の内蔵!いいのが取れたんだよね〜」

「へ、へぇ〜」


 なんか所々赤くない?そして白い筋、コレ寄生虫です。


 管理されて育った豚でも危険なのに野生の猪……今日が命日か。


 彼女からすればごちそうなんだろうけど、これは……流石に食べられない。


 もしかして、さっき食べたのこいつの筋肉か?筋肉なんだろうな。


 肉食獣は内臓から栄養を取るらしい。なら筋肉をごちそうだと認識はしないだろう。


 だから、特に盛り上げもせずに出したんだろう。俺の内蔵大丈夫かな?


「人間はね……生肉を食べると死ぬんだ」

「そうなの……!?」


 驚きのあまり彼女が机から身を乗り出している。


 机が割れている……どれだけ驚いたのか察するにあまりあるぜ。


 力加減が少し効かなくなったくらいでここまでの力が……?思ってるより強い?


「肉を食べたいなら、焼かなきゃいけない」

「特に内臓は」

「ごめんなさい……こんなの出しちゃって」

「一緒に焼こっか」

「……だ、大丈夫だよ。こっちでやるから」


 一緒にやろうと言ったその一瞬、彼女の表情が変わった。そう、悲壮感……か?


 何がそんなにまずかったんだろう。


「嫌だった?」

「そんなわけない。うん、一緒にやろっか」「これで焼こ。焼き加減見ててほしいな」

「わかった」

「よいしょ、っと」


 炉の前に居る彼女の隣に座ると、彼女が自然に身を預けてきた。


 彼女がこんな事をしたのは初めてかもしれない。


 目に見えて意気消沈している。


 もてなそうと思ったのに躓いてペースを崩されたからかな?……気持ちは分かる。


「普段はこれ何に使ってるの?」

「部屋を暖める以外に使ってなかったかな」

「……なるほど」


 火は普通に使うのに調理という発想がないのか。


 肉を焼くという行為はあくまで肉を食べやすくする為の行為。


 焼かなくても寄生虫を抹殺したり食べれるなら焼こうとはしないか。


「もうそろそろいいんじゃないかな?」

「肉を焼いて食べたことがあるんだけど」

「美味しかった?」

「これくらいの焼き加減で食べたら、翌日」

「トイレから出れなかった」


 向日葵のような笑顔が一瞬で虚無顔になった。これは俺が悪いかも。


 食事に関して嘘を吐くのは良くないけど気を遣うべきだった。


「これくらいで大丈夫かな」

「うん、いけそう」

「並べちゃうね」


 彼女が本当に肉食ならお菓子なんて食べて無事で済むはずがない。


 お菓子なんて純粋な肉食獣に消化出来るものじゃない。


 もし肉食だったら今頃便意を催した彼女によって森の肥やしが増えているはず。


 そうじゃないってことは彼女が雑食だってことだ。


「モグモグ……人間は大変だね。モグモグ」

「まぁね……食べてる」

「どうかしたの?モグモグ」

「いや、俺も最近はこんなもんだったか」


 唐突に食べ始めたのに一瞬びっくりしたが最近は食前の挨拶なんてしてなかった。


「いただきます」

「なにしてるの?モグモグ」

「食前の挨拶。余裕がある時はやってるよ」

「そうなんだ。……私もやってみようかな」


 シュークリームを食べた時のような顔で内臓を食い千切ってる。


 この顔と内臓の組み合わせなのにエレガントだな……。


「はふっ……熱っ!熱っ!」

「おっと、危なかったね。はい、あ〜ん」

「ん!?」


 彼女が俺が口の中から吐き出してしまった内臓を取ったのは分かる。


 何をしたのかは分かる。だが、彼女の手が見えなかった。


 素早い動作なら変な見え方をするものだが、彼女のは次元が違う。


 手元で手がほんの一瞬揺らいだ直後、俺が食べそびれた内臓を掴んでいた。は?


「やっぱ内臓は柔らかくて美味しい〜」

「……内臓って美味しかったんだ」


 彼女はそう言って内臓をあっという間に食べ尽くしてしまった。


 結構があったのに一分も経ってない……。早過ぎない?


 早食い選手でもこれだけの量を一分以内で食べ切るのは難しいはず。


 彼女には牙もないのにどうやった……?


「そろそろ次取っていいかな?」

「あ〜……いいんじゃ──はふっはふっ」

「モグモグ……これも中々」

「残しといt──っぎ!」


 唇噛んだっ!血の味がするっ!これ結構盛大に行ってるっ!


 人間の噛む力っ、侮れないなっ!!くっそ、マジで痛い。


「モグモグ……」

「!?早くない?」

「早く食べた方がいいよ?なくならないうちにね」

「そうだね。はふっはふっ!」


 彼女が口をリスのよう膨らませている。かわいすぎて癒しの波動すら感じる。


 精神ダメージが回復していく気がする……!!

焼きたての内臓おいしい。


 肉の旨味だけでもこんなに食べられるなんて。今度タレなし焼肉やってみようなな。


「美味しかった〜。ありがとう」

「どういたしまして」

「ふふ。ほら、こっち来て。そうそう……よしよし」


 隣に座った瞬間、鋏角と太腿の境目のような部位に頭を載せられ、撫でられる。


 もしかして、膝枕?膝枕だ。不思議だ。外骨格のはずなのに柔らかくて暖かい。


 聖母のような微笑みを浮かべて頭を撫でている。ママ……。


「縺ュ繧薙?繧薙%繧阪j繧縺翫%繧阪j繧蝮翫d縺ッ濶ッ縺?ュ舌□縺薙%縺ォ縺?↑」

「ん……ふぁ──」

「ふふ……蝮翫d縺ョ縺雁ョ医j縺ッ縺ゥ縺薙∈縺?◆縺ゅ?螻ア雜翫∴縺ヲ蜃コ縺ヲ縺?▲縺縺ュ繧薙?繧薙%繧阪j繧縺翫%繧阪j──」


 彼女の口から音の羅列が発されている。意味が分からずとも、


 心が落ち着く調べを聞いていると、段々瞼が降──りて──



次は1週間後です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ