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ダイニングメッセージ

作者: 西禄屋斗

「うーん……痛たたたた……」


 二日酔いで重たくなった頭を右手で押さえながらダイニングへ向かうと、テーブルの上には簡単な朝食が用意されていた。


 まだ温かいハムエッグと新鮮な生野菜サラダ、おまけにコーヒーもエスプレッソマシンで出来上がったばかりというタイミングで、目覚めを促すようないい香りが鼻腔をくすぐる。あとはトーストでも焼けばいいだけだ。


 それらに加えて、手書きのメッセージも添えられていた。





『 おはよう、由梨。


  昨日は随分と遅かったようだね。

  由梨にも付き合いがあるから仕方ないけど、あまりお酒は飲み過ぎないで。

  今日も仕事でしょ。

  着替えずに寝てしまうのはだらしないし、風邪をひいてしまうよ。

  酔い潰れた君をベッドまで運び、

  パジャマに着替えさせるのは大変だったんだから。

  とにかく、いつも朝食抜きの由梨のため、簡単なものを作っておきました。

  ちゃんと食べてから出掛けるように。


  タカシ 』





 ダイニングテーブルに残されたメッセージを読み終えると、私は心臓に動悸を覚え、小走りで玄関に向かった。


 昨夜、帰宅したときに脱ぎっぱなしで放置されたハイヒールが綺麗に揃えられているではないか。チェーンロックこそ外れているものの、ドア自体には鍵がかかっている。


 部屋中の窓もすべて確認してみたが、施錠はしっかりされていた。現在いま、部屋の中にいるのは私一人だけ。


「いったい、どうやって……!?」


 私は思わず上げそうになった悲鳴を呑み込んだ。全身が怖気立ち、震えが止まらなくなる。


 タカシと名乗る見ず知らずの人物が残していったメッセージを握りしめながら、昨晩、何者かに侵入されたらしい自宅で、独り暮らしの私は恐怖に怯えてへたり込んでしまった。

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