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本日の樽生ラインナップ

今日の麦生は何人目?もう一軒!

作者: 元毛玉
掲載日:2025/01/31

俺の名は、樽酒たるざか 麦生むぎお


いつものように餃子ちゃおこと飲み終えたところ。

今日は気分的にもう一軒。

できれば新しいお店を開拓してみたい。

そんなフロンティアスピリット。


俺は未だに冒険者で行ける。

酩酊してフワフワな今は、さながら宇宙旅行。

どこにだって行ける。


財布の中身を確認しないまま、くぐる新しい暖簾。


「らっしゃいませー!おひとり様ごあんなーい」

「元気がいいな」


席へ案内してくれたのは、手場てば 沙紀さき

やたらベタベタとスキンシップをしてくる。

暖簾や提灯のお店と、異なる雰囲気に困惑する。


「ここはピンクなお店なのか?」


俺が今、世界で一番気になる事は財布。

その中身が心許ない。どうしても視線が向く。

しかし、それを制する沙紀。


「大丈夫。私だけがべたつく女だから」

「じ、自分で言うのか?」

「はい、おしぼり。これで安心でしょ?」


差し出される熱々のおしぼり。

顔を拭いたい衝動には抗えない。


「うっわ昭和。それにおっさん。歳幾つ?」

「沙紀は結構……辛口なんだな」


頬を赤く染める沙紀は、まるで燃える唐辛子。

ヒリつく辛さが、次の俺を呼び続ける。


シュワ~~~~~


手に残るこのベタベタも、気付けば慣れる。

おしぼりもグラスも、皆がベタベタさ。


お通しも無しだが、これはこれで。

チャージ料金が無いのは有難い。


「ご指名と伺ったわ。さっぱりしたいでしょ?」

「あぁ、さっきまでベタベタが過ぎたからな」


妙齢の女性は、馬場ばば沙詩絵さしえ

年齢は分からないが、さっぱりして新鮮に思う。

歳は幾つかって?女性に聞くのは野暮だろ?


「私、元々は競技選手だったのよ」

「どうして辞めてここに?」

「骨折をして、予後不良と診断されたの」


玉葱や青葱、生姜。薬は多いが怪我は仕方ない。

俺もギネス記録に載るブラックなお勤め。

ヒューなガルデンへとホワイト転職を望む。


「大丈夫!麦生さんの未来は金色よ!」

「素敵なエールを贈ってくれてありがとう」


力強い思いはまるでサラブレッド。

二人は鼻差で交差する。


シュワ~~~~~


柔らかくもしっかりとした弾力。

何度も交わした口づけは、フレッシュ。

差し馬とはこのことだろう。


俺はいつの間にか5人目だ。

トップバッターのせいでペースが早い。


「こ、こんばんは!まだ卵だけどよろしくね!」

「人生、半熟が一番いいのさ」


まだ慣れていない彼女は、湯出ゆで 珠子たまこ

こういう場では珍しいが、冬はコンビニで見かける。

大根役者と人気を二分するスターの可能性。


「あたしね、いつかトップに立ちたいの!」


いつも二番手で、大根役者に勝てないのが悔しい。

そう語る珠子は、良く煮込まれたスターだろう。

とても未熟とは思えない。ちなみに漫画家でもない。


「白滝さんや筑和さんも強敵なの」

「茂地の欽さんもいるぜ?」


スターがひしめき合う地獄の窯と出汁の湯。

レジ横から漂う香りには惹かれてしまう。


シュワ~~~~~


未熟なんてとんでもない。彼女は完熟だ。

二番人気だろうが、俺は好きだ。


とはいえ彼女たちを一通りお試しで食べる。

みそは甘々、黄色はツンとする。それが真理。


「指名は貴方?私を安い女と思わないで」

「勿論、知った上での指名さ」


ぎゅう 賽子さいこ。本日の最高金額。

高騰し続ける彼女の進撃は止まらない。

少しは庶民に届くようになって欲しいと切に願う。


「君の香りは特に素敵だ。興味をそそる」

「貴方にこの違いが分かって?」

「添えられた瀬利さんも良いな」


ヘルプでついた 瀬利せりさん。

賽子が身に纏うバジルバターの香水含め好印象。

肉欲に溺れるとはこのことかも知れない。


「よだれが溢れてくるぜ」

「気軽に触れたら火傷するわよ?」


彼女たちの座るシートは鉄のように熱い。

俺は火傷を覚悟し、熱いままを貪る。


シュワ~~~~~


一口サイズの幸せ。それが何度も訪れる至福。

最後に瀬利さんを食べてしまう。飾りじゃない。


賽子の汁はいつまでも記憶に残る。

9人目の俺は、思い出してニヤニヤしていた。


「全く、だらしない顔をしおって……」

「あ、純センパイ!ちーーーっす!」


大先輩の、米田井よねだいじゅん

50%を切り捨てる、人生の猛者だ。

本醸造にあたる俺では、とても太刀打ちできない。


「日々研鑽しているか?」

「そんなに自分磨きできないっす!」


凄まじい自分磨き。先輩はその生き様そのもの。


シュワ~~~~~


今日は堪えた一方通行の逆走。

大先輩の前でレインボーは咲かせられないから。

だが、鼻に抜けてくるほのかな酸味だけは残る。


やはりチャンポンはダメだと再認識。

俺は二桁の大台に乗った。今日はハッスルしすぎか?


「ワタシ、最後で良かったアルか?」

「今日はプリップリな君を最後に楽しみたい」


彼女は恵比えび 千里ちり

赤い国の彼女は甘いが辛い。でも実は日本人。

そしてお肌はプリップリだ。


「ワタシ、餃子ちゃおこに負けたくナイね!」

「あぁ、君は本格的だ」

「ワタシ、テッペン獲るアルよ!」


何故日本人なのにカタコトなのか?

それは雰囲気やイメージが大切って事だ。


シュワ~~~~~


これが最後と汗だくになり頬張る。

既にベルトは解放済みだ。




明日の体重計にはモザイクが必要だな。

幸せの中、そんな現実逃避をしていた。

今日の麦生がまた1杯……。

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こういう新規開発できる人って、羨ましく感じてます。 最初は面白い名前かと思ったら、食べ物たちだった。 何か面白いやり取りで、一人で飲み食いしてても、賑やかなだなーって。こんなふうに心で話しながら食って…
今回のモザイク必須はレインボーじゃなくて体重計だった……w いや、レインボーを期待していた訳じゃないですけど! エビチリってそうだったんですね……中華料理だとばかり。勉強になりました。 ……やっぱ…
2025/09/15 17:54 退会済み
管理
あー。ダビスタ(SFC版)を軽く遊んだ身としては、予後不良って嫌な思い出しかない(;^_^A
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