第97話 ーー龍玉ーー
「また修行…やりたくない…」
僕は現在第3の世界の中にいる。もちろん僕だけでなくケルトさんもリュウガさんも一緒だ。いつの間にか僕に修行をつける約束をしていたケルトさんのせいで大変な目に遭う予感がする。
「ドラドラ!」
「『頑張って!』と言っておるぞ。そんなに俯かなくて良い。私とて手加減はするつもりだ」
「そういう問題じゃないです…」
「準備出来たなら始めようぜ。やり方はお前に任せる」
「それならまずは手の内を見せてもらいたい。出来る技を全て私に当ててみろ」
「平気ですか?痛いじゃ済まない技も…」
「そうだな。それなら首や心臓辺りは狙わないでくれ」
そういうことで全ての技を打つことに。
「歪め!」「ビーム!」「囲!」「召喚、〈スキュー〉!」
一通り出来る技を全て打った。相手を直接歪ませるのは腕にやったが案の定ぐちゃぐちゃした形に歪んだ。骨は潰れ肉に刺さり…捻れるようなものだから物凄い痛いはずなのにリュウガさんは顔色1つ変えなかった。
「はぁはぁはぁ…どうですか!」
「うーむそうだね〜。全体的にスピードがイマイチだね。発動までが遅い、ビームに関しては神力を込めるのに時間がかかっている。サモンに関してはどちらにせよ時間がある時しか出来ないしそれは気にせんで良い。相手を直接歪ませる技…首に当たったら一撃でお陀仏だな。だからこそ発動に時間がかかるのだろうけどそれなら使わなくて良い。不意打ちに使うのはありだろうがね」
「す、すごいアドバイス量です…ビームに込める神力ってどうやったら早く込めれるようになるんですか?」
「考えなければ良い。と言いたい所だが、簡単に出来るものじゃない」
「考えない?」
「君はどこまで行っても深く考える癖がある。相手の体格や熟練度でビームの威力をギリギリ死なないレベルにしようとする。数字で表すとな、相手の体力を予想してそれを超えないようビームに込める神力を100にしようか110にしようか迷うと言うことだ。どれだけ込めれば相手が死なないよう説得出来るか。そんな事は考えなくて良い。毎度100を込めれば良い。相手など関係なくな」
驚いた。そこまで分かるなんて。昔からケルトさんにも『深く考えすぎだ』って言われてきたけど、まさかまだ会って数時間の人に言われるとは。
「ほっほっほ。驚くのも無理はない。既に君の心の中は筒抜けだ」
(え?どゆ意味?心読んでるってこと?)
「そういうことだ。この龍玉の力によってや」
リュウガさんは後ろに隠していた丸い水晶のようなものを正面に持ってきて見せてくれる。中は濁っていて透明度はない。
「その、龍玉って何なんですか?」
「我々竜の一族が授かる玉だ。そうだな、魔法使いが使う杖と同じものだと思ってくれ。我々の中にある竜の力を使えるようになるんだ」
「竜の力…」
「その竜の力とやらに俺は負けたんだ。テレポートに防御。投げ技は吸い込まれるし近付いても口から炎出しやがるから不利だ。万能の力ってやつだな」
「確かにすごい万能です…良いな…」
((お前の能力も万能に近いけどな…))
龍玉はリュウガさんの持つ力を利用する為に必要らしい。ローディアで言う神器みたいなものだ。でも神器と違って割れたら治すことが出来ないから割ってしまえば勝ちなのでは?と思ってしまう。
「簡単には割れんよ。一応壊すことも出来なくはないんだがね。壊す為にはこの玉にあるツボを狙わなきゃ行けない。ちなみにほんの少しでもズレていたら壊す事は出来ないよ」
「つまりは弱点を突かれたら弱いけど弱点以外だったら無敵ってことですね!」
「そうさ。まぁ壊せる確率なんて1000万分の1ほどさ、はっはっは」←(フラグ)
万能の力…確かにそれだとケルトさんに勝てるのも納得だ。
「では少しだけ龍玉の力を見せてやろう」
「へ????」
ドカンと周りが爆発して吹っ飛んだ。壁が無かったから良いものの痛い…
「はっはっは。それでほんの一部の力だぞ?一瞬だったとはいえ対応出来なければな」
「ケホ……出来るわけないです…」
僕は黒い煙を吐き出しながらそう言う。今の音でケルトさんのそばにいたドラルが目を覚ましたのか何かを喋り出す。
「ドラドラ!」
「ん?どうしたのドラル?」
「『飛びたい』と言っているな」
「ドラドド!」
「ん?『イリウス君を乗せたい』?」
「流石に無理がありますね…」
「ドーラー!」
ドラルは駄々をこねはじめる。実に子供らしい。でも流石に手のひらサイズの竜に乗るなんてね…
「私の背中に乗るのはどうだろう。ドラルもそれなら良いんじゃないか?一緒に飛びたいと言う事だろうしな」
「お、良いじゃねーかそれ。俺も乗るー」
「大丈夫なんですか?ちなみに言うとそこまで広くないですよ…」
「充分広いではないか。今竜の姿に戻ろう」
リュウガさんは僕達を少し離れたところに誘導した後煙に包まれる。煙が晴れた時そこに居たのは紛れもないドラゴン。僕なんか比にならないくらい大きくて鱗1つと僕が同じくらいだ。
「すまないね。鱗が硬いから座ると痛くなってしまうかもしれない」
「大丈夫だ。困ったら俺におんぶをせがむだろうしな」
「ドッラ!」
リュウガさんが腕を使って僕らを背中に乗せてくれる。そしてそのまま空を羽ばたいた。
「すごいです!風がものすごいです!」
「自分で飛ぶのと違って気持ち良いな〜」
「ドラドラド〜」
羽のバサバサ言う音にビュンビュンと風を切る音。満点の青空を飛び回るのはすごく心地い…
「ぐえ!」
早かったが故にすぐハコニワの限界まで来てしまったみたいだ。リュウガさんは壁に体を打ちつけてその衝撃で僕達はみんな落ちてしまった。
「いやーすまないすまない。ついついUターンを忘れてしまった」
「いえ…大丈夫です…」
鱗に顔が当たり鼻血が出た。鼻血はケルトさんの血で治らないのか抑えていないと溢れてくる。
何はともあれやる事は全部やったしもう夕方だ。リュウガさんもドラルも帰る時間だ。
「修行も終わった事だし私達は帰らせていただこうかな」
「ド…」
「ドラル、大丈夫だよ。また会えるからね」
「ドラ…」
ドラルは寂しそうな顔でこっちを見ている。僕は手のひらに乗せて撫でる。もう捕まらないように気を付けさせないとな。
「イリウス君。本当にありがとう。我が子…ドラルを見つけてくれて、そして名付けてくれて。頭を下げても下げきれない。また是非ともお礼をさせてくれ」
「はい!いつでも大歓迎ですよ!それと僕に君付けはいらないです!」
「分かったイリウス。またドラルを連れてやってくる」
「ドラドラ〜!」
「ばいばーい!」
リュウガさんはツノとヒゲを隠し普通の獣人のような姿になって帰って行った。竜の世界…今度連れて行ってもらおうかな。
ーーーーーーーーーー次回予告ーーーーーーーーー
「…?何ですかこの光の玉…」
イリウスはとある朝、誰かの声で目を覚ますことになる。その声の主は正体も分からず何が目的かも分からない。一体何が?
僕…気付いてしまったんです。このサクヒンに必要なものが!
次回「ーーヒロインーー」
ちょっとでも先が気になる!おもしろい!と思いましたらブクマ、感想などしてもらうとモチベになりますm(__)m




