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第87話 ーー海と生きる者ーー

第77、78話を見ればこの作品の設定とかを見れるのでおすすめしておきます!

「うぶぶぶぶ……」


(ダメだ…手を離したは良いものの上に上がらない…息が…もう…)


 前回、僕は溺れてる人が見えたので助けに行ったらまさかの魚人だった。魚人は何で溺れてるフリをしたのか、何で僕を狙ったのか。何も分からないまま息が出来ず死にそうになっている。


「あの馬鹿!主!ここで待ってて下さい!」


(急いで行ったとて間に合うか!?いつからあそこに行ってたのか分かんねーしもしかしたら…考えるな!今は行くしか…!)


 俺が高速で泳ぐ中、浜辺の方から誰かが飛び込む音がした。だが驚くのはそこからだ。


(…!?あいつ、俺より速い!?)


 俺よりも速く泳いでる。あっという間に抜かされてついつい速度が落ちてしまう。


「あいつ…ひょっとして…」


(……あぁ…もう、死んじゃうのかな)


 僕は届かない水面に手を伸ばす。光がゆらゆらしていて綺麗だ。


(生神様…ごめんなさい…神様になれなかった…)


 目を閉じて諦める。ケルトさんも気付いてないのかな。このまま、、、


「イリウス君!イリウス君!」


「ケ…ルトさん…?」


 いつものように僕を抱き抱えてる。ゲホっと水を吐き出してやっと生きてることに気がつく。空気が吸えて心地いい。


「ケルトさ…んじゃない!?」


「はぁー…生きてて良かった。下に居たの、魚人だよね?」


 見たことのあるサメ顔。特徴的なヒレ。傷だらけのその身体。


「シャーガさん!?何でここに!」


「何でって…まぁその話は後。今は…おっと」


 シャーガさんの体制が崩れる。僕のことは水に付かないよう持ち上げてくれてる。


「イリウスー!無事だったか!」


「は、はい…」


「ケルトさん、後でお話が。とにかくイリウス君を連れて浜辺に戻ってて下さい」


「おう…」


 僕はケルトさんの元に戻って背中に乗る。ぎゅっと掴んで離れないようにするとすぐに泳ぎ出した。気付いた時にはもう砂浜だ。


「ケルトさん…僕…」


「良いんだ。説明しなかった俺が悪い。それより見とけ」


 シャーガさんが居た所を見つめる。まだあの魚人は残ってる。どうするんだろう?


(恐らく魚人は能力者。能力者狙いの詐欺師だな。優しい心のやつを狙う奴は許せん。海の者として絶対に)


 俺は潜って位置を確かめるが見えない。相手の能力も分かっていない。状況は不利だ。普通ならな。


「おい!出てきやがれ!能力者なんだろ?」


 暗闇からスッと顔だけ出てきた。ホラーそのものだな。


「オマエ、スイリクリョウヨウ…。ナゼマモル?ウミハジャクニクキョウショク。ヨワイヤツクワレル」


「魚のくせに難しい言葉知ってんだな。何で守っちゃダメなんだよ。よーく覚えとけ、海は自由だ。俺があの子を守ろうと、お前を殺そうとな」


「カテルオモッテル?モウテリトリー、ダ!」


 後ろからデカイ魚がかぶりついてくる。俺より何倍もデカイ。飲み込んでくると思ったが引き摺り回されるだけだ。


「マダマダダ。ドウシタチヨ、ソイツヲカミコロセ!」


 何匹もの魚が寄ってくる。デカいやつも小さいやつも。纏まってくれてありがたいな。




「シャーガさん潜っちゃって分かんないです!どうなってるんですか?行って応戦した方が…」


「良いから見とけよ。海の中であいつに勝てる奴は居ない。俺が断言するんだ」


(あれ?シャーガさんってそんなに強くなかった気が…)


 次の瞬間、海に大きな穴が開く。水だけくり抜いたようで水飛沫がこっちまで飛んでくる。


 水中から地上に出された大量の魚がピチピチと跳ねている。俺に噛みついてたやつらは全員イカリで一撃だ。


「ナ…ン…デ…コン…ナ」


「悪いな。楽に殺す気はねーんだ」




「行かなきゃダメですー!」


「行かなくて良いっつーんだ!」


 流石に心配になった僕が飛んで行こうとするがケルトさんが阻止する。そんな事をしているうちに水が元に戻っていってる。


「やっぱりやばい印ですよ!シャーガさんがやられちゃったから水が…元に…」


 僕は幻覚でも見てるんじゃないかと目を擦るが幻覚ではなさそう。水が竜巻のようになって空に上がってる。空は雨雲で黒くなっていき竜巻と繋がる。驚く所は、あの竜巻は風じゃなくて全て水と言うこと。


「あ、あれって…何なんですか?水が…宙に」


「言っただろ?海の中でシャーガに勝てるやつは居ない。当然のことだ。あいつの能力は、『海水を操る能力』なんだからな」


 僕は目を丸くして見ている。確実に、100%僕より強い。ケルトさんと戦っても遅れを取らないくらい。こんなんなら地上で戦っても強いに決まってる。じゃあ何で…


「何で僕は…シャーガさんに勝てたんですか…?」


 この疑問の答えは、既に分かっていた。しばらくしてシャーガさんが帰ってくる。手には朽ち果てた魚人が居る。


「おーシャーガ!ほんとお前が居てたすかっ…」


「何をやってるんですか!!!!何があろうと子供から目を離すなんて親がやって良いことじゃありません!!!!」


 シャーガさんの怒号が飛んだ。目を見れば分かる、本気で怒ってる。いつもケルトさんを尊敬の眼差しで見ていたシャーガさんにこんな事を言われてケルトさんもポカーンとしている。


「すいません…でも、今後気を付けてください」


「お、おう…悪かった…」


 シャーガさんはゆっくりこっちに近付いてきた。ぶたれるかと思っなが優しく頭を撫でてくれた。


「助けようとしたんだよね。溺れてると思って。ほんと優しいね。大丈夫、見分け方が分かればちゃんと助けるべき人を助けられるから」


「はい…見分け方って?」


「手にヒレが付いてたら行っちゃダメ。後腕の色とか。あいつらはああやって来た人を溺死させるのが目的だから気を付けなきゃダメだよ。ケルトさんも、海に来るんだったらしっかり教えないと」


「そ、そうだな…ほんとすまん…」


 ケルトさんはだいぶ落ち込んでる。この人がこんなに反省するなんて…。


「それより、何でお前がここに居るんだ?」


「あー。ライフセーバーのバイトですよ。この時期は溺れる人が多いですから」


「あの…シャーガさん、」


「ん?」


 僕は聞こうとした。あの時、あの入団試験の時、僕に…手加減したんじゃないかって。僕が勝てるように細工したのかって。でも、


「…ありがとうございます」


「全然良いよ。楽しんでね」


 聞けなかった。シャーガさんはいつも僕を持ち上げてくれて、優しくしてくれた。理由があるんだろうけど、認められてない悲しさもある。


「どうした?イリウス。暗い顔してるぞ。いてっ!」


「溺れてたんだから当たり前であろう!我も目を離さないよう見張るべきだったな。すまない…怖い思いをさせたな」


「ううん。僕が行きたくて行っただけだから。それよりも、ケルトさん…」


「も、もう叱られたくねーぞ!!」


 半分トラウマになっているようだ。


「叱りませんよ…シャーガさんってあんなに強かったんですね」


「ん?そりゃあもちろん……あ」


 ケルトさんは急いで口を閉じるがもう遅い。今すぐは答えられなさそうだから、説明を待つことにした。時間がかかっても、ちゃんと説明してほしい。


ーーーーーーーーーー次回予告ーーーーーーーーー

「全部、嘘だったんですね」


 本当は強いはずのシャーガ。イリウスが煌牙組に入る際の試験では手加減をしていた。ケルトからもみんなからも信用されてなかったことを知ったイリウス。ケルトとイリウスの間に傷が入る…

 バレてしまうのは嘘と言って良いのかの。どうせ吐くならバレない嘘にせい。


           次回「ーー優しい嘘ーー」

ちょっとでも、先が気になる!おもしろい!と思いましたらブクマ、感想などしてもらうとモチベになりますm(__)m

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