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第86話 ーー魚人ーー

第77、78話を見ればこの作品の設定とかを見れるのでおすすめしておきます!

「うっひょー!やっぱ潮風はきもちーなー!」


 カモメの鳴く声が聞こえる。太陽の光は熱くても海から来る風は涼しい。

          3時間前


「行ーくーぞー!!」


「いーやーでーすー!!」


 僕はベッドにしがみつき一生懸命抵抗する。ケルトさんも負けじと僕の足を引っ張る。


「もうホテル取っちまったんだ!お前も乗り気だったじゃねーか!」


「乗り気じゃないです!海洋生物図鑑見てちょっと気になっただけで泳ぎたくなんてないです!それに当日に言われても心の準備が出来てませんー!」


「うっせー!良いから行くぞー!」


 この引っ張り合いはいつまで続くのか…。こんなやり取りをしている間に準備が終わったバクとトラさんが様子を見に来る。


「まだか?遊ぶ時間が無くなるぞ。早くせい」


「そう言うんなら手伝ってくださいよ。こいつどこでこんな握力鍛えたんだか」


 僕は意地でも離すまいとベッドの足を掴む。


「全く…イリウス、海は良いものだぞ?夏の風物詩のようなものでな、波の音や砂に足を踏み入れる感覚がとても気持ちいいんだ。お主は行ったことが無かったであろう?」


「行ったことないから怖いんだよ。夏の海とかどんな能力者が居るか分かんないし。あと絶対ケルトさんに泳ぎの練習させられるもん!」


「当たり前だ。男が浮き輪なんか使ってんじゃねー」


「ま、行ってから決めれば良かろう…」


「意地でも行かない!」


 バクは大きくため息を吐き僕に近づく。何かされるのかと警戒したが口を僕の耳元に近づけてこう言った。


「最近海で七色のクラゲが出たと聞いたの〜。浅瀬にいるらしく泳がなくても見えるらしい。さぞかし綺麗なんだろうな〜」


「………」


           現在

 そういうわけで今ここに居る。まさか電車とか使わずに走ってここまで来るとは。ケルトさんにおんぶされてたから僕自身は別に辛くなかった。ケルトさんが予約していたホテルに荷物を置いてそのままビーチに直行だ。ホテルもビーチに連結していて高級感がすごかった。


「おいイリウス!早く泳ごうぜ!」


「僕泳がないって言ったと思うんですが…」


「泳げるようになって損はねーよ!ほら行くぞー!」


「ぬわぁ!自分で歩けますからー!」


 ケルトさんに抱っこされて半ば強制入水。


「ははは。イリウスも楽しそうで安心したの。トラも行くか?」


「いえ、俺は荷物がありますから。行ってきて良いですよ」


「……」


「うぉ…!主?」


 我はトラを片手で引っ張り上げた。驚いた様子だが我には関係ない。


「荷物なんぞ取るやつおらんだろ。ほら、行くぞ!」


「…はい!」


 僕らはみんなで一通り遊んだ。遊び終わった時は丁度お昼過ぎ。動いていたのでお腹ぺこぺこだ。


「お腹空いたです…」


「お、丁度屋台とかあるし食うか。ご主人様達の分も買ってってやろうぜ」


「そうですね!屋台も色々あるんですね」


「そうだな〜。お前結構食いたそうだし全部買っとくか!」


「ぜ、全部!?流石に無理なんじゃ…」


「安心しろ、俺もトラも居るんだ。問題ねーよ」


 と言うことで屋台を全部巡ることに。流石と言わんばかりの豪快さにいつも驚かされる。お昼も過ぎていたので並ぶことも少なくすぐに全部買えた。


「よぉーし。いっぱい買えたな!それにしてもハコニワって便利だな。あんな買ったのに手で持たなくて良いんだもんな」


「そうですよ〜。まぁハコニワの状態によっては荷物も置いておけませんけどね。神力がたくさんある人しかこんな使い方出来ませんよ」


「お前がそのたくさんある方で助かったぜ」


 僕とケルトさんは砂の上を歩いてバク達の居るシートへと向かう。だが、簡単には行かなかった。


「あ、あの…!」


「ん?」


 ケルトさんの前に1人の女性が立ちはだかる。2人組らしく少し遠くから見ている人がいる。


「も、もし良ければお茶…とか…」


「は???いや、そういうの…」


「あの!私も!」


「え、ちょ、」


「私も!」「私と一緒に!」「奢りますから是非!」「かっこいい!」「俺とどうか!」


 一瞬にして色んな女の人に囲まれる。僕は何とかその集団から抜け出す。


「ちょ!お前ら邪魔だ!逆ナンとか興味ねーからよ!てか子供いんの見えてねーのか!お、おい!イリウス!テレポートでそっち連れてってくれ!」


「………」


 僕は振り返らず去る。これがケルトさんのためだ。


「い、イリウス…?おい、おいおいイリウス!ひでーぞ!見捨てんのかー!イリウスー!!!!」


 一方その頃、バク達の所でも似たような事が。


「あ、あの…」


「お、ついに我にもモテ期か!遠慮せずとも我は全くもんだい…」


「その!毛並みとか、柄とかが…その…かっこいいと思って…」


「すまんな。その気持ちはありがたく受け取ろう。でも俺には主が居るんだ。君の元へは行けない」


「そ、そんな…」


 海の青が綺麗に輝いている。風が女性の髪をなびかせる。


「もっと良い人が見つかるさ。君は美しい」


「は、はい…!」


「なーにが『君は美しい…』だ!全く!我のことなんぞ放っておいてモテおって!ん?」


 シートに帰ってきたバクと目が合う。お互い大変なんだろうなと察した。


「我だって悪くないだろう…見た目が子供というだけじゃないか…ぐすん…子供の時に不老不死になってしまったから仕方ないではないか…」


「そうだね〜。バクは悪くないよ〜」


 僕はバクをなだめる。僕よりずっと生きてるから悩みもたくさんあるんだろう。


「わ、悪りぃ悪りぃ。遅くなっちまった」


「主…勝手に行かれては困ります。何をやってるんですか?」


「…何でもない…飯だ飯!」


 元気が戻ったようで何よりだ。でもあの食欲はやけ食いと言うやつじゃないかと思った。ご飯も食べ終わった後、あるところに遭遇する。


「きゃー!!!」


「ん?何だ?」


 叫び声が聞こえた場所に行ってみると海の方を指差している。


「溺れてるの!誰か助けて!」


 見ると遠くの方でバシャバシャしてる手が見えた。ちょっとまずそう。能力で助けようとしたがバクがそれを止める。


「おし、ちょっと行ってくる。待ってろよ」


「え?平気なの?神力で届くけど…」


「まぁ見ておれ」


 ケルトさんは水にダイブした後、すごい速度で泳ぐ。魚なんかよりずっと早いんじゃないかと思うほどだ。溺れてる人の所には3秒ほどで着いてしまった。そのまま折り返してこっちに連れてくる。


「おーい平気かー。……心臓は動いてんな。んじゃ、ちょっと失礼して、ふん!」


「ごぼぉ!」


「腹の水だしたからもう平気なはずだぜ」


 周りからは拍手が聞こえる。流石に早すぎる措置。僕じゃなきゃ見逃しちゃう。みんなが溺れていた人に夢中になってる時、海を見て気付く。


(ん?もう1人いる?)


 さっき見た場所とは少し違うところにもう1人の腕が見える。バシャバシャしているが誰も気付いてないみたい。


「バク…」


「流石はケルトよの〜」


 拍手喝采で聞こえてない。仕方ないから僕が行くことに。神力は使っちゃダメそうだったからケルトさんから教わった泳ぎを使うことに。


「うっぶ。うっぶ。うぐ。うぶ。」


 慣れない泳ぎを頑張る。そろそろ着いただろうと周りを見渡すが居ない。


(あれ?岸からはだいぶ離れてるしここら辺だと思うけど…)


 距離的にも間違っていないはずだ。


「ん?うぷっ!!」


 突然足を引っ張られて海の中に潜る。僕を掴んでる手は離してくれない。


(待て。こういう時は落ち着かないと。落ち着かなきゃ能力は使えない!)


 何とかこの状況で落ち着き神力を使って僕を掴んでる手を退ける。


(一体誰が…!)


 姿を見た瞬間。異様な姿に目を奪われる。


(魚の人?獣人?いや、えら呼吸だ。って事は…『魚人』!)


 ケルトさんから聞いたことしかなかった生き物と出会うなんて。それよりも息が……




「あれ?イリウスはどこだ?」


「ん?さっきまで我の後ろに居たと思ったが…」


「まさか…あの馬鹿!」


ーーーーーーーーーー次回予告ーーーーーーーーー

(うぶぅ…もう…息が…持たない…)


 史上最大のピンチ。何も見えない海の底に連れてかれそうになるイリウス。そこに駆けつけたのは一体?

 ったく。この世界で命懸けの人助けなんぞ、何も良いことねーっつーのに。


         次回「ーー海と生きる者ーー」

ちょっとでも、先が気になる!おもしろい!と思いましたらブクマ、感想などしてもらうとモチベになりますm(__)m

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