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第83話 ーー知られざる過去 前編ーー

第77、78話を見ればこの作品の設定とかを見れるのでおすすめしておきます!

「ケルトさん!ケルトさん!これ見てください!」


 朝っぱらからケルトさんを呼んだ。僕が指差したのはテレビだ。


「ん?どうしたんだよ朝から」


「昨日の夜、あの犯人がまたやったらしいですよ!」


「…この時間帯じゃあ俺らがゾンビに会った頃だな」


「囮…ということか?我々の張り込みに気付いていたのか?考えづらいの」


 バクはコーヒーを片手にテレビを見ている。疑ってるみたいだがそれもそのはず。あの場にはケルトさんもトラさんもいた。この2人に気付かれずに行動するなんてまず不可能だ。


「でもそれ以外ないでしょう?俺らが気付かないなんてありえないですけどね」


「それなりの能力ということか…ならばゾンビはまた別の能力者が?」


「可能性はある」


 ケルトさんもトラさんも悩んでる様子。そんなに強いのかな…あの犯人…


「…証拠が残ってないのは変です。何かしら能力を使った痕跡もない。僕のことも警戒してるみたいに…」


「俺らを知ってる情報屋が居るかもな。もっと捜索範囲を広げねーとダメか」


「………」


「大丈夫だイリウス。我らが着いてる」


「…うん」


 不安や恐怖が右往左往する中、安心するにはみんなと居るしかない。あの犯人が僕を狙ってないとも考えられない。元々の狙いは僕だったのだから。


「なぁイリウス。俺の事、知りたいんだったよな」


「…え?」


 急に言われて何のことか分からなかった。そういえば前にケルトさんの秘密を探ろうとした事があった。その事だろうか。


「まぁ…そうですね。でも言いたくないんだったら言わなくても…」


「教えてやる。俺の過去について」


「「えぇ!?」」


 バクと声が被ってしまった。急なことに驚きが止まらない。


「反対はんたーい!我も教えてもらってないのだぞ!」


「だから丁度良いでしょう?大したものじゃないですが、そろそろそんな時期かと思いましてね」


「…他にあるでしょう?理由」


「そうだな。強いていうなら、お前にもっと信用して欲しいってとこか。あん時、お前に怒られた時に思ったんだ。俺って頼りねーなーって」


「そんなこと…」


「だからまず、俺の秘密を話す所からだと思ってな。ほら、席につけ。ご主人様も。トラは…もう知ってるし良いだろ」


 僕とバクは大人しく席に座る。1人で部屋に戻るのも嫌だったのかトラさんも座る。ケルトさんが席について、話は始まる。


「俺は、ペットショップみたいなとこで産まれたんだ」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 赤ん坊の時の記憶はほとんどないけどな。目が見えるようになった時には、親なんて居なかったんだ。周りにいるのは飼育員みたいなやつばっかで、同族すら見えなかった。気付いた時にはな、俺はガラスの箱の中に入れられてたんだ。


「この犬1匹くれ!」


「はいよ。10万だ」


「えーたけーよ。5万!」


「いいや、10万だ」


 そんな会話が聞こえてた。この世界じゃ、獣人は奴隷みたいな使われ方しててな。子供の時から家事とか覚えさせられるらしいぜ。ま、こういう場所で買う時は他人にマウント取る為に見た目も重視してるやつが多いけどな。


「そんなに安いのが良ければそこの狼を買え」


「え?狼いんの?って何だこいつ…病気の獣人売ってんじゃねーよ!」


 俺は産まれた時から目が赤かった。普通は違う。完全な病気だ。だが健康とかに害はない。ただ目の色が変わってるだけ。なのに人間ときたら。


「汚い」「見た目が悪い」「可愛くない」


 だの文句ばっか垂れやがる。確かに愛想悪いぜ?媚びる気もさらさらねーぜ?でもそれじゃあ生き残れねーんだ。それを知ったのは売りに出されて2年くらいか。


「この狼。ずっと売れ残ってるな。そろそろ処分時じゃないか?」


「うーん。そうだな。元々病気の狼なんぞ売る気はなかったんだがな〜」


 俺はその時初めて知った。売れないと処分されるって。あ、正確には初めて察したってとこか。言葉も理解出来てなかったからな。そんな時だ。


「店主さん。この狼をくれませんか?」


「え、良いんですか?病気持ちですよ?」


「病気と言えど目が赤いだけでしょう?綺麗な目だ。是非うちで飼いたい」


「そ、そうですか。お会計1万です」


 俺を買うやつが現れた。見た目は、なんつーか金持ちでも貧乏でもねー、ただの会社員って感じだ。


「ほら、ちゃんと感謝して生きるんだぞ。元気でな」


 店主からそう言われた記憶がある。そんで狭い箱から解放されて初めて外を歩いた。帰りにその…元ご主人が服とか色々買ってくれたんだ。そっから、俺の人生は始まった。

 まず、何かしなきゃいけねーってのは察してたんだがな、元ご主人が全部やってくれてたんだ。


「君は良いから、座ってて。ずっと辛かったでしょ。あんな所で」


 ご主人の言ってる事が何一つ理解出来なかったが俺の事を思ってるってのは分かってたぜ。料理も、産まれて初めてまともなの食ってな。ずっと目輝かせてたぜ。


「美味しい?」


「ん!」


 そっから俺も、ご主人が何言ってるのか知りたくなって、言葉を学び始めたんだ。ちょっとづつ家事も覚えてってな。あ、料理はさせてもらえなかったぞ。言葉も家事もある程度は出来るようになったんだ。


「お、はゆう、ございます?」


「!!!」


 初めて「おはよう」って言った時、あん時のご主人の顔は忘れられねーな。嬉しくて仕方なさそうな顔してたぜ。そんでぎゅって抱きしめられたんだ。獣人も頭が悪いわけじゃないからな。奴隷みたいな扱い受けてなかったら、喋るのも当たり前だったのかもな。


「今日はお出かけしてみよっか!」


「うん!さんぽ、すき!」


 こん時は無邪気な狼だったな〜。俺にもこんな可愛い時期があっななんて自分でも信じらんねー。

 ただただ。奴隷じゃ無い、普通の生活を送ってただけだったんだ。こんな生活がずっと続けば良いなって、そう思ってた。あんなことがなければ。

ちょっとでも、先が気になる!おもしろい!と思いましたらブクマ、感想などしてもらうとモチベになりますm(__)m

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