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第82話 ーー復讐ーー

第77、78話を見ればこの作品の設定とかを見れるのでおすすめしておきます!

 チュンチュンと雀の鳴く声が聞こえる。空は薄明るく青い。昨夜は確か…


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「うぅ…うぅぅ…ごべんなざい…」


「もう良いから泣くなって。俺ら全然怒ってないしよ?」


「そうだぞ。自身の両親を殺した相手が見つかったんだ。復讐したくなる気持ちも分かる」


「でも…でもぉ…僕…自分を見失ってぇ……」


 ケルトさんとバクは目を合わせてため息をつく。トラさんはずっと僕の手を握っていた。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「なるほど、それで今ケルトさんの部屋にいるってことですね。あの後寝ちゃったからケルトさんと一緒に寝たのか」


 僕は寝てる間に能力を発動させたのか周りがひんやりしている。昨日は猛暑という猛暑じゃなかったから僕が何かしなくても問題無かっただろう。それよりも昨日の事について何か言われるだろうな〜。


「おはようございます」


「おう、やっと起きたか。朝飯出来てんぞ」


「じゃあいただきます」


 顔を洗って歯を磨き、いつも通りの日課をこなして朝食だ。食べている時、やはりみんな集まってきた。


「食いながらで良いけどよ。昨日のことについて聞きたい」


 僕としてもこの質問は予想通り。先に全部説明しようと思い箸を置く。


「あのおじいさんは知り合いじゃないです。探し物をしていたみたいで手伝っていました。犯人には見えませんでしたし能力者でも無かったので近付きました。探し物は見つかりました」


「それもなんだが1番聞きたいのは…」


「責任とやらだ。何故お主が責任を感じておるのか。気になってろくに寝れんかったぞ」


 僕が怒りながら言ってたやつだ。それについてもはっきり覚えている。


「…簡単な話です。あの事故において、本来の狙いは僕だったんです」


「何でおめーがそんなこと分かんだよ。まさか自分の妄想ですとでも言う気か?」


 ケルトさんは半ギレでそう言う。僕にも僕の考えがある。


「僕の目。綺麗でしょう?基本は黒ですが、奥が緑がかってる。小さい時から両親にそう言われました。鏡を見てもその通り」


「そんだけか?」


「いいえ。あの時、僕は家族と一緒に道路を渡っていました。でも、僕は気持ちが昂って走ったんです。走って道路を渡りました。それにちなんで僕の両親も急いでしまったんです」


「つまり…お主が走らなければ両親も急がずギリギリ避けれたと?」


「そう。犯人も僕らの歩速が遅いとは思ってなかったんでしょうね」


 僕は淡々と話す。みんなも静かに聞いている。苦しいのに、憎いのに、僕の心はひどく落ち着いている。


「そんで?」


 ケルトさんは物足りなそうだ。


「そんでって…それで終わりです」


「お前は、たったそんだけの憶測で自分のせいだって思ってたのか?」


 怒ってる。手が震えてる。本当は今すぐにでも殴りたいんだろう。


「お前は、そんなんで自分を攻めてたのか?自分を恨んだのか?」


 声が震えている。どこか悲しそうだ。僕は何も言えない。言ってる事は全て事実だ。


「なぁ、お前の両親はそんなことちっとも思ってねーぞ?」


「そんなの…分かってますよ!」


「分かってねーだろ!あん時の記憶屋覚えてんのか!お前の両親がお前のせいにした幻覚を見たのだって、お前が両親は自分を責めてるかもって思ってるからだろ!」


「……」


 ケルトさんの声はよく響く。家の中でも、僕の心にも。分かっていたつもりになっていただけだと思い知らされた。暗い空気が流れている中、バクがパンパンと手を叩いた。


「まぁそこまでにしておけ。イリウスの言ってることも間違っていないし、ケルトの言いたいことも痛いほど分かる。とりあえず、イリウスの両親を殺した犯人をどうするかだ」


「まず、本当に最近の事件を起こした者がイリウスの両親を殺したのかが気になります。確かに目を取ると言う点では被っていますが、他に共通点がありません」


「どっちにしても、とりあえずは情報を掴んで…」


「捕まえた方が早いです」


 自分に力が無いことなんて分かってる。何も出来ないなんてことも分かってる。


「まだ、復讐してーか?」


「いいえ。悪い人は捕まえなきゃダメです。だって…」


 本当は復讐だってしたいよ。苦しめてやりたいよ。でも、


「困ってる人は、見たくないですから」


 僕は、幸せに笑って生きたい。




 時は深夜。犯人の能力不明。名前も年齢も何もかもが不明。活動区域も全て不明。ただ一つの特徴として夜に活動してることだけは分かっている。


[こっちは何も見えないです。って言うか暗くて何も見えないです]


[お、じゃあ交代するか?]


[どっちに行っても見えないですよ…ビーム打ったら警戒されちゃうでしょうし、僕は活躍出来そうにないですね]


 それぞれ持ち場にて、携帯で連絡を取り合う。バクは電話が繋がってる限り誰の所にもテレポートで行けるから実質2人での行動だ。


[最新の事件は2日前。昨日は特に聞いていないからもしかしたら別の世界に行った可能性も…]


[まぁそんなのを考えてしまったら終わりよの]


[とにかく被害は出さないようにしないとダメです!人が多い所で被害にあったケースは少ないのでこの街が1番出てくる可能性が高いです]


[そんな治安悪いとこに住んでんのか俺ら…やっぱ引っ越すか…]


 とりあえず犯人の情報から居そうな所を見張る。僕は比較的明るめな所を。すると、


「あれって…人影?裏路地を1人で…怪しい…神力も見えるし…」


[人影を見つけたので行ってきます]


[おう、気を付けろよ]


 僕は見えた所へ行った。裏路地にはやはり人がいる。でも様子が少し変。フラフラしてるし何か…


「あの、そこの人。何してるんですか?うっ…」


 すんごい臭い。何の臭いか分からないけど臭い。僕の声に反応を見せるわけでもないし酔っ払いかと思いながら肩を叩く。


「あの!」


「うぅぁぁああああ!!!!」


「うわぁぁ!!な、な、な、何ですかこの人!?」


 振り返ったと思いきやすぐに襲われた。すぐに下がったから攻撃はされてないが急すぎてびっくりした。


「イリウス!」


「うわぁ!バクも驚かせないでよ…」


「すまん。断末魔が聞こえたものですぐテレポートしてしまった。あやつは…!!」


「今ビームで明るくするね」


「待て!それは止め…」


 僕がビームで明るくすると、その人の姿もよく見える。目がない。それどころか身体が腐ってる。皮膚が剥がれて髪が抜け落ちている。


「ちっ!」


 バクは僕が立ち止まっている間に一瞬でその人を切り刻んだ。血が飛び散らず、ボトっと身体が落ちる音だけが聞こえた。


「イリウス!主!…何があったんですか?」


「イリウス、俺の目を見ろ。大丈夫だ。何もねー」


 ケルトさんとトラさんも駆けつけてきて僕も正気に戻る。冷静にはなれないが頑張って状況を把握する。


「あ、あ、あれって…」


「いわゆるゾンビだな。世界によってはいるらしいが…基本的に転移しては来ない。つまり、」


「誰かの能力…いや、目が無かったから…」


「犯人の能力、か。こりゃあ面倒だな。死体が全部ゾンビなんて数の暴力じゃねーか。一般人も巻き込まれんぞ」


 僕が見た神力は誰かから掛けられた物だった。呪いの類だとして線は見えなかった。何故?


「線は見えませんでした。ゾンビにするだけが能力なのかもしれません。つまり、操る事は出来ない。自分が襲われる可能性もある」


「なるほどな。そんなら簡単には作れねーか」


 僕には衝撃すぎた。ゾンビなんて見るのは初めてだ。今日はそのまま帰って寝た。夢には出なかった。


ーーーーーーーーーー次回予告ーーーーーーーーー

「そんなことが…」


 今回の件でケルトさんは自分の信用の無さを意識してしまう。そんなケルトさんが取った行動は…そう、自身の過去について話すことだった。バクですら聞いたことのない話とは…

 僕はちゃんと信用してますよ!でも…ちょっとだけ気になっちゃいますね…


        次回「ーー知られざる過去ーー」

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