第7話 ーーハコニワ作りーー
「ケルトさんケルトさん!自分のハコニワにはどうやって行くんですか?」
「それはな・・・」
僕は今日、自分のハコニワを作ろうと決意したのです。とりあえず自分のハコニワに入る方法と装飾する方法をケルトさんに聞いた。
「・・・って感じで、入る時はホールと似た感覚。装飾は創造しろ」
「分かりました!」
僕は駆け足で自分の部屋に戻り早速試してみる。
「開け!第三の世界!」
手をかざすと世界が開く。ケルトさんのハコニワとは別に真っ白な空間が広がっている。
「すごい真っ白!床は…あるね。とりあえず怖いから床と空くらい決めようかな…」
僕は一生懸命悩んで答えを出す。
「どうせなら僕が戦いやすい所が良いし…遠距離攻撃だから開いた場所かな?床は歩きづらく泥とかにして…空は青空が良いな!草木もたくさん生やしとくか!」
そんなこんなで出来上がった物は…
「何これ森林じゃん。森森」
森林になってしまった…。うーんと悩んでいるとケルトさんが入ってくる。
「おーい上手くやってるかー?ってえぇ…」
「あれ?ケルトさん!ちょっと思ったんですけどどうやって入ってきてるんですか?」(扉は閉じてたんだけどな…)
「普通に入れるぞ。まぁ今回は俺の能力だ。力加減で空間をぶっ壊す能力があってだな…それよりこの森林何だ?」
「色々考えた結果こうなりました!」
「お前の能力に合ってんのかこれ。てか狭いな」
確かに合ってないと言えば合ってない。僕の能力だと遠距離でチビチビやってた方が強い。
「開けすぎた場所だとケルトさん達に瞬殺されちゃいます。だからちょっとは隠れられそうな場所にした方が良いですし、床も動きずらいので浮いてる僕の方が有利です!」
「大体の…てかほぼ全部の敵は俺らレベルじゃ無いんだが…」
「とにかく決めたことなんです!」
色々困った様子だったが納得してくれたようだ。
「まぁそんなら良いけど…てかすげーな。この短時間でこんな生み出せたのか。お前神力量多いかもな」
「え、この生み出したやつって神力かかるんですか?」
「ったりめーだろ?こんな生物とも言える植物生み出してんだから」
「なるほど…」
流石にタダでは作れないか…。こんないっぱい生み出しちゃったけど本当に平気なのかな?
「まぁそれはそれとして…今から修行するぞ」
「急すぎですよ…」
「場所はここだ!修行内容は…
俺との一対一だ」
ケルトさんがニヤッと笑ったのと同時に僕は絶望した。
「やばいですよ!無理に決まってるじゃないですか!」
「実戦稽古ってやつか?知らねーけど。一応やっといた方が良いと思ってな。勝利条件は俺が満足する戦い方をすることだ。勝つわけじゃねー、簡単だろ?」
「簡単じゃないですって…」
「じゃあ始めだ」
パンと手を鳴らす音と共に修行は突然始まる。とりあえず距離を取ろうと木に隠れつつ移動するが。
「距離を取るのは良い判断だ。お前の能力と合ってる。だが、何もしないで背向けるやつの後を追いかけねーやつはいねーぞ?」
(何それどういう意味!?!?あ、ひょっとして)
今度はビームをケルトさんに狙いつつ距離を離していく。手加減してるとは言え風の如くの速さで近づいて来るケルトさんの足が遅くなる。真っ直ぐ来れないだけでここまで影響が…
「いでぇ!!」
僕は後ろを見てケルトさんを狙ってたせいで後頭部を木にぶつける。
「後ろを狙いながら前も気をつけるのが遠距離能力者の基本だ、ぜ!」
ケルトさんは僕に近付き軽く蹴り飛ばす。蹴った先は特に木もなく床に落ちる。
「いたたた…攻撃してくるんですか!?」
「あたりめーだろ。実戦っつってんだろ」
(さっきは良い線行ってた。もう一回やって確実に距離を取る!)
僕は作戦通り距離を取る。今度は上手くいき、ケルトさんに近付かれていない。でも他に問題があった。
「あれ?どこ行った?」
ケルトさんが居ない。周りには草木が大量に生えており太陽の光も入ってこない。薄暗く視界も悪い場所で見失ったのは相当まずい。
「うぬぅ。うぬぬぅ。とりあえず気配を消してるだけで近くにはいるはず…僕の強みは数!とにかくビームで散策!」
「その考えが甘い。相手が見えねー時、相手もお前が見えねーかもしれないぞ?それなのに自分の居場所を堂々と晒すなんて阿呆のすることだ」
気付いた時には後ろに居た。何の音も気配もせずにここまで近づかれるなんて…僕は急いで距離を取ろうとするが手遅れ。またまた吹っ飛ばされる。そこからは初めからやり直しだ。また距離を取って今度は隠れてみる。だがすぐ見つかる。
今度は開けてる空に出てみる。どこから出てくるか分からずやられる。
「はぁはぁ…どうやったら勝てるんですか!?」
「別に勝つ必要はねーっつーの。俺の満足行く戦いをしやがれ」
「そんなこと言われても…」
(そういえばあれはまだケルトさんに見せてない…あれしかないかも!)
僕は実行する。森の中に入り、ひたすら逃げる。もちろんケルトさんを目で追いながら。ちょくちょくビームも打つが当たるわけが無い。そして最初と同じ状況。ケルトさんの場所が分からない。
(この状況になったら手が出せなくなる…そうケルトさんは思うだろうね。けどこれならどうだ!)
僕は歪みとビームを組み合わせてセキュリティレーザーのように自分の周りを囲う。
(これならすぐ来れないし時間稼ぎになる。何より一つだけ道を開けてる!)
僕は敢えて通れるような道を開けておいた。来るとしたらそこだけ。そこにビームを放てば確実に当たる。
「これでどうだ!来れないビームです!僕のことはやれない!残念でしたね〜ケルトさん!」(煽っておけば来るかも…)
「作戦は良い感じだな。じゃあ行くぜ?」
(来る!………ここだ!)
僕はタイミングを見計らい唯一の通路である場所にビームを打つ。だがそこにケルトさんは居ない。
「惜しいな!確かに通れそうな道はそこだけだ。だがそれはあくまで普通のやつならの話だろ?関節外してまで来るやつはどうするってんだ?」
「そんな……!」
殴られる!と思って目を瞑るがケルトさんは優しく頭を撫でた。
「ま、そんなやついねーと思うし俺もそこから行こうと思ったしお前の勝ちだ。よくやったな!てかいつの間にビームを曲げれるようになったんだ?」
「…!それは雪の能力者の時・・・」
僕は褒められたのが嬉しくてつい語ってしまった。ケルトさんも僕が一生懸命話してる姿を見てはっはっはと笑っていた。今回の件で僕はたくさんの事を知ったし教えてもらった。そんなこんなで12月の上旬は過ぎていった。