第69話 ーー弔いの力ーー
「We have music♪We have music ふん♪ふん♪」
「お、えらい上機嫌じゃねーか。なんかあったのか?」
「えっへん!レベルが上がったんですよ!また神に一歩近付けました」
この世界では、レベルが7になる事で神になることが出来る。その為に良いことをすることを心付けている。
「何レベになったんだ?この前見た時は2だったから…」
「3レベです!後4レベ上げれば神になれます!」
「そんな簡単ではないぞ〜。レベルは上げれば上がるほど上げづらくなるからの〜」
新聞に目を通しながら盗み聞きしてたバクが入ってくる。
「え?どういう意味?」
「単純な話で言うとな、レベル1→2で100ポイント必要だとしよう。レベル2→3で200。3→4で400。4→5で800。と言ったように増えていくわけだ」
「なるほど。それでもすごい早くいけるんじゃない?」
「人によってスタートの値は変わる。寿命によって量が決まるから、お主が100ならケルトは20000くらいかの?」
「そんくらいですかね。大体そんくらいは生きるでしょうね」
「20000歳のケルトさん…シワシワになってそうです…」
「そんな歳食う前に神になっちまうから安心しろよ。今5レベだからだいぶ近いぜ」
「お前そう言って40年5レベだろ」
「う、うるせー!トラも同じだろ!」
どんどん集まってきた…さっきまで居なかったトラさんもいつの間にか入ってきてるし…
「あ、そういえばレベル上がると何かあるんじゃなかったですか?」
「新しい能力のことか?神に頼めば貰えるぞ。ただ、自分の持ってる能力に近い能力にした方が良いぞ。痛い目見るからな」
「お主はヒールを貰って神力の消費がとんでもなくなったからの」
「あれは正直失敗でしたね…まぁそのお陰で血意外の治療法が見つかってるんでありっちゃありですけどね」
僕は自分に合う能力を想像していた。
(歪みを操る能力って何だ?よく考えると意味分かんないな…普通に便利だし今は要らないかな…)
「おーいイリウスー!」
「はっ!え?何ですか?」
「だ、か、ら!能力付け足すのかって」
「え?いや、まだ考え中です。正直僕の能力って不便な所が無いと思うんです。基本何でも出来るし、戦いにおいても強いですし…」
「んーまぁそうだな。今は要らねーな」
僕は何とか納得してもらった。とりあえず息抜きの為にも外へ散歩しようと思い散歩中。ケルトさんも着いてきて色々お話しをしてもらってる。
「そんでよぉ、あの店の天丼バカ美味かったんだぞ!今度行こうな!」
「はい!あっちの店とかどうだったんですか?」
「おう、あっちはなー・・・」
楽しくお話ししてると急に爆発が起こる。
「おいおいなんだなんだ。急すぎだろ」
「あ!あれ!」
僕が見たのは2人が戦ってる所。片方は鳥人で爆弾を持ってる。丸くて大きい爆弾だ。大きさの割に爆発の規模は少なく見える。もう1人は人間だ。まだ若いように見える。氷を使って壁を作ったりツララを飛ばしたりしてる。
「おー。あの能力者良いな〜。夏なのに涼しいぜ〜」
「そんな場合じゃないでしょう…止めなきゃ!」
「おーっと行かせねーぞ。危ないとこに突っ込むのがお前の悪い癖だからな。勘弁してくれ」
「ダメです!止めなきゃダメです!人殺しなんてしなくても神になれるんです!」
「ダメだイリウス。そういう世界なんだ。手出し無用死亡禁止だぞ」
僕はケルトさんに目を塞がれてテレポートを禁止されている。その上に手で掴まれてるから動けない。あっという間に決着が着きそうになる。倒れているのは人間の方だ。爆弾の量に圧倒されて氷の壁も破壊されていた。しばらくの沈黙が続いた後、
ドカーン
「え、何が起きたんですか?分かんないです目開けさせてください」
「ヒュー。まぁ良いか。死体残ってるし」
僕は手を退けてもらいその場を目撃した。
「酷いことになってます…道もボロボロです…あれ?」
僕はそんな中あるものに注目する。
「あの人…やられた人ですよね?何か様子が変というか…」
「ん?どこが変なんだ?あーひょっとしてこのフワフワしたやつの事か?」
「そう…です」
怪しんで見てるけどおかしな様子はない。ケルトさんも焦ってないみたいだし、勝った人もレベルを奪ってどこか行ったみたいだし。
「こりゃあな。死体が残らないようにって言う神からの弔いだ。5レベ以上になると弔いがされるようになるぞ」
「って事はこの人はもう…」
止められなかったと言う後悔とは裏腹にケロッとした顔をしてるケルトさん。当たり前かのように見てるが当たり前じゃないと信じたい。
「このフワフワ…神力とは少し違いますけどちょっとだけ似てる気がします」
「そうかー。まぁ結局は神がやってることだしな」
「あ…あぁ……」
既にお腹辺りまで消えてしまった人が何か言ってることに気付いた。
「え?まだ生きてますよ!傷を治せばもしかして…」
「無理だ。もうその状態になったら無理だ。助かる見込みがねーから消えちまう」
「そんな…」
こうなってしまったら終わり…もしかしたら5レベを越してからの方が大変なんじゃないかと思いながらもその人の頭を持つ。
「おいおい…たかが他人だぞ?」
僕は頭を抱きしめながらこう言った。
「どうかあなたの大切な物に傷が付きませんように…」
何も喋れないほど怪我をしていたけれど、少しだけ、笑っていた気がする。
「神様からの弔い…僕からは、言葉でやれたら良いなって思います」
「そうか。人が良いのも程々にな」
誰も死ななければ良いのに。




