第68話 ーー能力者アイドル!? 後編ーー
〜前回のあらすじ〜
ケルトさんが能力者アイドルのライブチケットを貰ってきて、僕たちはライブ会場へと行くことに。入口への行列に並んでる間、線が見える上急いでいる人を見かけてついて行ってしまう。裏口の方に行ったから僕もそこに行くと警備員と揉めていた。入りたいのは分かったから僕のチケットを上げると待っていてと言って走って入っていった。ケルトさんに怒られながらも来るのを待っていると、僕が助けた人は今日ライブをするアイドルの1人だった。特別ということでVIP席に案内されて始まるのを待っている所までが前回だ。
そして、ここからが今回のお話。僕達がVIP席で待ってると、急に暗くなって声が響く。
「みーんなー!今日は来てくれて!ありがとー!!」
「お、始まるぜ!」
パッと明かりが付いて目の前を見ると、5人の女の人が定位置に付いている。
「あ、テレビで見た人達です」
テレビで見た通り、5人グループの能力者だ。
「1曲目はー!!⭐︎パーフェクトスマイル⭐︎!」
「「「「「「「「「うぉぉぉー!」」」」」」」」
急な歓声にビクッとしてしまった。大音量で流れる音楽はテレビとは打って変わって迫力がすごい。僕はケルトさんに渡されたペンライトを適当に振りながら眺めている。線がどうなったのかと思い見てみるとやはりまだ繋がっている。木陰に居た人とどんな関係があるのか気になる所だが今は襲われないかの心配が上だ。線の繋がってる先を見てみると、
(あれ?観客席に居る…。って言うか能力者たくさん居るじゃん…)
僕の目にはたくさんの神力が見えていた。この会場内に一体何人の能力者が居るんだ…
(…!!あの人だ!木陰に居た人!まだ線で繋がってる…)
線はピンと張っている訳ではないが本人通し真っ直ぐと繋がっている。
「ケルトさん!あそこの人とミナミさん繋がってます!」
「え?えぇ!?な、何だ繋がってるて!?え!?それって隠れて付き合ってるとか…」
「ああもう!線ですよ線!何かしてくるかもしれません!だから…」
僕が再度木陰の人を見直すと何かを構えている。
(何…あれ。片手で何か構えてる…?あの構え…拳銃!?)
僕は急いで歪みをミナミさんへと張る。銃声こそ聞こえなかったものの球はしっかりと発射されている。僕の歪みのお陰で他の方向へ飛んで行ったが…
「…!跳ね返ってきた!?」
方向が変わった銃弾は壁や天井を跳ね返り再度ミナミさんへと飛んでいくが何とか歪みを使って防ぐ。銃弾はスピードが遅くなり純粋に落ちた。
「あの能力…呪いと言うより条件によるバフか?」
「え、何ですか?それ。って言うか見えてるんなら止めて下さいよ」
「俺みたいな巨体が行ったらどんな速さでも見えちまうだろ。例えで言うなら、ある程度の条件を達成したら、どんな銃弾でも当たるようになるとかな。あの軌道はおかしいぜ。操ってるようにも見えなかったし、お前の線の話的にもそれが近いだろ。裏から回って捕まえてくる。少し時間がかかるかもな」
「え、すぐ捕まえて下さいよ!こっちだって守るのに必死なんですよ!」
「仕方ねーだろお前みたいに線が見えるわけじゃねーんだから」
ケルトさんは席を立ち、後ろの方の扉から出ていく。僕は相手の動きを見つつミナミさんの護衛を。
(ちっ。何で当たらねーんだ?俺の能力は発動済みなはずだぞ!)
(さっき何か見えた…壁と天井に当たる音も聞こえたし、何の騒ぎかしら?)
(木陰の人はこまめに移動してる…普通は怪しむけどみんなステージに夢中で気付いてない。僕が1人で対処しないと…この距離だと見えづらい…)
すごく見えづらい位置だがVIP席なだけマシだと分かる。しばらくもしないうちにもう一回銃弾が飛んでくる。
(歪め!)
銃弾の軌道的にもケルトさんの言ってたことが当たりみたいだ。僕は出来るだけ危険を妨げる為に銃弾を反射させるわけでもなくスピードが収まるまでミナミさんの回りを回す事にした。
(!?何これ?蝿か何かかしら?鬱陶しいわね…)
(…!誰か仕組んでやがんな!ムカつくぜ。これでも喰らってろ!)
(もう次が来た??今度は3発…あんまり目立たせたくないんだけど…!)
僕は3発でも問題なく対処する。ただ…
「なぁおい。ミナミちゃんの周り変じゃね?」
「あ、確かに。蝿でも飛んでんのか?それにしてはでけーけど」
「うぅ…やっぱり目立っちゃう…」
僕が何かしてる様子がミナミさんにバレたのか踊りに合わせて何かをポイっとこっちへ投げる。
「これ…アイドルの人が着けてる耳と口元に繋がってるやつ(ヘッドセットマイク)だ!落としたのかな?そんな様子じゃないけど…」
僕はチラッとミナミさんを見ると目が合う。何かを言いたげな目だ。もしかしてと思って、
[えーっと。さっきから狙われてます。銃弾は僕がどうにかしてます。後は目立つ事さえどうにか出来れば何ですが…]
絶賛ミナミさんのパートで歌が聞こえてくる。力強くも美しい声だ。ミナミさんのパートが終わると話し出す。
[みんな聞こえたでしょ?派手に行くわよ!]
僕はまだ来る銃弾を同じく回しながらミナミさんの手の動きに合わせる。動きで何がしたいのか分かるのが本当にプロって感じがした。銃弾がみんなの場所を回って演出みたいになってる。誰の能力か分からないが後ろの方に火を噴き出すやつとか紙吹雪を出すやつとかが生み出されていく。それと同時に1人が小さいカプセルのようなものを出して銃弾の軌道に乗せていた。
(何で回すもの増やすの!!こっちも大変なのに!)
訳が分からないが何かが完成されていく。そしてついに歌も終盤。
[イリウス?私達が手を上に上げたら銃弾達を真ん中の上に持っていって!お願いね!]
小さな声でそう言われた。歌が丁度終わる頃にみんなが手を上げると僕はそれに合わせて銃弾を集めて上へと誘導した。
ドカーン!!
カプセルのようなものが爆発して銃弾も爆発。後ろの吹き出すやつも発動し、金色の粉がキラキラと舞って完全に演出となってしまった。
「くそっ!何だってんだ!」
「よぉ…やっと見つけたぜ?ちょっとお兄さんと裏で話そうな〜♪」
「お、おい!どこ連れてく気だ!離せ!」
「ふー…ケルトさんも無事捕まえたみたいだし良かったー」
その後のライブも平穏に進んで行った。
ライブが終わった後、ミナミさんとその他のメンバーさんが控え室に招待してきた。
「今日はほんっっとうにありがとうね♡誰か知らないけど、あなたがミナミを守ってくれたんでしょう?感謝してもしきれないわ〜♡」
「あーっと?この人はリーダーのアツメ。右から順にセイカ、ヒナ、マユよ。イメージカラーで覚えちゃった方が速いわね。赤は私、ミナミよ。緑がリーダーのアツメ。白がセイカ、黄色がヒナ、青がマユよ」
「みなさんよろしくです!」
「本当にこんな子供が対処したの?銃弾止めるってどんな能力だし」
「僕の能力はムゴムゴムゴゴ…」
「イリウス。能力は大事な情報だ。迂闊に喋んな」
ケルトさんに口を抑えられて正気に戻る。
「うふふ♡良いのよ〜。神になるためには大事ものね〜♡」
「あたい達からもお礼、した方が良いんだよね?ミナミ助けてもらっちゃったし」
「あ、そ、そうですね〜…な、何をすれば良いんでしょ…ですか?」
「別にお礼は要らないんですけど…僕も勝手にやった事ですし…」
「あら?正義のヒーローさんかしら?貰えるもんは貰っておくのが良いわよ。助けてもらったのは私だし、私がみんなの分もお礼するから」
何だが、リーダーさんはちょっと頼りない感じだけどミナミさんのお陰でまとまってる感じがする。自信のありようも全く違う…
「そうね〜。じゃ、これあげる」
ミナミさんが渡してきたのは一枚のカードだ。何のカードかと思っていると説明してくれる。
「俗に言う永久パスよ。最大3人まで行けるわ。いつでも会場にご招待。あなた方の為にVIP席は空けておかなくちゃ」
「え、良いんですか?売り上げとか…」
「もう十分すぎるくらいよ。何より、能力者なんていつ死ぬか分からないんだから、ケチってちゃ損しかしないわよ」
「お、初めて意見が合ったぜ!」
「ケルトさん、ミナミさんが1番好きって言ってましたもんね」
「あら?そうなの?良い男だし付き合ってあげても〜なんてね」
「なっ!あんまりからかうんじゃねー!」
ミナミさん達とも仲良くなれて本当に良かった。こんな人達ばかりなら良いのに。




