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第58話 ーー夏の到来ーー

「うぐぅぅ…急に暑いです〜」


 今日は朝から気温が高めだ。いつもの暖かい服装だと暑い。そういえば夏の服は買ってもらってなかったな。


「おーいイリウスーってどうした?そんなげっそりしやがって」


「暑いのです〜」


「そんな暑いか?あ、そうか。人間は簡単に毛が抜けねーんだな。脱げば良いだろ?」


「僕は露出狂じゃないんです〜」


「俺が露出狂みたいな言い方すんじゃねー」


「ともかく夏の服が欲しいんです〜。買い行きませんか?」


「ん?あーそういや買ってなかったな。行くか」


「やったー!」


 僕は気だるそうに喜ぶ。獣人さんの方が暑いと思ったけどケルトさんは元気そうだ。そんなこんなで僕は新しい服を買いに行く。


「お、これはこれはケルト様ではないですか!今回はどのような服をお求めで?


「こいつの夏服を頼む。通気性が良くて動きやすい服が良いな」


「はい!少々お待ちを」


 店主さんは相変わらずぺこぺこしている。僕もじっとしてるのは嫌だからちょこっと服を見ることに。


「フワフワ…」


「俺とどっちがフワフワだ?」


「こっちです」


 僕が服の方を指差すとケルトさんは悔しそうな顔をした。


「ケルト様〜。戻ってきて下さい〜」


 店主さんが呼んだ声が聞こえたので最初の場所に戻った。そしたら大きい服の山が出来ていて驚いた。まさかとは思ったけど…


「全て試着をお願いします」


「うっわすげー量…行けるか?」


「うぅ…やります…」


 全ての試着には2時間かかった。結果的に買った服は4着。100着ぐらいしたのに…


「まぁ良い買い物は出来たじゃねーか」


「時間かかりすぎですけどね…」


 時間はすっかりお昼時。人も多くなっていた。


「腹減ったな。どっかで飯食うか」


「良いんですか?トラさんとか待ってると思うんですけど…」


「大丈夫大丈夫。トラの胃袋なら2人分くらい大した事ねーよ。一応連絡入れておくけどな」


 ケルトさんは携帯をポチポチしたあとどこかへ向かって歩き始める。周りの店は夜にやる所が多いのかほとんど閉まっている。空いているのは大体行列だ。しばらくすると、ある場所で足を止める。


「着いたぜ!」


「着いたぜ!じゃなくて…閉まってるじゃないですか!」


「大丈夫だ。入るぞー」


「ダーメーでーすー!絶対入っちゃダメなやつですー!!」


 僕は一生懸命ケルトさんを引っ張るが効果は薄いようだ。そのまま引き戸を引いて開けてしまう。ガラガラと音を立てて扉が開くと、まさに和風といった感じだ。


「おーい俺だ!2人で頼むぜー!」


「流石に迷惑かけすぎですよ!」


 カウンター的な所には誰も居なくて、ケルトさんの声で奥からドタバタと足音が聞こえてくる。


「その声は…!やはり、ケルトさんじゃないですか!」


「よ、久しぶりになっちまったな」


「さぁさぁ。お座りになさって下さい。そちらの方は?」


「俺の息子だ。ほら、自己紹介はどうした?」


「僕イリウスです!」


「どうも初めまして。どうぞお座りください」


 見た感じお寿司屋さんだ。お酢の匂いがする。


「大将、とりあえずいつもので頼む。2人分な」


「かしこまりました」


 思ったより人間界っぽさがある。大将?さんは人間だし。魚も普通の魚を捌いている。


「寿司とか初めてだったな。美味いから覚悟しとけよ」


「お寿司は食べた事…いや、無かったですね」


 人間界で食べた事あったが、それはまた別だ。僕はもうイリウスだ。ケルトさんの息子で生物を生みし神に選ばれたイリウス。それで良い。


「スズキでございます」


 こんな感じで出てくるんだと思いながらお寿司を眺める。ケルトさんの方をチラチラ見ながら食べ方を真似しようとする。


「んー!やっぱりうめーな!」


「ん!美味しいです!」


 お寿司はケルトさんサイズなんだろう。口いっぱいに頬張った。すぐに旨味が広がってそれはもう絶品だ。


「それにしても…このお店も夜にオープンなんじゃないんですか?何で昼間に入ってきたのに…」


「ケルトさんには昔救われましてね。闇金って言うんですか。この店開くために借金しちまいまして。利子が多いのなんのって、払えなくなっちゃいましてね。そんな時、その人達を追い払ってくれたのがケルトさんだったわけでっせ」


「ケルトさんやるじゃないですか!人助けとか興味なさそうだったのにちゃんとやってるんですね!」


「あ?」


 大きなエビを咥えたままこっちを向く。すぐに飲み込んで話し出す。


「あーあれか。別に助けたわけじゃねーぞ。丁度美味そうな寿司屋を見つけたと思ってな。寄ったらめんどくさそうな奴らが大将の邪魔してて、このままじゃ寿司食えねーんじゃねーかって思ってな。ちょっっっっとだけボコしただけだぜ」


「いやはや、それでもありがたいものです…」


「…殺したんですか?」


「ボコしただけだボコしただけ。ちょっっとな」


 相変わらずの嘘下手で呆れる。ケルトさんのすぐ殺す癖は治さなきゃダメかもな…


「ふー。美味しかったです!ご馳走様です!」


「おう!大将!おあいそだ!」


「今回の料金はタダとさせて頂きます。良い一日を過ごして下さい」


「お、そうか。じゃあ行こうぜ」


「え、え、え、え?良いんですか?」


 僕はケルトさんと大将さんをチラチラ見やるがケルトさんに持ち上げられて外に出る。


「ちょ、ちょっと。無銭飲食ってやつじゃないですか?平気なんですか?」


「何回も言わせんなよ。法律は俺には適応しない。それに大将が良いっつってんだ。別に良いだろ」


「むー。そんなものなんですかね…」


 まぁ僕が払うわけじゃないからあんまり言えないけどモラルくらいはある方が良いよね…。ともかくお腹いっぱい食べれて満足!


「お前ら!昼飯が要らないと12時に言うやつがどこにいる!作った後に言われても遅いんだぞ!イリウスもだ!ダメだと思わなかったのか!ケルトを上手く操れるのはお前とご主人様しかいないんだ!勘弁してくれ!」


 帰ったらトラさんにめちゃくちゃ叱られた。流石に12時に連絡はダメだったか…

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