表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
56/326

第55話 ーー力加減ーー

「ぬぉ!?何するんですか危ないですよ!」


「げへへへ」


 僕は外に行ってしばらくしたら囲まれた。周りには獣人や人間が悪い顔をして立っている。急に変な棒を投げつけられて敵だと察知した。


「ぼ、僕があのケルトの子供と分かっての行動ですか!」


「あぁ?知らないね〜。というかケルトって誰だい?」


 ケルトさんはもっと知名度があるものかと思っていた。思ったより無かったんだ。知ってる人は知ってるとんでもなく強い人…何で刑務所壊しといて知名度薄いんですか!


「うぅ……どうしよう……10人は居るよ……」


 流石に怖くて泣きそうになっていた。そんな時、


「おいおいこんな所で弱い者いじめかよ、雑魚ども」


「誰の声だ!姿を現しやがれ!」


 僕がよく知っていて、聞くだけで安心する声。何よりも力強く、何よりも恐ろしい。


「お困りのようだな。俺の可愛い息子よ」


 暗闇でも赤く光る目に、暗闇に紛れる黒い毛。誰よりも強く、逞しく、僕を救ってくれる光のような存在。どの世界でも最強と謳われるその正体こそが、ケルトさんである。


「ケルトさん…!」


「な、何だこいつ!お前ら、やっちまえ!」


 悪い人たちは全員でかかるが、ケルトさんは慣れた手つきでバッタバッタと倒していく。流れ作業のような動きでどんどん敵が倒れていく。


「イリウスの前だ、命だけは助けてやる。2度と顔見せんじゃねー。次は殺す」


「は、はいぃ!」


 悪い人たちは続々と逃げていく。


「帰って飯食おうぜ!」


「はい!」


 僕らは何も無かったかのように帰路に着いた。

 家に着くと、ケルトさんはキッチンで食事の支度、僕は自室に行った。そこで思ったことがあったんだ。


(あれ?ケルトさんってトランプの施設みたいな所輪切りにしてたよな?周りの木々も輪切りだったし…普段から10tの重り持ち上げてるぐらいだからある程度納得出来るけどなんで料理とか出来るんだ?フライパンとか壊れないの?普通触れただけで全部粉々になると思うんだけど…)


 僕は気になったからこっそりリビングに行った。こっそり行く必要はないが、何となくこっそり行きたかった。

 キッチンを壁側からチラッと覗くとケルトさんがフライパンで何かを焼きながら包丁で何かを切っている。卵を割ってかき混ぜたりもしている。急に動きを止めたと思ったらこっちを見てきた。ビクッと肩を揺らす僕の姿を見て笑っている。もうバレているしいっそのこと聞くことに。


「ケルトさん…」


「何だ?そんな所でコソコソしなくても、料理くらい教えてやるぞー」


 ケルトさんは目を合わせない。僕が話しやすいようにしてくれているんだろう。


「違うんです…その…ケルトさんって力持ちですよね?」


「ああそりゃあな。俺より力持ちなやつは居ねーぞー?」


 ケルトさんは背中を見せながら二の腕をムキっとさせる。相変わらず凄い。


「じゃあ何でフライパンとか扱えるんですか?」


「ん?どういう意味だ?」


 やっとこっちに目を合わせた。そこまで大事な話じゃないと察したんだろう。


「えっと…ケルトさんは力持ちです。それなら、卵とかちょっと力入れただけで潰しちゃったり、フライパンとか、ちょっと振っただけで飛ばしちゃったりするんじゃないですか?」


「あー、確かにな。力持ちっつっても俺やトラは桁違いだからなー。俺も最初はそんな感じだったぞ」


「最初は?今は何で平気なんですか?」


「そうだなー。俺も頑張ったんだぜ?お前が言った通り、卵が上手く割れるようになるまで挑戦したり、フライパンを握り潰さねーように持とうとしたり、色々な。ご主人様に力加減を覚えろーって言われたから始めたが、正直やる意味をあんまり見出せなかったな」


 ケルトさんは楽しかった思い出話を語るように黄昏た顔をしている。料理を再開して、また僕に背中を向ける。


「その力加減って練習とかでどうにかなるものなんですか?」


「いいや?絶対無理だぜ」


「じゃあ何で出来てるんですか…」


 まさかの回答に困惑しつつもケルトさんは話し続ける。


「最初は全く出来なかった。いくつもいくつも卵は割れるし、フライパンは壊れるしで成長どころか退化してる気すらしたぜ。例えるならお前がほんの少し指先が卵に当たったら、殻がバラバラになってくようなもんさ。流石に萎えてな、やめようとしたんだよ。そしたらご主人様がこんな事言ったんだ」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「お主にもし、大切な者、愛する者が出来た時、その者の手を取れないのは嫌であろう?その者の手を取っても傷付けてしまうなんて嫌であろう?卵一つ一つを、大切な者だと思って接するんだ。きっと上手くいくさ」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「その言葉で、俺はまたやる気が出たって訳だな。その結果こうやって色んなことが出来るようになったんだ」


「なるほど…結局意識の問題なんですかね…」


「まぁそのお陰で」


 ケルトさんは料理が終わったのか僕の所まできて手を握った。跪いて来るなんて珍しい。あったかい。


「こうやって世界で1番愛してるやつの手を握れるってわけだな」


「なっ!!!!!」


 いつも屈んでくれないから顔が遠かったが、今回は随分と近い。獣人の中でとかそう言うのはよく分からないが僕はケルトさんはかっこいいと思う。


「俺は女にも男にもモテるから、お前が惚れるのも無理ねーよ。悪りぃが男はちょいときついがな…」


 僕は顔を赤くしながら、目を合わせないよう下を向く。ケルトさんの言葉で少し落ち着くが…


「お前は別だがな」


「別に惚れてなんていません!!家族として好きってだけです!」


「はいはい、家族愛ね家族愛。でも家族愛とかよく分かんねーからよく分かんない感じになっちまいそうだな」


「ケルトさんは何もしないでください!!!」


「へいへい」


 適当に返事をすると、お皿に料理を盛りつけ始める。美味しそうな匂いは相変わらずだが、今日は少し新鮮な気分だ。

間違えて書いていたデータを消してしまい1から書き直しました。可哀想だと思ったらブックマークお願いします(´Д` )

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ