第54話 ーー逮捕!?ーー
「ごちそうさまでーす!」
「ほーい」
夕食終わり。僕は大きな声でご馳走様と言いケルトさんがお皿を洗う。
「そういえばケルトさん。警察さんのお話してくれるんじゃないんですか?」
「あ、そうだったな。すっかり忘れてたぜ」
ぱぱっと皿洗いを終わらせたケルトさんはいつもの席に戻る。バク達も少し気になっているようだ。
「んじゃ、話すぜ。ご主人様達は知ってるだろうな。あれは俺がちとヤンチャしていた時期にな」
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「ちっ、どいつもこいつもつまんねー奴ばっかだな」
俺は喧嘩や殺し合いに明け暮れていた。俺が能力を使わずとも、どんなに能力で攻撃されようとも、面白い戦いをするやつなんて居なかった。
「あー。もう夕方かよ。飯当番俺だったからな、帰るか」
そんな俺でもご主人様の命令には逆らわないようにしてたんだ。そんなこんなで…
「何でバクには逆らわないようにしてたんですか?」
回想にまで入ってくんな。狼は群れ意識が高いからな。優秀なリーダーには従うってもんよ。
そんなこんなで結構やばいことから全然やばくないことまでやってたわけだ。そんなことをずーっとしてたわけだが、ある日に終焉が訪れようとした。俺はいつも通り街を歩いていたわけだが、たまたま変なやつにぶつかっちまってな。俺は無視して通り過ぎようとしたが、そいつがな
「おい!デカいおっさん!俺様にぶつかったんだ言うことあるだろ!」
「あ?そうだったな。早く謝れチビ」
「何だと!!!???」
そんでそのまま喧嘩になる所だったが、流石に人が多かったからな。路地裏まで行ってから殺したぜ。そこを丁度あいつに見られたんだ。
「何をしている?……!お前…今すぐ逮捕する!」
「あーサツか。めんどく…」
俺が反応するより早くそいつは投げ縄で俺を捕らえた。油断してたってのもあるが、確かに気付かなかった。多分それも能力なんだろうけどな。
「おい犬、名前は?」
「?ドンベルだ」
「そうかドンベル………最近の殺人事件のほとんどは俺だ」
「なに!?本気で言っているのか!自首にはならんぞ!」
「あぁ本気だ。俺の指紋でも何でも取って確かめると良い」
「分かった。署まで連行だ。こちらドンベル、今凶悪な殺人鬼を…」
って訳で連れてかれることになったんだ。俺としてはサツから逃げんのもめんどくさかったし今の内に力の差を分らせておけば俺に突っかかってくる事も無くなるっていう算段があったんだ。その日はまだ午前中に捕まったんだったな。取調室で、
「本当に全てお前なんだな。何という凶悪犯だ」
「凶悪犯?あいつらから喧嘩売ってきたんだ。社会の掃除みてーなもんよ。感謝してくれ」
「する訳ないだろ!これだとすぐにでも牢屋にぶち込んだ方が良いな。今日から臭い飯しか食えないぞ。分かってるのか?」
「そうだな〜。夕方5時には帰らせろよ〜」
この日の夕食当番も俺だったんだ。だから5時には帰らねーといけねー。
「そんなこと出来るわけないだろ!能力者には特別な権限を実行できてな。裁判のカットが可能だ。貴様がした罪の重さから、同じ能力者である俺ら警察が罰則を与えることが出来る。相当な凶悪犯でも無ければ基本使わないが…」
これは初めて知ったな。めちゃくちゃ真面目な顔ですんげーこと言ってるからな。
「おいおい、何のための法律だよ馬鹿馬鹿しい」
「お前は無期懲役だ。俺がお前を捕まえた時に分かった。お前は殺せない。だから一生檻に入ってろ!」
「5時には出してくれよ。さもないとどうなるか分からねーぞ〜」
それには返事もしないですぐ牢屋行きだ。牢屋も2種類あってな、普通犯罪者用の牢屋と、能力犯罪者用の牢屋があった。普通犯罪者用は…まぁ普通だな。能力犯罪者用は普通より固く、厚く、特別な力で能力が使えなくなってたんだ。多分サツ側の能力者のせいだが。そんで俺は能力者用の檻に入れられた。ここからは少しカットだ。
俺が寝ながら過ごしてると、外から5時の鐘が聞こえてきた。もう帰る時間だからな。大声で呼んだんだ。
「おーい!時間だぞー!早く出せー!」
だが、誰からも返事は返ってこなかった。せいぜい他の囚人が騒ぎ散らかすだけだ。俺は約束を破ったあいつらに制裁を加えるためにな、その牢をぶち壊したんだ。すると当然の如く刑務官が出てきた。
「何だ、やっぱ居るんじゃねーか。返事くらいしろよ」
「動くな!動くと撃つぞ!」
「どうぞご勝手に」
俺は生意気言う刑務官の正面まで行く。
「当てれるもんならな」
その後はひでーもんよ。刑務官は死んだし、俺を捕まえたドンベルはいねーから刑務所崩壊させたし。被害的には、刑務官が6割、囚人が9割死んだらしい。あ、ちなみに崩壊ってガチの崩壊だからな。10階建てくらいだったが1階だけになったぞ。その後は普通に帰った。怪我人とか多かったし俺に構ってる暇無かったんだろ。後になって指名手配とかされるかな〜とか思ったらされなかったし、サツ共は目線逸らすしで完全にガン無視決め込まれた訳だ。
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「ってのが俺があいつらに関わらなくなった話だ」
「何か…全面的にケルトさんが悪いですね…」
「仕方ねーだろ。約束破ったあいつらが悪いんだし」
「約束してる描写無かったですよ!?」
ケルトさんは自信満々に語るわけでも、申し訳なさそうに語るわけでも無かった。当たり前かのように話していた事から僕との距離を感じる。
「ドンベルさんもケルトさんの事許せないんですよ。きっとその刑務官さんの中にも仲間が居たと思います。そう考えると…」
「ま、そうだな。悪い事しちまったなー。まぁとにかく、俺は刑務所のブラックリストに入っちまったから刑務所には行けねーんだ。それどころか、俺と関わること自体、あいつらは禁止してるんだろうよ」
「司法すら脱却するケルトさん…恐ろしいです…」
「はっはっは!お前が恐れるのは俺じゃなくて能力者であってくれよ!お前が犯罪犯しても俺が守ってやれるから安心しとけよ」
「犯罪なんて犯しませんからね!」
また一つケルトさんの過去について知れた。おかしな人だけど、この世界には適応してるんじゃないかと思う。




