第51話 ーーお散歩ーー
「ふんふふんふふーん♪」
今日もウキウキな気分で外を散歩する。人間界に居て長かった僕は、この不思議な街を見て回るのが楽しくて仕方がない。
「そういえば…僕が能力者になった時の神社、誰も管理してないのかな。ちゃんと僕が行ってあげなきゃダメかもなー。この前はピルス君と行けなかったし。んーでも………」
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「良いか?散歩くらいなら行っても良いが、夕方5時には帰ってこい、遠くに行くな、襲われたらすぐに逃げろ。この3つを守るんだぞ。もし破ったら…分かるよな?」
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「うーん。ま、いっか!」
そうして少し街から外れた神社へと行くことに。距離的にはだいぶあるが、飛んでいけば案外すぐだ。田舎の方だから能力者がいる事も少ないだろうし平気だろうと思った。
「はぁはぁ…相変わらずこの階段は長いですね…」
神社の入り口、土で出来た道と山の境目にある小さな鳥居を潜った所に長い階段がある。空から侵入とかはちょっと気が引けるし、楽して登るのも何か嫌だったから歩いて登る。
しばらくかかり、神社の入り口である大きな鳥居が見えてきた時、神社が騒がしいのを感じた。
(あれ?お祭り?この神社って全く人が居ない物だと思ってたけど…)
階段の下からチラッと顔を出してみると人がたくさんいた。大人の人しかいなくて、みんな地べたに座ってお酒を飲んでいる。だいぶ酔っている様子だ。とりあえずせっかく来たんだから何の祭りか気になるし聞いてみようと足を踏み入れる。
「あ、あのー…」
「ガハハ!そんで俺が言ってやったんだ!」
「あ、あのー…」
「そう言ったらビビりまくりやがってよ!」
「あ、あの!」
全く聞き入れてくれる様子じゃなかったのでその人の腕を掴んでしまった。神力は見えないし能力者じゃないと思うけど一応警戒しておく。
「…お、お前さん…どこの神だ?」
「え?僕神様じゃないですよ?どうして急にそんなこと…」
「神じゃねーって事は…全員!!逃げろ!!!」
「え?」
その場にいた全員が突如立ち出し逃げ出す。流石に驚いて反応出来なかったが僕が話しかけた人は逃すわけにはいかないと思った。
「ちょ、待ってください!何なんですか!僕は何もしませんよ!」
「ん?俺らの事捕まえに来たんじゃねーのか?」
「何で捕まえるんですか…捕まえる理由もないですよ…」
それを聞いたみんなは僕らの様子を確認しに少しづつ戻ってくる。
「うーん…それにしても…お前さん能力者だべ?何の神に憑かれてんだ?」
「生物を生みし神様です!」
「なるほど…四大神だな。全員!!逃げろ!!!」
「ちょ、待って下さい待って下さい!!」
また逃げ出そうとする人を再度引き止める。一体この人達は何なんだ?
「離せっちゅうんだ!四大神の憑き人に関わるわけにはいかん!」
「何で何ですか!あなた方は一体何者なんですか!」
引き止めて居た人はそれを聞くと逃げようとするのをやめる。そして、勘違いしていたのを申し訳なく感じている顔でこう言う。
「本当に知らないのか?俺らの事」
「?有名な人なんですか?」
「あぁ。神の憑き人なら知らんやつはおらん。まぁお前さんみたいなガキじゃあ知らなくても仕方ない…か」
「…詳しく説明して下さい」
その人は座って喋り始める。結構深刻そうな顔だ。
「俺らは落神と言ってだな、神から落とされちまったんだよ。神の後継ぎ争い、今やってるのがまさにそれだ。後継ぎ争いは3000年前にも起こっていてな、その時に後継ぎが見つからなかった神の事を落神っつーんだ。落神は神の世界から追放されて、すぐに生まれ変わることを強制される」
「なるほど…神様も後継ぎの人が見つからないとそんな事になるんですね。ん?生まれ変わってないじゃないですか!」
「ま、それが問題なんだよ。お、先に約束してくれよ?俺らがここにいる事は自分の神に伝えねーってな」
「分かりました!約束するから全部教えてください」
この頃にはもう全員が酒を飲み始めていた。僕はその光景とさっきの話から悪い人ではないと思った。
「俺ら落神は神に追われる立場ってことだ。特に四大神達にな。生まれ変わりから逃げた俺達はもう抹消しか道がねーんだよ。そんならこの地上で、たっぷりと楽しんでから消えちまった方が良くねーか?だから俺らは神に見つからねー所でこうやって酒飲んでるって訳だ」
「なるほど。でもそれならあなた方の代わりの神様はどうなったんですか?後継ぎが見つからなかったって事はもう神様が居なくなっちゃうんじゃないですか?」
「うーん地上だと神星って呼ばれてたか?空から突然降ってくる星みたいな石があるんだがな。その石を拾ったやつが次の神になるんだ。だから俺らが落とされた時に神星が降って、それを拾ったやつが俺らの代わりの神になってるはずだぜ」
「なるほど!ちゃんとしてるんですね!ん?」
さっきまで気付かなかったが、建物の中に誰かが居る。平安時代とかで偉い人の顔を見えなくするやつみたいになっていて顔が見えない。でも、笑っている男女のペアなことは服装から分かる。
「あーあの人らか。少し特別なやつらでな。顔は見せられないんだ」
「特別?何かあったんですか?もしかして四大神様とか…」
僕がそう聞くと、その落神様は苦しそうな顔をした。
「もう日が暮れちまう。あの町に住んでるんだろ?帰った方が良い。あ、そうそう。ここでの事は秘密だぞ」
「分かりました…」
僕はやっぱり気になる。あの人達が誰なのか。普通に帰るのも嫌だったので、走ってその建物の目の前に行った。落神様達は驚いて止めようとしたが、それを振り払った。
「はぁはぁ…あなた方が何者かは僕には分かりません。でも、もし四大神の人達なら、安心して平気だと思います!僕は生物を生みし神の憑き人です!未来は僕らが背負ってみせます!」
四大神様方の苦労や重さは良く知っている。このローディアを愛している気持ちも。もし四大神様だったら心配しちゃうかもしれない。だから安心させたかった。
その後は普通に家に帰った。街に入る頃には、5時の鐘が鳴っていた。帰ったら叱られました。




