第4話 ーーティータイムーー
「んー。やはりteiに菓子は合うの〜」
「このお菓子美味しいです!」
バクはティーカップ片手にクッキーをつまむ。僕はモコモコした謎のお菓子をむしゃむしゃと食べる。
「お、そうか?この菓子俺が作ったんだぜ!」
「そうなんですか?すごい美味しいです!」
「……」
何気ない日。さっきまで戦っていたとは思えない。僕は勝った事でケルトさん達の喧嘩を止めれて達成感満載だ。その中でも、何かを抱えている人が1人、
「それでトラ、不服そうだが何かあるのか?」
「いや、別に…いや、やっぱり俺は…」
「とにかく!喧嘩はやめて欲しいです!家族で喧嘩は悲しいです!」
僕の必死の訴えでトラさんは怯む。でもやっぱり納得いかない様子だ。
「ったく何なんだ?さっきから様子が変だぞ?」
「俺は…俺はやはり…ケルト、お前と争うから成長してる気がするんだ」
「んだ?告白か?」
「そんなわけないだろ!俺は強くならなきゃいけないんだ。お前は1人でどんどん強くなっていった
、だが俺は違う!1人で修行しても強くなれない。いつまで経っても強くなれないんだ!かと言って修行では甘くなるかもしれん…だから喧嘩という形で争えば、俺は…」
普段からケルトさんと対抗していた仲、それでも負けてしまう自分に嫌気がさしていたのかもしれない。
「んだよ。そんな事なら早く言えば良かっただろ?俺だって手加減は好きじゃねーし。普通のやつじゃ満足行ってなかったしな」
「おー!話せば2人とも解決出来るんじゃないですか!もっと早くすれば良かったのに…」
「俺らは元々ライバルだぜ?話し合うより拳を合わせた方が分かるっつーの」
「分かっていなかっただろう…」
ケルトさんとトラさんの喧嘩はこれで終わった。これからもっと仲が良くなると良いな!
「ケルトさんとトラさんも座って一緒に食べないんですか?」
「俺らはあくまで主に仕える従者だ。一緒に食事をするだけでも無礼極まりないのにティータイムまで一緒とはいかん」
ほげーと感心してしまった。ちゃんとそういう意識あったんだな〜。
「ん?そんな理由で一緒に食べなかったのか?」
「ご主人様は逆に何でだと思ってたんですか…」
「てっきり糖質抑えてるものかと…ほら、お主ら…身体とか気にしてそうだろ?」
「正直全く気にしてないんですが…食っても鍛えりゃ良いし…」
「まぁそう言うことなら座れ」
「話聞いてました?」
バクに関してはそういうの気にしなさそうだし、僕としても納得だ。トラさん達は困った顔をしているが、
「我はみなで食べた方が美味しいと思うし、何よりもう家族ではないか」
バクの言葉にケルトさんとトラさんは目を輝かせる。
「じゃあ、お言葉に甘えて」
「食べさせて…もらいます」
「急にぎこちないの〜」
「2人ともそういうの気にするタイプなんですね。トラさんはまだしも」
「おいそれどういう意味だ」
ケルトさんも意外と礼儀正しいんだなと思った次第だ。一緒に食べ始めた時、ケルトさんが口を開く。
「あ、そういや俺らの紹介も兼ねて四大勢力の話もしといた方が良いですかね」
「そうだな、我々と居る以上いずれ知ることになる」
「四大勢力?四大神様達の知り合いか何かですか?」
「まぁ元はそんな感じって言われてるな。実際にはちげーけど。四大神は神の中でも役割が多く偉い神だ。だが四大勢力は別に偉いわけでも役割があるわけでもねー。ただ色んな世界で最強って謳われてるやつらだ」
最強…世界がいっぱいあると最強も何人かいるのかな。勢力って言うからグループみたいなのだと思うけど。
「強い能力者ってことですか?」
「いや、別に能力者とは限らん。能力者っつーのは神のいるローディアの住人限定での呼び名だ。他の世界ではそうだなー、魔法使いとか、エスパーとかそんな感じのやつもいる」
「なるほど…特別な力を使っているからと言って能力とは限らないんですね!」
「そ、まぁ能力者もいるけどな。一個ずつ紹介するぞ。
宇宙人で科学技術を使ってくる奴ら
『ε』
魔法使いで変な仮面の奴ら
『トランプ』
数が無駄に多い正体不明の奴ら
『Masker』
そんで俺ら『トライアングル』だ」
色々ツッコミどころはあるが何となく分かった。全ての名前に統一性が無い所から世界の広さを実感する。
「なるほどー。みんな強そうな名前なんですね!………………?今俺らって言いませんでした?」
「ん?そうだぞ?俺とトラとご主人様でトライアングルって呼ばれてんだ。自分で考えたわけじゃねーからな?」
「えーーーー!!!」
確かにケルトさん達の強さは異常。それは知っていたが、世界に名を響かせるほどのものとは思わなかった。
「まぁ安心せい。四大勢力と言えど顔が知られている者は限られる。我々もほとんど顔が知られていない。だが、お主が来たことで大きく知られたかもしれん」
「え、それって僕の…せい…?」
「あー違う違う!お主のせいではない!我々にとってお主は弱点なんだ。この前誘拐されたのも同じ理由だが、お主を取られたら我々は何も出来ん…我々のレベルほど欲しい物は無いしな。あやつらも卑怯なものよ」
「まぁ俺がぜってー守ってやっから安心しろよな!」
頭を撫でてくる。これで安心出来るのはどうしてなんだろう。
「でも、もし、四大勢力の人が来たらどうするんですか?ケルトさん達と肩並べるほど強いんじゃないんですか?」
「んーそうだなー。Maskerは未だに詳細不明だ。あいつらまるで俺らの事避けてるみてーに立ち回る。εは潰した」
「え?潰した???」
「あぁ、一回攻めてきやがってな。宇宙船っつーのか?ぶっ壊して兵と大将をぶっ殺した。遠距離攻撃の武器持ってて正直面倒だったぞ。潰したっつってもあいつらの星行って全滅させた訳じゃねーからいつか報復に来るかもな」
僕が生きてる間に来なきゃ良いけど…そう思いながらジュースを一口。
「トランプは大将が4人居てな。スペード、クローバー、ダイヤ、ハートなんだが、スペードとクローバーは殺した。ダイヤとハートだけ逃しちまった。後何人かの仲間だな。あいつらも勢力上げて報復とか来なきゃ良いけどな〜。正直めんどくせー」
「そんな簡単に潰せるものなんですか…ケルトさん達ってそんなに…」
「簡単じゃなかったぞ。普通に怪我したし死にそうにもなった。何とか切り抜けただけだ」
「な、おま、それ言うんじゃねーよー」
強がっていただけみたいだ。トラさんの肩をバシッと叩いたがトラさんは止まらない。
「別に俺らが特別な訳じゃない。負ける時もあるから期待しすぎるな」
「それでも充分だと思いますけど…」
そんな強そうな敵、僕は戦いたくないなーと思った(フラグ)。実際に戦ったわけじゃないからよく分からないが、ケルトさん達と同じレベルだとしたら絶対に勝てない。
「そんな怖がんなよ。俺らが付いてる。前より強くなってるしな!」
「もし、もしですよ?ケルトさん達でも勝てないくらい強い人達が来たら…どうしますか?」
「「「お前だけでも逃す」」」
「即答ですか…」
大事にされてるのはよく分かった。それは嬉しい。けど僕はみんなに居なくなってほしくない。明日から修行を頑張ろうと思う僕であった。
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