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第48話 ーー大きな影ーー

強制電話(コンペルコール)!」


「くっ…!潰れろ!」


 バクとトラさんが戦っている。修行かと思ったが何かガチっぽい雰囲気だ。


「あの2人…どうしたんですか?」


「ん?あぁ。ご主人様のへそくりが見つかったらしくてな。喧嘩してんだ」


「そんな事で…」


 正直めちゃくちゃどうでも良いことだが、大人の人達にとっては大事なのかな?よく分からない顔で見ておく。


「くそ、拉致があかんのぅ。召喚(サモン)、来い!我が使い魔よ!」


 バクの目の前に大きめな魔法陣が出現し、雲のようなものがモクモクと出てきて上に向かう。


「ケルトさん、あれ何ですか?見たことないです」


「あれは使い魔っつってな。自分の指示に従う機械人形みたいなもんだ。あの使い魔に神力を分け与えてな、その神力の量だけ動けるようになるんだ。人によって形が違うが、全員やることは一緒だぜ」


「使い魔よ、あいつに向かってナイフの雨を降らせろ!」


 モクモクと登って行った雲は空一面に広がっている。そして、バクがそう命令すると、途端に雲からナイフが降ってくる。もちろん普通に降るだけじゃなく、投げられているかのような感じだ。


「わー…何か残酷な技です…普通の人ならあれで串刺しになっちゃいますね…」


「普通のやつになんて使わねーよ。使い魔なんてただでさえ神力の消費多いのに。意外と役に立たない事もあるしな。ほら」


 トラさんとバクが接近戦をしている時、相変わらずナイフの雨が降り続けているがそのナイフがバクにもカスっている。ちょっとブレたら当たっちゃいそうだ。


「バクにも当たりそうじゃないですか。どうして攻撃をやめないんですか?自分の主人に攻撃なんて普通しなくないですか?」


「それが機械人形っつーことだ。あくまで言った命令しか聞かない、聞けないんだよ。その上単純な命令だけだしな。便利ではねーよ」


「なるほど…でも僕も欲しいです!ありますかね?」


「さぁな、神による。この戦いが終わったら試してみようぜ」


「はい!」


 初めて見た使い魔、どんな感じなんだろうと思いながら、バク達は疲れ果ててゆく。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

(?)


 木で出来たような人型の人形が動き出す。ぎこちない感じだが、どこかへと行こうとはしない。ぴょんぴょんと跳ねたりしている。

 そんなことをしていると、突然体が大きくなる。丸っこい感じで、足が無くなった。幽霊のような下半身になっている。


「うーむ。今日はこれとこれをして…ん?おぉ使い魔か。イリウスもついにそんな時期か。体しか決まってないようだがな〜」


「?」


 使い魔は丸っこい体に手が欲しそうにしている。そうするとすぐに、腕が消える。使い魔は急に腕が消えて焦っているが、すぐに手だけ浮いていることに気づく。


「ほう、歪みの力を装飾に使うとは…イリウスも中々やるな」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「ここはこうして…」


「まだデザイン考えてんのか?適当で良いだろ適当で」


「良くないですよ!これから一生着いてくるんです、考えないと!」


 僕は目を瞑って使い魔のデザインを考える。どうやら使い魔と言うのは、元々は木製の人形らしく、神の憑き人がその姿を創造することで完成するらしい。神によって人形があるか別れるが、多分あるだろうと言うことで考えている所だ。


「うーん、やっぱり可愛さとかっこよさを兼ね備えた感じが良いですね〜。手を浮かせて…体も浮かせて…丸っこくすれば可愛いですね〜…」


「んなの考えたこともねーよ…」


「使い魔にそこまでするなんて、イリウスは本当によく気を使うんだの〜」


「あ、丸っこい所に模様付けたらかっこいいかも!こうやって〜…」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 使い魔が驚かなくなりぼーっとしだした。体に変な模様が着き始めじーっと見ている。


「ンゴォォ?」


「お、喋れるのか。言語は分からんがな」


「ンゴォォ」


 使い魔は発声練習かのように声を出しているが、何の意味があるかは分からない。顔がまだ中途半端だからどうなるかと心配になる。

 今までぐちゃぐちゃに変わっていた顔がやっと止まる。歪みを象徴するのか、逆三角形の中にまた逆三角形と言うのを何回もやっている。それぞれの線を歪ませて真ん中に黒い玉が浮いている。体の割に薄っぺらい顔だが、まぁ別に良い。


「似合っているではないか。可愛らしい見た目に異物感満載の手と顔。イリウスらしいな」


「ンゴォ?ゴォ!」


「はっはっは。嬉しいのか、良かったな。お、ほら、お前を作ったご主人がお呼びだぞ」


「ンゴォォォ!!!」


 使い魔は喜ばしい表情でホールに入っていく。


「ん?そう言えば…使い魔って喜んだりするんだっけか?」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「それでこうして…顔はこんな感じで…」


「ふぁ〜あ。ちょっと水飲んでくるぞ。出来上がったら、サモンっつってそいつを持ってくるイメージしろよ〜」


「あ、はい。わかりました」


 僕は頑張って完成させた。これが理想の使い魔の姿。


「来い!サモン!」


 ホールのような物が開き、そこから大きな影が姿を表す。


「ンゴォォォォォォ!!!!」


 影…と言うか、灰色の大きな体に、歪みをモチーフな不思議な顔、浮いている手…完璧だ!


「やったー、成功したー!本当に居たんだ!」


「何の声かと思ったら…召喚出来たんだな」


「はい!」


 僕はうーんと考えた。そして、みんな揃っていたし聞いてみる事にした。


「名前ってどうしたら良いんですか?」


「「「は?」」」


 3人は目を合わせたあと、大爆笑しだした。


「あはははは!いひひひひ!お前な、ごほん、あのな、名前って、ぐふっ、機械に名前付けんのか?」


「くっふふふ…あまり変な事を言わんでくれ…我でも流石に笑ってしまう…くふふ」


「ふははははははは!名前、名前だと!」


「な、そんな笑う事ないでしょう!名前あった方が呼びやすいだろうし…この子だって…」


「あはは!この子って、いひひ。ふっふっ…あ?…!」


「!!!ちょ、ちょっと何してるの!」


 僕の使い魔がケルトさんを殴り飛ばしてしまった。流石に驚いたし、バク達の笑い声も無くなった。


「あー。イリウス、お前そんなこと命令すんのか?」


「え?命令ってなんですか?」


「使い魔は命令通りに動く、さっき言っただろ。俺に盾突こうなんて良い度胸だな」


「僕命令なんてしてないですよ!」


「嘘つくんじゃねー。命令がねぇと動かねーのが使い魔なんだよ」


「そんな…」


 使い魔は僕の事をじーっと見つめている。急に動き出したかと思ったら僕の目の前まで来て、手を差し出してきた。


「え?名前欲しいの?」


「ンゴ!」


 使い魔が元気そうに返事をするものだから、僕も考えてあげることにした。


「えーっとじゃあ………スキュー…とかどう?」


「ンゴォ?」


「スキュー、君の名前」


「ンゴォ!!!」


 僕の使い魔、スキューは嬉しそうに手を上げている。僕から見たら、ペットを見ているようで嬉しいが、バクやケルトさんは異物を見るような目をしている。


「えーっとだな…イリウス?何故使い魔は喜んでいるんだ?と言うか名前を欲していたのか?」


「う…うん。この子、名前が欲しかったみたいだよ!やっぱりおかしい話じゃないんだよ!機械だって名前くらい…」


「それがおかしいんだが…通常使い魔は主人とのコミュニケーションは当然のこと、アイコンタクトすら取らんのだ。それなのに、その使い魔はおかしなことを全てやっている…普通ではないぞ」


「スキューが…変?」


「ンゴォ?」


 僕の作った僕の使い魔。一体何が変なんだろ?

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