第42話 ーー思い出話と友達ーー
「それでですね!それでですね!僕がドカーン!ってケルトさんのこと殴って、みんな助かったってわけです!」
「お、おう…何て言うか…本当なんですか?ケルトさん」
僕は今、煌牙組のみんなにこの2ヶ月であったことを話している。僕が意気揚々と話している中、みんなは驚いて口を開けたままだ。
「本当だぜ。全部な」
「ケ、ケルトさんが操られるなんて…」
「じゃあ、トランプが滅んだって言うのも本当…?」
「あぁ。トドメは俺が刺したが、イリウスが居なかったら何も出来てなかった。それどころか俺はイリウス達を…」
「イリウス君って結構頭回るんだね…流石は煌牙組のトップ2だね!」
「えっへん!そうでしょうそうでしょう!シャーガさんは分かってるのです!」
やはり信じていない人も居たが、ケルトさんの証言で信じたようだ。僕がむっふんと胸を張っていると、1人不服な人が居た。
「別に俺だってそんくらい…ブツブツ」
「まーた嫉妬か?ピルスも大人になれよ。イリウス君はまだ10歳であんな大人なんだぞ?」
「べ、別に嫉妬なんてしてないっすよ!ただ…」
「ただ?」
「もう!何でも良いじゃないっすか!」
「イリウス君がすごいのも事実さ。認めなきゃだめさ」
「………」
みんなに言われてもまだ不服そうだ。僕はよく分からなかったがそれなりの理由か何かあるのかもしれない。
「それにしても、トランプのクソ野郎共を殺せたのは流石です、ケルトさん」
「まぁ…そうだな。それはイリウスに言った方が良いんじゃねーかと思うぞ?コウ。お前もまだ認めてねーのか?」
「流石に今回の話を聞いたら認めざるを得ませんよ。ただ…やっぱなんか気まずいっつーか…」
「違います!」
僕の大声でみんな驚いてこっちを見る。
「トランプのみんなは…くそやろうなんかじゃないです…」
「?イリウス君の事も殺そうとしたんだよ?ケルトさんだって、ハートじゃなかったら殺されてたかもだし…」
「違うんです!トランプのみんなは…優しかったんです…それなのに…」
僕が涙ぐむのを見て、シャーガさんは何も言えなくなったままケルトさんの方へ向かった。
「ケルトさん、イリウス君どうしたんですか?」
「さぁな。イリウスはハートの記憶を見たんだが、記憶の内容は教えてもらってねー。それが関係してんのは確実だ」
コソコソとシャーガさんとケルトさんが話している中、1人地雷を踏む。
「クソ野郎はクソ野郎でしょ。トランプなんて何千も殺してる大悪党集団なんだから」
「!!!トランプのこと何も知らないのに勝手言わないで下さい!」
「知らないもないっしょ。じゃあ君がトランプについて何を知ってるのか全部話しなよ」
「そ、それは…話せないです…」
「ほら、トランプがやったことは正当化出来ないの。どうにも出来ないの。あんなやつが優しいやつだなんてありえないんだよ」
「違います!トランプは…ハートさんは…」
「ピルス!!!!」
ピルスさんと言い合いになっていた時、ケルトさんの怒号が響く。
「言い過ぎだ。慎め」
「で、でも!ケルトさんもそうでしょう!?自分が殺されそうになったんですよ!?そんなやつが優しいとか舐めてるとしか…」
「イリウスがここまで庇うんだ。それなりの理由があるはずだ。そんな罪も通り越して、庇いたくなる理由が。それに何千も殺してるっつーなら俺も同じだぜ?お前は俺が嫌いなのか?」
「そ、それはないっすけど…」
「じゃあ慎んどけ」
ピルスさんは凹んだ子供のような顔をする。ケルトさんは怒ったような感じがしたが、顔はそうでもない。何かを考え続けているような。
「そういやピルス、お前に一個役目をやろうと思う」
「え!?俺に役目っすか!?!?やったー!!!」
全力で喜んでるピルスさんを見ながら、表情一つ変えずに続けて言う。
「イリウスのダチになって欲しいんだ」
「え?」
「え?」
「「えぇぇぇぇぇぇ!?!?!?」」
「僕達が喧嘩してたの見てたんですか!?何よりもこんな人と友達なんて嫌です!!自分勝手で自己中心的で格上の人には自分の意見すら言えない弱気な人なんて僕…」
「俺らが喧嘩してたの見てたんすか!?こんな世間も知らないような子供と仲良くなんて無理っすよ!感情論ばっかで他人に何でも言うような強気なガキなんて俺…」
「「絶対無理です!!」」
「おうおう、もう仲良くなったのか!良かったじゃねーか!」
「何で俺なんすか!子供の世話ならシャーガさんで良いじゃないですか!」
「お前を選んだ理由は単純に歳が近いだろ?世話じゃねーしダチだからな」
その後、完全に困惑しきって2人でケルトさんに文句を言いまくった。だが、全てケルトさんに言いくるめられてしまった。
「シャーガ、弱い上、俺の与えた役目すら出来ねーようなやつって煌牙組に必要か?後、こんなやつとも仲良く出来ねーような陰気なガキだ」
「はい!全くもって要らないと思います」
「だとよ。最後のチャンスをくれてやる。やるか?やらないか?」
「「うぅ…やらせていただきます…」」
そんな事で僕とピルスさんは別部屋に移動となった。案の定口数が無いし、目すら合わせれないからたまたまあった辞書を漁ることに。
「な、何してるの?」
「辞書を漁ってます。友達って何なのか調べようかと」
また沈黙になった。友達の意味なんて何回も見てきたけど、いざ聞かれると答えられない。
しばらくして、
「あのさ、さっきはその…ごめん…トランプの事何も知らないのに、勝手に悪く言って」
辞書で友達以外の単語も適当に読み漁っていた時、ピルスさんが気まずそうな顔で言う。
「…僕も…すいません…熱くなっちゃいました。トランプがやった事が許せない気持ちも分かります」
「……俺さ、イリウス君に嫉妬してるんだよね」
「?」
突然の告発に驚きつつも、話を聞くことに。
「イリウス君ってさ、ケルトさんの子供で、能力者で、色んな経験して、修行して…羨ましいんだよね。ケルトさんは俺のこと全然見てくれないし、たくさん見てもらえてるイリウス君のことが…あはは、ごめんね、何か俺の話になっちゃって」
笑って誤魔化すピルスさんだが、その目に嘘はない。
「…誰かには…話した方が良いですよね…」
「え?」
僕は覚悟を決めた。思い出すだけでも辛かったあの記憶、誰かに話せば楽になれると信じて。
「トランプの過去。知りたがってましたよね」
「え、いや話したくないんだったら…」
「ハートさんは・・・」
〜30分後〜
「そんな…呪われてただけなのに…んなのぜってー許しちゃダメだろ!てか許せねーよそんな事!全員助けられてたくせに、そんな恩知らずな奴ら…」
「そうなんです!酷い人達ばっかりなんです!せっかくトランプのみなさんはヒーローになれそうだったのに…あんなのって無いですよ…」
いつの間にか、お互い目に涙を浮かべながら語り合っていた。
「それで…ここからは…ハートさんが見せたい記憶じゃ無かったみたいなんです」
「そう…なんだ。……優しい人達だったんだね。」
「そうですよ…だから、僕は、僕だけは、
彼らを讃えます」
「………俺も」
「え?」
「俺も讃えたい!確かに人殺しちまうのは悪いことだけど、人を助けるのは良いことだ!だからそれは俺も認める!」
「…ぷふふ」
「な、何で笑ってんだよ!」
「いいえ、ちょっと…あはははは!見た目通りの性格過ぎて、あははは!」
「な!本気だぞ!俺は!」
「分かってますよ。ピルスさんって思ったより良い人だったんですね!」
「んだよそれ……ピルスでいい。今更あれだけど…」
そう言ってピルスさんは手を差し出した。
「よろ…しくな」
「よろしくです!ピルス君!」
僕は迷いなく、その手を取る。
「あれも狙い通りってことですか?」
「ん?まぁな。あいつらは相性が良いと思ってたんだ。腹割って話せるダチが出来ちまえば、あいつの人生、もっと幸せになるだろ。1人で悩み込んで変な道進むんじゃねーぞ、イリウス」
テストの影響で少しの間投稿に支障が出ています。もう少ししたら1日1回投稿再開出来るのでそれまでペースを落とさせていただきます。




