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第36話 ーーケルトさんの修行2ーー

「おえ〜やっぱり美味しくないです〜」


「文句言うな。お前のためなんだからな」


 今日も今日とて晩御飯終わりに血を飲ませてくるケルトさん。ひたすらに腕を鍛えたせいで筋肉痛で腕が上がらない。グラスを両手で持つのが精一杯だ。


「今日は疲れたの…明日もあるのか?」


「もちろん!明日はイリウスの足の修行ですかね。飛んでばっかだと地上で戦えなくなりますから」


「僕の強みなんですからやる必要無い気が…」


 バクも相当疲れてそうで今にも寝てしまいそうな顔をしている。ケルトさんとトラさんは余裕そうだ。


「そういえば、身体が妙に軽いです。ケルトさんの血のお陰ですが、今ならだいぶ素早い動き出来るんじゃないですか?」


「そうか?じゃあやってみろ」


「こ、ここでですか?」


「そうだぞ?この部屋で飛び回ってみろ。壁とか天井とかに張り付いて次の場所に飛ぶイメージでな」


 僕は言われた事を実行しようと構える。とりあえず壁にと思い足に力を入れると、思った以上にスピードが出て顔から行ってしまった。


「あーあ何やってんだ」


「うー…痛いですー…」


 ケルトさんは鼻血が出ている僕に近寄りヒールを使いながら言う。


「ま、だいぶ俊敏にはなってるみたいだな。明日はそれを生かした修行にするぞ」


「ふぁーい…」


 今日は終わり、次の日の朝になる。筋肉痛は未だに治らず、痛いままだ。


「よし、トラはご主人様と走り込みだ。スタミナと俊敏性付けとけ。イリウスは、昨日の成果をちょいと見せてくれ。その後俺と足の特訓だ」


「昨日の成果ですか?」


「そうだ。お前の神器、ちゃんと振れるかどうかだな」


 僕は神器を手に取って神力でほんの少し覆う。相変わらず重いが、振れない程じゃない。


「ふ!は!えい!」


「ほうほう。まぁそんだけ振れりゃあ問題は無さそうだな。本気で神力込めたらどうなる?」


「やってみます!」


 僕は今ある神力を限界まで剣に乗せる。もはや重さを感じないほどまで。


「すっごく軽いです。持ってるのか分かんないくらいです」


 ヒュンヒュンと振り回すが疲れない。風を切る音が聞こえるからちゃんと切れてはいるんだろう。


「そんな神力込めて風が切れるくらいなら平気だな。合格だ!」


「やったー!」


 僕は両手を上げて喜ぶ。やっと神器を使えるようになったんだ。


「そんじゃ、とりあえず走るぞ。あ、持久走じゃねーから全力で走れよ?」


「全力疾走ですか…久々ですけどどこまで走るんですか?やっぱり50メートルぐら…」


「とりあえずあの岩までだな。大体ここからだと、そうだな〜。600メートルってとこかな?」


 ケルトさんが指を刺した場所は結構遠い岩。直線で走れるがほんとに遠い。確実に持久走の距離だ。


「え、本当に言ってます?持久走の距離じゃないですか?」


「何言ってんだ。持久走っつったら人間でも20キロとかだろ?俺らならそのタイムで200キロは行かねーとな。がはは」


「全然笑い事じゃないんですが…」


 ケルトさんが楽しそうに言ってる中僕の顔は青ざめていく。


「俺はお前に合わせるとして、目標タイムはどうする?600メートルだぞ?」


「5分くらいですかね…」


「は?俺の血飲んでんだろ?全く呆れるぜ。人間とは言え30秒まで縮めるぞ」


「え??30秒???そう言うケルトさんは何秒で行けるんですか!!!」


「俺は大体1キロで0.02とかだったから600じゃ0.01くらいじゃねーの?」


「化け物です…」


「良いからやるぞ!時間がもったいねー走れ!」


 とりあえず600メートルを走ることに。結果は4分20秒。最初身体が軽いと思い全力で走ったが後半で体力がなくなり勢いが消えた。僕ははぁはぁと息を切らしながら俯く。


「嘘だろ?4分?そんで息切れ?舐めてんのか?」


「だって…はぁ…仕方…はぁ….ないじゃ…ないです…はぁ…か…」


「よし、じゃあ今から無限マラソンだ!水分は適時俺が渡してやる!ほら、走れ」


「嘘でしょう!?!?」


 そこから無限に走らされた。一定の速度を維持しながらずっと。少しでも速度が落ちると棒みたいなので叩かれる。そのまま3時間が過ぎて…


「ゲボォ……おえぇぇ…!」


「まだ3時間。身体の方が限界になったか。安心しろよ、死ぬことはねー」


(そう言う問題じゃ無いですよ!!どうしよう…このままだと確実に死ぬ!身体が死ぬと言うか精神が死ぬ!こんな修行やってたら持たないよ!)


「随分と頑張っている様子だの。吐くまでやるとはすごいやる気ではないか」


「あ、ご主人様。こいつ全然出来ませんよ、3時間低速で走っただけでこのざま。どうすりゃ良いんですかこれ…」


 ケルトさんは本当に困った目でバクに助けを求める。


「そうよの〜。イリウスの強みは圧倒的な神力の多さだ。それを利用しない手はない。速度においてはテレポートでどうにかなるんじゃないか?スタミナは付けねばならんがな。後は足の速さよりも空中での機動性を上げた方が良い気がするがの〜。筋トレとは外れるがな」


「それだ!!ありがとうございます!!」


 ケルトさんは悩みが晴れたのか、疲れて座り込んでる僕を持ち上げて遠くへ向かう。


「よし、ここをこうして、、この岩は邪魔だな。そんでこうしたら…出来た!」


「何ですか?この空間」


 着いた場所は洞窟のような場所。岩がゴツゴツしていて居心地は悪い。


「俺が前に使ってた場所でな。精神統一に使ってたんだ。この場所でお前には動き回ってもらう」


「狭いし暗いし動き回るほど広さないですよ?」


「昨日やらせただろ?部屋の壁とか天井とか使って動き回るやつ。あれを出来るようにするぞ。空中でも使えるようになれば機動性は抜群だ!」


「なるほど…確かに空中で神力を使えば床みたいな足場を出せる…」


 考えは納得出来たが、昨日実践した結果は散々だった。壁に足を着こうと思っても上手く出来ない。


「って事で、後は頑張ってくれよ!終わる時になったらまた来るからな!そん時もし出来なかったら…また明日も修行だな。じゃあな!」


「え?ちょ、待ってくださいよ!本気で言ってるんですか??1人でやるんですか??ケルトさーーーん!」


 行ってしまった…とりあえずまた帰ってくる時までにどうにかしないと…そうして僕の訓練は始まった。


「いったーい!やっぱり無理だよー…」


 案の定顔を当てる。家と違ってゴツゴツしてるせいで着地が上手く決まらない。何とか床から壁は行けるが、壁から天井に行こうとしてもバランスが崩れる。


「どうしよう…神力の使用は多分禁止だし…勢いに任せてみる…とか?壁に着いてしばらく経つと重力でバランス崩すし。って言うか着地ってこと自体間違いなのかな?どちらかといえば壁に足で当たりに行くイメージとか?」


 僕は考えた方法を実験してみることに。すると、5回まで成功することになった。床から壁に行く時、着地せずに蹴る感じでやると方向が合っていれば天井に行ける。それを繰り返すと理想通りの動きが出来る。


「出来た!でもどんどん動きが早くなっちゃうから途中で限界がきちゃうな…距離を変えてみるとかかな?床、壁、天井、壁、床だけじゃなくて床から天井とかも行くようにしてみれば良いかも…そしたら・・・」


 時間は経ち、ケルトさんが迎えに来る。


「おーい迎えに来たぞー。さーて出来るようになったのかな?」


「はい!見てて下さい!」


 僕はケルトさんが居る前で実演してみせた。ケルトさんは口を開けて驚いた様子で立ち尽くしていた。


「どうですか!?良いですか!?」


「お前…すっっっっげーーーな!まさか1人でここまでやる奴だとは思わなかったぜ!文句無しの合格だ!」


「やったー!!!」


 こうして、ケルトさんの鬼畜修行は幕を閉じる。


「ケルトの修行の何がやばいって、これからまだトラとイリウスの修行があるのにこんな事やる所だからの。筋肉痛が大変だの…とほほ…」

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