第25話 ーー闇に潜む影ーー
「すごーい!超美味しそうです!」
僕が目を輝かせながら見る先は焼いた肉にソースがかかってるやつや骨付きのリブステーキみたいなやつがある。
「頑張って作ったんだ。早速食おうぜ」
「そうだの。じゃあ、」
「いただきます!」
僕達は見たこともないような生物や木の実があるこの世界で、初のサバイバル飯を食べた。
「すっごい美味しいです!それにしてもソースとかどうやって作ったんですか?」
「神力を使ってな、こうやってフライパンの様な形にしてそこでソースを作ったんだ。木の実や食草を使って香り立つ良い味に仕上げられたと思うぞ」
「はい!いつもに劣らない良い味です!」
相変わらず頭の回転が速い3人には驚かされる。日が落ち切る頃に食べ終わり、少し休憩する。
「ふぃー。お腹いっぱいなのです。ご馳走様です〜」
「へいよ、って残してんじゃねーよ」
「え?残してないですよ?」
「どうみても残ってんだろ」
「ケルト、人間には食えんぞ」
「何言ってんだ歯があるだろ歯が。人間の歯は鉄より硬いんだろ?ったく」
ケルトさんはそう言いながら僕のお皿から骨を取り、ボリボリと食べ始める。
「え…それ食べろって言ってたんですか…?」
「ったりめーだ。貴重なカルシウムなんだからな。うーん…そうだ!噛めねーんだったら俺が噛んでお前に口うつs」
「「却下だ!」」
「えーでも骨も強くなるんじゃ…」
「「却下だ!」」
ケルトさんが何かを言うが一瞬で却下された。それでも意地になるのがケルトさんだ。
「本気で言ってるのかこのショタコン」
「な!!!人をショタコン呼ばわりなんて酷いですよ!」
「口移しを平気でしようとする奴なんぞ言われても仕方ないだろ。風呂だってたまに一緒に入ってるしな」
「お前までそっち側かよ!親子なんだからそんくらい普通だろ!なぁイリウス!」
「良く分かんないです。ショタコンって何ですか?」
「ぬ…」
僕の質問にみんな黙る。バクに聞いたつもりだったが目を合わせてくれない。後に僕は辞書で知ることになるのだった。
何やかんやあって早朝から出掛けると言うことで寝ることに。
「見張はどうする。2時間交代で良いか?トラ」
「ああ、構わん。何なら俺が1人でやっても良いんだぞ」
「バカ言うな。半径50メートル以内に来たら殺すようにしよう。それ以外ならワンチャン殺し屋仲間かもしんないしな」
「分かった」
「イリウス寝かしつけるから先頼むぞ」
「ああ」
夜も更ける。空はローディアよりも輝いていて見るのが眩しいくらいだ。でもやはり暗闇の森を隣に寝るのは神経が削られる。バクと一緒とはいえ怖い。そう思っていた時、
「もう寝たか?」
「まだですよ」
「森が怖くて寝れないってとこか?」
「そ、そんなわけないじゃないですか!」
「おーそうかー。じゃあ俺も行っちまって平気だよなー?」
「う…いじわる…」
「はっはっは。冗談だよ。俺もお前が居なきゃ怖くて死にそうだ」
ケルトさんはそう言いながら僕の隣に寝転がる。この人は何やかんや優しい人なんだ。
「ねぇケルトさん。もしも、もしもですよ?僕らみんながすごい危険な目にあって、みんな死にそうになっちゃったら、、、どうしますか?」
「そうだなー。俺が全員ぶっ殺してやるよ!お前に手出そうとするやつなんぞ1人も許す気はねーからな!」
「相手がケルトさんよりもっともっと強い人でも、ですか?」
「あぁ。例えどんなやつが相手だろうと、俺がぼっこぼこにしてやるからな!」
僕はケルトさんらしい答えを聞いて少し笑った。いつまでも、こんな平穏な日が続けば良いなと願うばかりだ。ゆっくりと僕の頭を撫でる手は、自然と眠りへと誘うのだった。
その後6時間後
「見張りだりー。今大体2時だろ何で見張るんだよー…」
ケルトはチラチラと周りを少し見回してこう思った。
(気張っとけばちょっと寝ても平気だよな)
そう思ってケルトもスヤスヤと眠り始めてしまった。
その頃少し遠くでは
「へっへっへ。俺らの罠にまんまとハマった奴らが居ますぜお頭」
「そうだな。俺らを捕まえようと来たやつらは全員あの集落に足を踏み入れる。そして夜にスヤスヤと眠っている所を狙い仕留める。完璧だ」
「じゃあ早速行きましょうやお頭。世界のやつらに示してやりましょう!」
そう言って近付こうとガサガサ歩いていると、あるものを踏む。
「?」
盗賊の1人が下を向いた途端、空に大きく光線が放たれる。下にあったのは誰かが描いたであろう魔法陣だ。
「な、何だこれは!」
盗賊の人は全身がちょっと黒くなるくらいの怪我をした。それを見て何か仕掛けられたかと思った他の盗賊の人達は焦らずとも歩みを進めてしまいどんどん空に光線が放たれる。
「お前ら!一旦止まれ!そこまで威力は無いものの危険性があるかもしれん!」
そう言いながら一歩踏み出したお頭。案の定光線に焼かれる。ケホッと黒い煙を吹き出して言う。
「あーもうやめだやめだ!盗賊なんてやってられっか!」
「お、お頭!?」
「最近この森にも"変なやつ"しか来ない!金だって十分手に入ったんだ!もうやめる!」
「ちょっとお頭〜」
そう言って盗賊団は解散することになったらしい。もちろんイリウス達はそんなこと知らない。
次の日
朝早く起きた僕達はそのまま盗賊探しを続行した。寝たから元気も復活で、今ならどんな事も出来そう。
「うーむ。ところでどこに向かうんですか?当ても無いですけど…」
「そうよの〜。確かに当てもなしに歩いて来たのは失敗だったかの」
「もう歩いて2時間は経ってるんですが…」
そんなに歩いてしまってはどうしようもない。前の集落も見えなくなってしまった。
「そうですね〜。確かにこんな広大な森を全部となると手が焼け…」
突然ケルトさん達が構える。バクとトラさんは神器を取り出す。
「10…いや20は居る。こんなに近付かれるまで気づかねーなんて普通じゃねー」
「盗賊か否か、いや関係ないの」
「主、一応俺の後ろに」
「イリウスも早く俺の…」
ケルトさんが言おうとした瞬間、ザっと立ち上がるような音が聞こえ、全方面から何かが飛んでくる。ケルトさん達は避けたり、払ったりするが僕は反応出来なかった。ケルトさんから少し離れてたのもあるが、その何かは風のような速度で飛んできた。僕はそのまま…
「ぐはぁ!」
ケルトさんが僕の正面に立って庇ってくれた。刺さったのは矢だった。古いような武器だが、速度は拳銃よりも早いくらいだ。ケルトさんは掴もうとして間に合わなかったのか、腹に2本刺さってしまう。
「イリウス!怪我はねーか!」
「え、ぼ、僕…何で…怪我…」
「元気そうで安心した!ご主人!トラ!こいつら普通じゃねー!」
「分かっておる!お主の肌に傷を付ける。その深さだと筋肉も貫通して内臓まで行ってそうだ。ただの矢でそんな事出来るやつなんて…!」
「『四大勢力』しかいない!」
ケルトさんは血をポトポトと流しながらも僕を後ろで庇っている。遠距離攻撃なら防げたのにと、後悔の念に駆られる。
「四大勢力…」
「流石だな。トライアングルよ」
そんな低い声が暗い森の中で響く。




