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第197話 ーー償い 中編ーー

「どうしたものか…」


 何とか時間稼ぎでつらつら時間を消費してるが長くは持たん。イリウスが来ない限りにはどうにも。生神は門前に居させられてるし、頼れる神は他にいない。


(仕方ない。あいつらを使うしか…だがあいつらが使えるとは思えんの〜………でもやるしかないか)


 我は仕方なく、頼りたくない者どもを頼ることにした。


〔あーあー。聞こえるか、混秩、無神よ〕


〔これはこれは世神様、我々なんかにテレパシーとは、どうか致しましたか?〕


〔お主らに頼みがある。地上界の人間イリウスを連れてきて欲しい。早急にだ〕


〔ほう?我々は頼むと言うことはどうしても離せない用事なのでしょうな〜。生神の憑き人を連れてくれば良いのですね?承知しました〕


 何故か物分かりが良いな。いつもならギリギリまで粘るのに、、、


〔世神様、本気で言ってるんですか?私の憑き人を危険に晒さないでほしいんですが…〕


〔仕方あるまい。イリウスなら多少のピンチも切り抜ける〕


 頼む、早く来てくれ〜。






「ほぉれ。見失うんじゃねぇぞ」


 落神様に手を引っ張られ案内される。他のホールと違い、道が入り組んでいて人間じゃ迷子になってしまいそうだ。そのうち視界が光に包まれ…


「着いたぞ。ここが神の世界じゃ」


 目を開けると神の世界が広がっている。雲の上みあいな床、広がる晴天、そして奥に見えるは四大神様の戸。


「そ、それが落神とやらか?」


「あれ?見えるの?」


「神の世界ともなりゃあ、人間でも神が見えるんだな」


 バク達にも落神様が見えるみたいだ。これなら神から隠れることも出来る。


「周りに神様はいないんですね。良かったです」


「ここは俗に言う裏口じゃ。正面から入ってるわけじゃないから神なんぞ滅多に来ない。大正門に行くんじゃろ?だったら町を通って…ん?」


 落神様は大正門とやらにまっすぐ繋がる道を見る。明らかに町を通る作りなのに、この道だけなんか…変だ。


「こんな道あったか…?新しく作ったのか…?まぁよく分からんが、神に見つからず行ける道があるならそれで良い。こっちから行けばすぐじゃ」


「平気ですかね…罠に見えるんですけど…」


「だーれが人間が来ることを予想して罠を作るんじゃ。神もそこまで暇じゃない。ほれ、早く行ってこい。俺も隠れとくから」


「はい!道案内ありがとうございます!」


 お礼を告げて走り出す。バクとトラさんもしっかり着いてきてる。助走を付けた僕は、浮き上がり空を飛ぶ。高さを調整しながら高速で移動中、前から煙が…


「イリウス!中に何かおる!」


 その何かは、飛んでいる僕を正確に狙ってきた。何とかテレポートを使い、その場を凌いだ。


「へぇ、今の避けんだ。流石は生神の憑き人…面白れぇ。面白れぇな…是非闘おうぜ!」


「こいつ…力の神か!」


「知り合い?だったら止めてよ何か怖いよ!」


「ケルトの神だ。戦いに飢え、常に強い奴を求めている。我々がターゲットってことか」


 何でそんな神様がいるのか、分からないけどどうにかするしかない。


「イリウス、主、先に行け。ここは俺がどうにかする」


「無茶言うな。相手は神だぞ」


「神でも仏でも、2人から守ると決めてるんです。任せてください」


 トラさんは神器を構え、力の神の元へ行く。僕らはその隙に行こうと思ったのだが、


「ぶはっ!」


「へぇ。普通なら内臓ぐちゃぐちゃで口から吹き出すとこなのに、胃液出るくらいで済むんだな。だいぶ鍛えてるなーお前。殺すのがもったいなくなる」


 一撃がケルトさん達の数倍重そうだ。これじゃあトラさんが先に…そう思った時に聞こえてきた。


「イリウス、すまんが1人で行ってくれ」


 力の神が再び攻撃を仕掛けようとした時、バクの蹴りで飛ばされる。それでも姿勢を崩さずに様子を確認してるからすごい。


「ごめん。行ってくる!」


 僕のことを追ってくる気はないようだ。空中を高速で飛び、門も近くなってくる。今の所邪魔は力の神様だけ。門に着けばこっちのものだ。あとちょっと、あとちょっと、


「あと、ちょっ…」


 突然現れた2人の神。1人は仮面をしている。この仮面はどこかで…


「ほっほっほ。可哀想に可哀想に。でも仕方がない、ルールだからなぁ!」


「生神のやつ、前に俺の憑き人が死にやすいとか馬鹿にしたからな。仕返ししてやるよ…ひっひ」


 思い出した。混沌・秩序を司りし神様だ。じゃあこっちは無機物を生みし神様かな?何でここに。

 2人は何かの能力を構えて、僕に当てる気満々だ。時間がゆっくりに感じる。


(あぁ…死ぬやつかな、これ)


 確実にまずい。テレポートは間に合わない。走馬灯が見えてきた…こんな所で死んじゃうのかな…






 生神とは、生命を宿らせる神である。


「能力『コピー』、《解除》」


 2人の力が解除される。能力を消す能力だ。どこにこれを使える神様が…


「『拘束する能力』発動」


「か、身体が動かん」


「邪魔しやがって生神!」


「生神…様?」


 想定外だ。生神様は僕と同じ歪みを操る能力なんじゃ?何でそんな能力が…


「あ、ありがとうございます!」


「……」


「生神様?」


 何も言ってくれない。やっぱり怒ってるのかな。僕も捕まって裁かれちゃうかな。


「人間は透明化の術を使い、私の横を過ぎていった。私はそのあまりの巧妙さに気付かず、取り逃してしまった」


「…!ありがとうございます。トウメイ(僕が歪み)


 透明になる力を使い、生神様の横を通り過ぎた。なんだかんだで優しい人だ。僕もあんな神様に…

 色々あったが、正門に着いた。下に小さい扉があるが、門番みたいな人が守ってる。上のちょっと大きな扉を開けるしかない。


「おい、そこのやつ。透明になってても分かるぞ。何者だ」


「やばいバレちゃった。急がなきゃ!」


「は?え?人間?え?」


 門番の人は激しく混乱してる様子だが、それに構わず上の扉まで飛ぶ。門番達も追いかけようとしたようだが、鎧が重いのか動きが遅い。


「あれじゃ門番の意味ないじゃん…」


 手で押してもびくともしない。それなら仕方ない。能力で、どかーんと決める。


「うりゃー!」


 中に入ってすぐ、辺りを確かめた。閻魔様、世神様、そしてケルトさんがいた。

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