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第191話 ーー占いーー

「それで、詳細を聞きたいのですが…」


「ロヂの片目を取られた。ナイフのようなものを使った犯行だ。そっちの人は?」


「私はメーデ。そのヘビの主よ。ヘビを通じて色々見せてもらったわ」


「犯人の顔は?」


「すまない。見えなかったんだ」


 ドンベルさんが反応出来ないほどということ。その上に逃してるから相当やり手なんだろう。


「相手は…殺人鬼で間違いないですか?」


「恐らくね。目を狙ってきたのも何かあるでしょ」


「あ、そうだ。占いがあったじゃないか」


 ドンベルさんはスケッチブックを取り出してめくり始める。だが、すぐに手が止まる。


「あれ、ない…?」


「すでに手は周ってるようですね。証拠は消されてる」


「多分覚えてるからもう一回描くよ。とりあえず救急車来るまで待機。君達は去った方が良い」


 ロヂさんは冷静にそう言った。聞きたいことは山積みだが、聞かされたことが全てなんだろう。

 僕らと居たことがバレると面倒だろうからすぐに移動する。遠くから救急車が来るのを確認した後、また作戦を立てる。


「どうすれば良いんでしょう…逃げちゃいましたよね…」


「そうね〜。あの警官さん達がどのくらい強いのか分からないけど、逃げれるってことは俊敏なのよね」


「まだ居る可能性があるんですか?」


 そう話し合っているとナビが戻ってくる。


「あ、ナビ。もう遅いよ。さっき殺人鬼が…」


「こっちにいるわ!早く来て!」


 その言葉に動揺したが、すぐ向かった。急いでしまったからメーデさんに何も言えてない。まさかまだ居たなんて。でもよくもまぁ舐められたものだね。

 着いた途端、異様な空気で満ちているのを感じた。こいつはやばい。


「おい、何をしてる」


「……れ…」


 一瞬こっちを見たかと思ったが、すぐに見なくなる。何を言ってるか分からないほど小さい声だ。よく見ると壁とそいつの間に人がいる。


「その人をどうするつもりだ」


「…こ…も?」


「何を言ってるか分からないぞ!」


「イリウス!こいつだ!こいつが殺人鬼だ!」


 ペグは声を荒げてそう言う。そういえば出会い始めの頃に言っていた。声は小さくて聞こえなかったと。


「ピカ…ソ?」


 殺人鬼はそう言ってペグに近付く。だがそこにはもちろん僕もいる。何かする前に神器を取り出し殺人鬼に攻撃した。


「の……ども…が…?」


「話は出来そうにないね。それなら、こっちも全力で行くまでだ」


 相手の武器は先端が釣り針みたいに引っかかるナイフだ。これで相手の目を抉るんだろう。


(おり)


 いきなりの能力に対処出来ず、拘束が完了する。だか、それで終わらせちゃいけない。だってこいつは…


「のう…ょくしゃ…殺そう」


「もう遅い!」


 ナイフで僕の囲を破る。貯めたビームを放つが、動きが速く当たる前に避けられた。


「くそ、避けられた…!」


 殺人鬼は壁を使って動きまくる。相手を翻弄させる動きだ。僕もやったことがある。こういう時は目で追うな、気配を辿り、神力を見る。


「……!!」


「へへ、驚いたみたいだね。防がれたことないの?」


 案の定目を狙ってきたので神器で対応。黒い煙で顔が見えない。


「…こ…もが?……い…!」


 殺人鬼の両手両足にはペグが描いた縄が結んである。何故かトゲトゲした縄だったがそこは重要じゃない。


「生憎だけど、こっちも下手に戦闘経験積んでない。これで終わりにする」


 全方向からのビーム。これは避けようがない。


「い…や…だ。ま………!」


 途端に僕のビームが弾かれる。光の集合体であるはずのビームが、まるで物体のように地面に落ちる。


「なっ!何を…ゲホッゲホッ…」


 様子が変だ、僕もあいつも。この煙は毒だったらしく、やっと効果が出てきた。あいつは動揺しまくっている。まだ縄は解かれていない。狙うなら今しか…!


「そうか。殺せば良いのか」


「急に言葉を…!」


 いきなりで驚いたが、聞こえる声で喋り出した。手を僕に突き出したかと思えば、バキボキと音を立てて変化する。形状が変わっていき、その手はまるで、


「悪魔の手」


 大きく鋭いその手は、僕に向かってまっすぐと攻撃を仕掛けてくる。毒で身体が動かない。テレポートで避けれる範囲じゃない。それに本当に手が大きくなるだけなのか?


      もう、終わりなのか?


「トリックオア…トリート?」


 殺人鬼の能力が解除される。僕を救った、その声は、ハロウィンの時散々聞かされた。


「パンプキン?」


「何で能力が発動しない…!」


「えへへへ〜、楽しませてもらったお礼!じゃあね!」


 パンプキンはすぐに去ってしまう。でも、これに命が救われた。いいや、これから『命を賭ける』

 僕の神力量が半端なく多くなり、それは身体能力にも影響を及ぼす。神得化だ。でも今回は控えめ。


「本当良かったって思ったよ。あの時助けておいて。やっぱり人助けは正しいんだ」


「く…そ…」


 何かしようとしたが、そこを突いた。僕の高威力ビームは身体に穴を開ける。


「ぐあぁ…!」


「抵抗するならもっと痛い思いするよ。大人しく捕まれ!」


「なら…もう…いい…」


 即座に攻撃を仕掛ける殺人鬼。神得化した僕じゃなきゃ速すぎて対処出来ていない。


「悪魔の手」


「無駄です」


 悪魔の手とやらを切り落としても、本体の腕が切れるわけじゃないようだ。それにしても、あれがあいつの能力なのか?思ったのと全く違う。


「これはお前には使えないか」


 逃げ回っている時そう言って、自分の左目にナイフを突き立てた。今更驚かないが、その後にした行動が…


「人の目を入れてるのか…?」


 左目を抉り取った後、ハコニワから目を取り出して入れる。普通は神経繋がらないし見えないはずだが…


「ふぅ〜。これなら勝てそうかな」


「人格が変わったみたい。もし僕の予想が当たってたら厄介だけど」


「じゃあ当たってることを祈っておくよ。《身体強化》」


 さっきの速さと比にならない。こっちは神得化してるんだぞ。


(追いつけない…行動を制限するのが鉄則)


 何個ものビームを下から撃ち、相手の行動を制限する。これなら分かりやすくなると思ったが、余計複雑になった。しかも…


「能力のコピーと一緒か。目を変えることで、その目を待っていた能力者の能力を使うことが出来る。厄介にもほどがあるね」


 簡単に攻撃を仕掛けてこない。カウンター狙いなのがバレてる。今姿勢を崩したら襲われる。このままじゃ勝てない。


「イリウス!一旦体勢を立て直すわ!」


「ダメ、動いたら負ける」


 逃げたいくらいだけど動いたら殺される。目ですら追えてないのに、カウンターを諦めるわけにはいかない。

 そんな時、殺人鬼は滑って転ぶ。その様子に気付き、行動を開始するが殺人鬼も再び動き出す。


「何で急に転んだ。何が起こってんの」


 辺りからボトボトと何かが落ちる音がする。重く、それでも水のような。


「全く。バクから目を離すなって言われた理由が分かったわ。今度からあなたにも、ヘビを付けておきましょう」


「メーデさん…!」


 転んだのはヘビが出した粘液のせい。安心したせいか、僕の神得化は解除されてしまう。


「メーデさん。立て直す必要があります」


「そう?勝てそうじゃない?」


「恐らく無理です。あいつは他にも能力を持ってる。顔だけでもと思いましたが…」


 黒い煙が邪魔で見えない。これに関してはヘビでも歪みでもどうにも出来ない。今は生きるの優先だ。


「俺も良いか。今日のノルマは達成だし。こいつの趣味は後回しでも」


 そう言うと左目にナイフを突き立て、目玉を交換する。


「……ま……ろ…」


 それだけ言い残して、ホールの中に消えていった。


ーーーーーーーーーー次回予告ーーーーーーーーー

「こんなことがあって…」


 せっかくのチャンスを水の泡にし、逃してしまったイリウス。深く反省しつつも、メーデと共にバク達の元は話に行く。能力とかの情報を得たが、ここからどうする。

 俺がいれば勝てた。俺がいれば逃さなかった。後悔にいたたまれるな。


             次回「ーー整理ーー」

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