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第176話 ーー中と外ーー

 チケットを持ち並んだ僕ら一向。そのうち順番が来て、兵士らしき人達に確認される。


「爆発物なし、武器なし、チケットあり。入れ」


 軽く身体検査を受けたらすぐに許された。近付いてみると案外小さかったドーム。中に入ってみると、階段になっているようだ。こんなに大きな階段…と思っていたが、下っていくとすぐに明かりが見えてくる。


「これが…異世界ダスター?」


 目の前に広がるのは発展した街だ。ビルがあるのはもちろんのこと、木々が生え、川が流れ、外とは大違いだ。


「外とは大違いです…どうしてここまで差が?と言うか何でこんな地下に…」


「その考えが違うのかもな。俺らが居た所、つまるところ外っつーのは空なんじゃねーか?」


「つまり、この街が地上で、上のゴミ山は屋根の上ってことですか?」


 可能性はある。ホールというのは偏る。出やすい所と出にくい所があるのだ。この世界の場合、ほとんどの物が上から出てきていたんだろう。だとしたら上に屋根を作れば、ゴミも上で溜まるだけで済むんだ。


「でも、それなら何で人まで上に置いておく必要があるんですか?都合が良いって、なんでなんですか?」


「さぁな。それは、これから分かるんじゃねーか」


 途中からエレベーターになり、ガラス越しにこの街を一望する。全てに屋根が張ってあるわけじゃないが、それでも広すぎるくらいだ。

 僕らは地上に着くなり、すぐに色々済ます。


「この街は一度入れば出るまで居れる。宿を取っておこう。どれだけかかるか分からんしな」


「出来るだけ早く済ませるつもりだよ。今回はメカトリスと違って城が丸見え。侵入も難しくない」


 僕の目は、既に城へと向いていた。腐食屋スポイルが、あそこにいるんだ。殺人鬼の協力者が、あそこでのうのうと暮らしてるんだ。そんなの許されて良いわけない。許さない…


「イリウス、捕まえる、だぞ」


「分かってますよ。ペグもナビも、もう出てきて平気だよ」


「匂いを感じない筆で良かったぜ…」

「幽霊ってこういう時便利ね」


 見た所、この街の人も異世界人には慣れているようだ。というかほとんど異世界人だ。筆が宙を飛んでいても違和感は感じないだろう。この街で働いている人も居るらしく、スーツをビシッと決めて歩いている人がいっぱいいる。


「…外の人が中に入って、お金を稼ぐ。そうして中の住人になる。って感じですかね」


「そうだな。だが中に適応出来ないやつは、金を無駄にして外に戻るんだ。外のやつは金がないけど自由、中のやつは金はあるが縛られる。どっちを選ぶかだな」


 外の人はゴミの中に価値がありそうなものを売っていた。確かに自由だ。でも、みんな苦しそうだった。充分な土地はあるのに、どうして…?


「とりあえず宿は取れたな。腹減っちまったな。何か食うか?」


「そうですね。あの匂いを忘れたいですし食べたいです」


 そうして入った店は高級そうな所。スープから何まで色んな料理を注文したケルトさんは食べろ食べろと勧めてくる。


「ん、美味しいです。これで普通のお値段なんですね」


「全体的に物価が低いな。他に財源があるとかなのか」


 料理で上手く口直しをして、僕らは城へと向かう。


ーーーーーーーーーー次回予告ーーーーーーーーー

「お前が…」


 城に向かったイリウス達は、門前の兵士達に止められることになる。だが、その様を見て上から降りてきたのが、スポイルだった。寛大な心で僕らを引き入れようとしたが、何が狙いだ?


           次回「ーースポイルーー」

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