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第15話 ーー見た物はーー

「そんでイリウス、お前何でついてきた?」


 僕がケルトさんの仕事について気になりついて行ってしまった。それがバレて今お叱りを受けている。


「えーっと…その…気になって…」


「イリウスは散歩に行ってきただけだぞーケルトー」


「ご主人様?」


「………新しい能力でこっそりついて行ったらしいぞ」


 ケルトさん自慢の睨みを効かせると素直に話し出した。こんなに堂々と裏切ってくるとは。


「あー!バク裏切ったなー!」


「イリウス…すまん」


「はー…イリウス。別に俺はついた来た事を怒る気はねー。お前の好奇心を刺激した俺の責任だ。だが、何であの時姿を出さなかった!死ぬ所だったんだぞ!」


 ケルトさんは初めて僕に向けて怒鳴った。その姿は怖いけど、僕の事を思って言ってるのが痛いほど伝わってくる。


「ゲホッ…」


「大丈夫か」


 トラさんは水を渡す。ケルトさんの様子からどれだけ大変なことをやらかしたのか実感する。


「久々に怒鳴っちまったな。驚かせたならすまんなイリウス。だが答えろ」


「僕…バレたら、怒られちゃうって思って…まだバレてないなら、逃げれば良いかなって…」


「なるほどな。まぁ確かにそうだ。ちゃんと逃げ切れてたら俺も叱ってねーし気づきもしなかった。だが俺の前で命張るのはちげーぞ。今後一切こんなことはねーようにしろ」


「はい…」


 もっと怒られると思ったが、ケルトさんもその程度で済ませてくれた。いつもより感情がこもってて不思議な気分だ。


「あ、後そうだ。明日あいつらにも謝り行くからな」


「え?それってどういう…」


「ちょっと待て!」


 僕が聞く前にバクがストップをかける。


「そんなのダメに決まってるだろう!イリウスをヤクザの仲間入りさせる気か?野蛮な者達に影響を受けさせるわけにはいかん!兄として守るぞ!」


「別に仲間にしようなんて…ちょっとしか考えてませんよ。俺らより野蛮なやつなんて中々居ないし影響は充分受けてるかと…」


「おい、イリウス(煌牙(こうが)組所属)とかになるの最悪だぞ。こんな可愛いやつがヤクザなんて洒落にならん」


「肩書きなんて気にすんなよ男だろ?」


「何で僕ヤクザさんに所属することになってるんですか…」


 状況が理解出来ていない僕を置いて話を進める3人。僕があわあわしている内にどんどん言い合っている。


「そうだ!ならば我々の所に入れよう!そっちの方が教育的にも最適だ!」


「そっちの方が教育に悪影響ですよ!ちっとは社会っつーのを学ばせた方がこいつの為になる!」


「イリウスはどっちが良い?」


「困ったこと聞かないで欲しいのです…」


 僕の言葉を聞くとみんなうーん…と悩む。結局は僕の意見次第らしい。正直どっちにも入る気無いんだけどな…


「んじゃあ、どっちも行ってみてから決めるっつーのはどうです?」


「なるほど…雰囲気や仲間がどんな物か体験してからと言うことか。ありだな、そうするか。すぐにでも集まれるか聞いておく」


「明日はダメっすよ、煌牙組来るんですから」


「何で決定みたいになってるんですか!」


「どっかに所属はしておいた方が良い。圧力になるしな」


「………」


 ケルトさんの言う事も間違ってるように思えなかったから仕方なく受け入れる事にした。

 次の日、また夕方に家を出ることになった。今度はケルトさんと一緒に。


「そういや聞きたいんだがよ。新しい力って何だ?透明化ってことは分かるが…」


「原理自体はとても難しいです。説明に1時間くらい…もっと単直に言うなら光の屈折が関係してますね」


「なるほど、光の屈折を歪ませてるって訳か。そりゃあ原理の説明はむずいわな」


 僕の歪みはあらゆる物に干渉する。それが例え触れられない物でも、認識出来ていれば干渉は可能だ。


「はい、この能力調整が難しいのですぐに使うこと出来ないんですよ…あ、それで思い出したんですけど僕の事見つけてきたトカゲの獣人さんが居ました。あの人も透明化の能力なんですか?」


「まぁそんなとこだな。ただ透明化よりちょいと強力だが」


「みんなの説明は行ってからってことですか」


「そうだ、直接聞く方がはえーだろ」


 そんな会話をしつつ昨日と同じ道を行く。相変わらず人気が無くて怖い所だ。何でこんな所に…

昨日と同じようにケルトさんに似た人が立っていた。


「あれ?その子……バクさんですか!?何でこんな所に!?」


「ちげーよ、早く行くぞ」


「????」


 やっぱり困惑してる…僕とバクは似てるし間違えるのは分かるけど、こう毎回だとねぇ…とりあえずケルトさんとハグれないように手を繋ぎながら暗い道を歩く。昨日と同じ入り口から入るとまたまたあの光景だ。そして僕は耳を塞ぐ。


「「「こんにちは!!ケルトさん!!!!」」」


「てめーらは声がでけーっつーの!」


 耳を塞いでおいて正解だった。そして全員が僕の方を見てあのセリフを言う前にケルトさんが僕について説明する。


「こいつはイリウスだ。ご主人様とは別人だ。そんでもって、、、俺の子だ」


 全員驚きすぎて時が止まる。当たり前だ。急にこんな爆弾を…


「「「「えーーーー!!!!」」」」


「ちょ、ケルトさん!?子供っていつの間に作ったんですか!?俺ら今まで知らなかったんですけど!?」


「言い忘れてたな。2ヶ月前にできたんだ」


 また時が止まる。ケルトさんってこんな説明下手だったんだ…


「え、えっと…僕イリウスです!10歳!その、拾われて…」


「こいつは俺の子だ。誰がなんと言おうと俺の子だ。文句言う奴は来い、ぶっ飛ばしてやる」


 僕は少し寂しく説明しようと思ったがケルトさんの言葉に救われる。


「あ、そういうことですか!ケルトさんに子供が居るなんて驚きでへへー。それでどうして急に連れてきたんですか?」


「ほら、イリウス」


「昨日はごめんなさい!勝手に入ってきたの僕なんです…」


「え、、、えーーー!?!?俺殺そうとしちゃったんですけど!?……は!ケルトさん…」


「まぁ許してやる。俺も気付かなかったしな」


「子供っぽいとは思っていたが、この子とは…俺と同じ能力みたいだがどうなんだ?」


「え?えっと透明化は能力の応用みたいなもので能力自体じゃないんです」


「なるほど…応用か。だとしたら凄いんじゃないか?流石はケルトさんの子と言うわけだ」


「はいはい。お前らとりあえず黙れ」


 僕や他の人達がわちゃわちゃ話始めた時にパンッとでを鳴らして黙らせる。


「一人一人自己紹介からだ、イリウスはさっきしてたからな」


「じゃあ俺から、『シャーガ』って言うんだ、よろしくイリウス…君?」


「シャーガさんよろしくです!」


 鮫の獣人さん。顔とか諸々傷だらけでちょっと怖い。でも笑った姿は優しそう。


「俺は『カゲ』是非仲良くしてくれ」


「カゲさんって言うんですね!もっと能力の話聞きたいです!」


 トカゲの獣人さん?透明化してた人。鋭い顔をしている。暗殺してそう。


「『コウ』だ、組長の息子だからって甘くは見ねーぞ」


「怖いのです…」


「コウは愛想良く出来ねーんだ。勘弁してやってくれな」


 牛の獣人さん。目付きが怖い。ケルトさんの事は尊敬してそうだけど他は好きじゃなさそう。


「僕は『ハンス』さ。ちっちゃいけど子供じゃないから子供扱いはやめてね!」


「分かったのです!ハンスさん!」(後はケルトさんに似てる人…)


 パンダの獣人さん。明るくて口調が特徴だ。僕よりちょっと大きいぐらい。


「あ、えっと俺『ピルス』って言うっす。一応ケルトさんの1番弟子なんで?別に対抗心燃やしてるとかじゃ無いっすけどまぁ負けませんよ」


「…………」(え?この人何言ってるんだ???)


 犬の獣人さん。ケルトさんと毛の色が似ている。何か対抗心燃やされてる。多分短気。


「わりーイリウス。こいつお前に嫉妬してるわ」


「どゆことですか?」


「別に1番弟子じゃねーし。てかまず弟子いねーし。お前が羨ましいんだよ、俺の子になれて」


 ケルトさんに憧れてるタイプか。その気持ちはわかる。


「な!別にそう言う訳じゃないっすよ!俺だってそれなりに…」


「まぁ何でも良いが、能力はどうすんだ?一人一人説明しとくか?」


「俺は反対っすね。その餓鬼、誰かのスパイの可能性もありますし。まず連れてきたこと自体」


「おいコウ。言って良いことと悪いことがある。何度も教えてるよな?てめーの性格とかに合わせる気はさらさらねーぞ?」


「す、すいません」


 コウさんの発言に対するケルトさんの怒りでみんな静かになる。そこでため息を吐きながらまた口を開く。


「とりあえず。イリウスは安全だ。完全に味方側だし誰かに情報を引き渡すような子じゃねー。疑うんなら1時間ぐらい預けてやっても良いぞ」


(1時間て…僕の事何も分かんないじゃないですか…)


「お前ら、ケルトさんの子だ。疑う余地なんてないだろ?」


「そうっすね、別に襲われても勝てるし?」


「ピルスの実力じゃそれも怪しいがな」


「流石に勝てますよ!そうやってみんな俺の事なめて…!」


「とにかく、能力情報も交換しちゃって良いな?」


 シャーガさんがみんなに言うと頷く。やはりシャーガさんもみんなを取りまとめる力があるみたい。色んな能力者が集まってるって事になるけどどんな能力なんだろう…

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