第144話 ーー正面衝突ーー
「あれ?3人とも出かけるんですか?」
何か準備をしている様子だ。バクとかは外に出かける服だし。
「3人じゃなくてお前もだぞ。俺らは煌牙組の会議だ」
「我々もだ。近況報告といったところか」
「なるほど…」
相変わらず当日に言ってくる。もっと早く言って欲しいのに…まぁそんなことも慣れているので、僕もチャチャっと準備を終わらせる。終わったことを報告しに行くと、ケルトさんとバクが電話をかけている。そして同時に…
「「はぁ?星町の3丁目!?」」
「え、ご主人様も?」 「ケルトもか?」
「これは波瀾万丈、というやつだな」
「多分笑ってる場合じゃないですよ」
僕は何となく嫌な予感がしていた。そして到着すると、案の定だ。煌牙組とバクのグループが向き合ってわちゃわちゃ言っている。元々仲は悪いと思っていたがここまでとは…。
「落ち着けお前ら」 「ちょっと、落ち着いてよ」
シャーガさんとメーデさんはいつも通りお守り役みたいだ。この2人はいつでも冷静だ。
「おいシャーガ。何があったか単的に」
「はい、俺らはいつもの場所に向かおうと思ってまして歩いてたんです。そしたら丁度全員と巡り会いましてね。みんなで行ってたんですが、ここでこの人達と出会ってしまって…」
「ライがヤクザヤクザーってまたうるさくてね〜?今こんなことになっちゃってるの。もうアイまでやる気満々なのよ、どうにかしてバク」
「はぁ…ライ!お主のせいならお主が謝らんか!」
「へ、断る。ヤクザなんて石投げられて当然だ!」
この人はやっぱりヤクザ嫌いなのか。煌牙組に入っている僕まで気まずくなる。でも熱くなってるのはあっちだけでなく…
「石なんて投げられて当然なわけないだろ!俺らだって治安維持に貢献してんだから感謝しろ!」
ピルス君も熱くなってる。色んな思い出があるだろうし仕方ないとも言える。
「とりあえず落ち着いてほしいです」
「うっせヤクザのガキ」
「あ?いくらご主人様の仲間でも一線超えたらぶっ殺すぞ?」
「お前まで熱くなってどうする…」
僕の純粋さが通じるのは煌牙組だけのようだ。火種が生きてるといつまでも燃え盛ってしまう。
「ライさんが元凶です。止めなきゃ終わんないです」
「だからうるせーってこのガ…むぐ!?」
「はいはいライはうるさいんだから口閉じて」
アイさんが口元を凍らせてる。剥がれた時痛そう。
「んなことされたって許さないっすよ!俺らのこと散々言いやがって!」
「あなたもうるさい。そっちのライ枠なのね」
「何だとクソ女!」
「ピルス君口悪い!お行儀良く!」
「ごめん!」
もうめちゃくちゃだ。こっちの調子まで狂ってくる。ケルトさんもまだ怒ってるし。とにかく会議を終わらせて帰りたい…
「あ、そうだ。こんな時こそ戦うのが良いだろ」
「どんな時でも戦うのは良くないと思うんですが」
「名案だの。文句があるなら勝ってからってやつか」
「初めて聞いたよそんなの」
でも、このままだと収まりがつかなそう。ストレス発散にも運動した方が良いのかも…とこの世界に染まりつつある。
「誰が誰と戦うかよの。とりあえず…ライ、誰とやりたい?」
「むぐぐぐ…ぶは!俺はそうだな…」
「俺とやれ。イリウスのこと悪く言われてムカついてんだ1発殴らせろ」
「当たると思ってんのか?良いぜ。このクソ犬とやってやる!」
「犬…だと?」
「ケルトさんとりあえず落ち着きましょうね〜。殺しちゃダメですからね〜」
いらつくケルトさんを収めながら話を聞く。最も僕は戦うつもりはない。
「うーむ、そうよの。イリウスは…」
「僕戦いたくない」
「同意だ。我とイリウスは審判で良いだろう。ではそこのシャーガとやら。トラの相手をしてくれぬか?」
「え、俺も戦いたくないんすけど…」
「修行のようなものだ。トラは本気出すなよ。シャーガとやらは本気で行って構わん。あと…そうよの」
と言うことで対戦表が決まった。
ケルト対ライ
シャーガ対トラ
カゲ対メーデ
ハンス対シュウ
ピルス対アイ
となった。コウさんは熱が出たらしくお休みだ(道中聞いた)。人数的にも丁度良い。とりあえず次回に回そうかと思ったが尺が余ってしまったから今のうちに何試合かする。
「とりあえずケルトとライだ。そこまで尺はないから瞬殺しろよ」
「おう。言われなくてもそのつもりだぜ」
「舐めやがってクソ犬…」
「犬…?」
「と、とりあえず第三の世界に移動です!」(こんな所で暴れたらお縄行きです)
僕のハコニワに連れて行き互いが位置につく。バクの「始め!」という言葉と共にバトルは始まる。
「ふわーすごい。ライさん本当に速いです。僕でも目で追うしか出来ません!」
「お主が目で追えるなら遅いの…」
ライさんのめちゃくちゃな動きに僕が翻弄される。ケルトさんは棒立ちだ。
「へっへっへ。追えてすらねーんじゃねーか?」
腕を組んだままのケルトさん。煽られるが姿勢一つ変えない。ライさんはそのまま蹴りを入れるが、効いている様子はない。そしてすぐに、足を掴まれてしまう。
「なっ!俺の足を正確に!?」
「ちょっと受けてみたけどよ。これじゃあイリウスの方がつえーわ」
そう言って殴り飛ばした。そもそもケルトさんに物理攻撃は効かないようなもの。僕の歪み以外で骨が折れてるとこを見たことない。
「勝者、ケルト!」
「わーい流石でーす」
「どうだった?かっこよかったか?」
「そりゃあもちろん!戦うケルトさんはかっこいいです!」
「おしこのまま連戦行くぞ!」
「お主の出番は終わりだ!」
ーーーーーーーーーー次回予告ーーーーーーーーー
「頂上決戦…ってやつですね」
互いが互いの名誉を賭けて争う。この勝負はいわゆるチーム戦だ。どっちのグループが強いのか、その緊張感は計り知れない。本気を出すべき場所はあつているのか?
こんなことになるとはな。シャーガと言ったか。戦うのが楽しみだ。
次回「ーー頂上決戦(仮)ーー」