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第13話 ーー契約ーー

「もうこんなの絶対無理じゃないですか!」


「無理じゃねー。やれっつってんだからやりゃあ良いんだよ」


 元旦も終わり正月も終わった。年も新しくなったと言うことで早々に修行を始める。


「お前は弱音が多いぞ。俺に1発当てんのの何が無理なんだ?」


「それが無理なんですよ!力の差なんて歴然じゃないですか!」


「確かに本気で逃げちゃいるけど出来んだろ?お前そんな弱かったか?」


「弱くて悪かったですね!」


 いつも通り修行となると言い合いになる。僕もケルトさんも引く気はなくこれが続く。


「そんなに言うなら良いぜ。契約するか」


「うぐ、また新しい何かが…」


「契約っつーのはそのままだ。お前と俺で条件の上で成り立つ利点を用意する。そんでそれで契約すれば絶対になるってこった」


「うぬー…神様ってそんな事まで出来るんですか?」


「まぁな。そんじゃ契約だ」


 ケルトさんがそう言うと僕とケルトさんの目の前に黄金に光る紙のような物が現れる。


「んじゃあ、お前が俺の顔面に1発入れられりゃあ何でも言うこと聞いてやる」


「え?良いんですか?」


「お前にもなんか必要だからな。そうだな、お前が入れられなかったら一年間俺と修行尽くしだ」


「え、それはちょっと…」


「おら、早く同意しろや」


 僕は悩んだ。何でも言うこと聞いてもらえるのは理想的だが、一年間修行は死と同義。


「分かりました、同意します!」


 僕は決意を固めた。何てったって1発入れるだけで良いんだ。条件的には好条件だ。

 目の前で契約が結ばれて黄金の紙が身体に入っていく。原理は不思議だが、強固な物なのは確かだ。


「おし、これで契約は結ばれた。ここから先お前に1発顔面ヒットすりゃあ俺はゲームオーバーだ。良いね、普段からワクワク出来るぜ」


「修行中以外でも良いんですか?」


「あぁもちろん。特に期間指定してないし」


「食事中だったり寝てる時でも?」


「良いぜ?やれるもんならな」


(これひょっとしてめちゃくちゃ有利なのでは?)


 僕は余裕だと思った。そのまま修行は終了したが僕の一撃狙いは終わらない。ケルトさんの隙を常に見張っているのだ。ケルトさんも常に気を張ってる訳じゃない。

 見張り始めて1時間ほど経った頃、家事も終わってゆったりしているケルトさん。ここが狙い時だと思った僕は後ろからゆっくり近づく。


「バレねーと思ってんのか?」


 秒でバレた。距離はまだまだ遠い、僕のパンチの許容範囲外だ。


「ぬぬぬ…中々手強いのです…」


やっぱり常に気を張っていないとしても強力だ。


「俺がどんな状態でもお前ら守るために油断はしねーんだよ。お前の足音、心音、呼吸音、全部聞こえてるぜ」


「そこまで感じてるんですか!?」


「当たり前だ。逆にお前の心音が止まった時に気付かなかったら最悪だしな。魂が去る前に身体治さねーと」


「やっぱり手強いです…」


 ここから僕は全力で狙う。家事をしている時、料理をしている時、皿を洗ってる時、洗濯物をしている時、本を読んでる時など。全部狙ったが防がれる。


「ぜぇぜぇ…おかしいです!僕はちゃんと隙を見てます!神力の流れも見てます!何で当たらないんですか!」


「経験の差だろ。後お前が確認出来ない速度で隙を消してんだよ。いい加減諦めて一年修行した方が良いんじゃねーか?」


「それは絶対に嫌です!」


 何度も言うが一年間修行は死と同義。諦めるわけにはいかない。どうにか隙を掴まないと…そう思いながら寝込みを襲う準備をしていたが、僕が寝てしまった。


「うにゅぅ…?あれ?今朝!?寝ちゃった。ん?何これ、毛布?」


 まだ寒い時期だ。布団も被らずに寝たから風邪を引く所だった。


「お、イリウス起きたか?寝込み襲おうとして自分が寝ちまうなんて面白いやつだな!」


「つ、次は成功させるのです!」


「あー今日は悪いが夕方から用事があってな。出掛けちまうんだ」


「えー!用事って何ですか!」


「何つーかそうだな〜」


 ケルトさんが解答に迷っていると、リビングのドアが開く。


「会議だ」


「あ、今日初登場のバクだ」


「ケルトは大きな会社を設立していてな〜、その会議があるんだぞ」


「そんな大きな会社なんですか?」


「あ、あぁもちろん」


「でも今まで仕事に行ってなったです。社長さんなら毎日忙しいです」


「それは、まぁ色々あるのだよ」


「朝食出来ましたよ。ところでイリウス、何で廊下で寝てたんだ?」


「それは・・・」


 僕は全部説明した。みんな廊下で寝た理由を聞くと笑っていたが僕は本気なんだから!

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