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第128話 ーーハロウィン 前編ーー

「今日は10月31日…つまり!ハロウィンでーす!」


 僕は大はしゃぎする。言わずもがな、僕はこういう行事が大好きだ。特別感を感じてしまうのか、何かをせずにはいられなくなる。


「んじゃ、買い物行ってくんぞ。かぼちゃ買ってこなきゃな。お前も行くか?」


「行きます!」


 ケルトさん達少なくとも行事を100回はやっているだろう。そのためそこまではしゃがないみたいだ。でもそんかの関係なく、僕はワクワクしながら外に出る。いつもながらの商店街、少し不思議な景色になっている。


「わー!でっかいかぼちゃです!お面とかも売ってあります!」


 街も綺麗に飾られている。どこもかしこもオレンジと黒でいっぱいだ。


「人が多いからちゃんと手繋ぐぞ」


「了解です!」


 僕は人が少ない裏を見て、懐かしむ。昔、僕がまだここに来たばかりの時、1つ目小僧の妖怪と出会い、別れた。あの惨劇は繰り返したくない。


「お、かぼちゃがたくさんあるぞ。あそこ行くか」


「はい…」


 思い出すと悲しくなる。ケルトさんがたくさんあるかぼちゃからいくつか厳選している間、何とか気を紛らわせようとするが上手くいかない。そんな時肩を叩かれた。


「!?」


 振り返るとかぼちゃを被った僕ぐらいの身長をした子供が。


「トリックオアトリート」


「…?」


「トリックオアトリート!」


 そうか。今日はハロウィンだ。お菓子かイタズラかということか。僕は納得したものの、お菓子なんて持ってない。


「ほらよ。どっかいけ」


「わーい!」


 アワアワしていると横から誰かがお菓子をあげてくれた。


「気ぃ付けな坊や。あいつは妖怪だ。お菓子持っとかなーとイタズラされんで」


「イタズラって具体的に何ですか?」


「そうやな〜。俺が聞いた話では、家が火事になったとかだな。他にも大事な物が無くなったとか、財布を落としたとか」


「それってただの不注意じゃ…」


 僕はそう思うが妖怪なら不可能じゃない。もし本当に妖怪のせいなら、僕も気を付けなきゃ。お礼をしようとその人を見ると、「ケルトの旦那ぁ!」とケルトさんに擦り寄っていた。知り合いだったみたいだ。かぼちゃも選び終えたみたいで、僕を連れて別の場所へ。


「ケルトさん、ハロウィンの妖怪さんって危ないんですか?」


「そうだな。危ないって噂は聞くな。実際は知らねーが」


「僕、全部妖怪のせいにされてるみたいで嫌です。妖怪だって無害な子がいるのに、全部妖怪が悪いって…」


「仕方ねーよ。ローディアじゃ妖怪の階級が低いんだ。誰も恐れない分力がないしな」


 そんなの分かってる。それがおかしいと思うのに…妖怪だからって差別されるのはおかしな話だ。僕が神になったらこれもどうにかしたいな。


「トリックオアトリート!」


「お、丁度良いじゃねーか。わりーがお菓子持ってねーんだ。イタズラにしてくれ」


「分かった…えい!」


 ケルトさんは顔にパイを投げつけられてクリームまみれ。面白くてぷふっと笑ってしまった。かぼちゃ頭の子はキャハハと笑ってどこかへ行ってしまった。


「イタズラってこういうタイプかよ…」


「ふふ…安全そうで良かったです。やっぱり火事とかは嘘だったんですね」


「あぁ。まぁそうだと良いけどな」


 やっぱりそうだ。結局は人々が流した噂に過ぎない。パイまみれのケルトさんにハンカチを渡して家に向かう。ケルトさんが顔を洗ってる間にバク達に話に行くが、どうやらニュースに夢中みたいだ。


「バークー!何見てんの?」


「イリウス。ちょっと見てみろ」


〔丁度さっき、時刻13時○○分にて、マンションの建物火災が発生しました。中に居た人々4人が死亡、15人が重症といった模様です。監視カメラの映像を確認したところ、またもやかぼちゃ頭の子供が映っています。専門家の見解としましては…〕


 さっきも見たかぼちゃ頭の子だ。妖怪も同じ種類が何人かいるわけだから同じとは分からないが、見た目は同じだ。


「嘘です!あの妖怪はこんなことしません!」


「うーむ…これで4件目だ。恐らく同一犯だとは思うが…」


「違います!」


「では誰がやったと言うのだ?」


「それは…」


 おかしい。経験上、妖怪は揃いも揃って子供みたいな子が多い。イタズラと言っても放火なんてするだろうか?考えても仕方ない。


「ん?どうしたんだ?」


「あの妖怪が放火したって…」


「そうか。ガソリンで放火か。ガソリンの匂いしなかったがなぁ」


 ケルトさんも疑っている様子だ。でもすぐに関係ないかとキッチンに戻る。僕は一つ、仮説を立てた。妖怪のせいにした、人間の犯行じゃないかと。このままだと妖怪の立場が危うい。僕はこっそり、真犯人を追いかける計画を立てるのだった。

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