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第124話 ーー昔のケルトさんーー

「あ?何だお前」


「ケル…トさん?」


 様子がおかしい。ふざけてるのかと思ったがそれにしてはガチだ。僕の事を隅から隅まで見つめている。いつもより顔が怖い。


「ケルト?誰のこと言ってんだ? 俺の事か?」


「そ、そうですよ!ケルトさん!」


 何か考える素振りをした後、やっぱり分からないのか立ち上がる。


「何のことか分かんねーけど、お前は敵じゃなさそうだな。全部説明しろ。さもなくば殺す」


「ケルトさん…?」


 僕の方に近付いたかと思えば、片手で掴み上げ脅す。これは演技じゃない。


「バク!トラさん!」


「どうしたイリウス!ケルト?」


 いち早く駆けつけたバクも異変に気付く。一瞬ケルトさんの事を睨んだ後、神器を取り出し、ケルトさんの腕を斬る。


「いって……」


「バク…僕どうしよう…」


「心配するな。我々がどうにかしてやる」


 自分のしてしまったことに涙する僕を慰めるバク。その内にケルトさんの腕は治る。こっちの物音がすごかったからかトラさんもすぐに現れる。


「大丈夫か、イリウス」


「遅い!」


「僕は平気です…ケルトさんが……?」


「おい、お前」


 トラさんの事を見たケルトさんが一瞬にして形相を変える。殺気がいつもと比べ物にならない。消えたかと思ったその瞬間。トラさんが後ろに吹っ飛ぶ。


「トラさん!」


 いくつか壁を抜け、家の外まで追い出されてしまった。


「なに!?我の神力で固めてあるはずだぞ!」


 そう、この家はバクの神力を込められている。ビルが倒壊するレベルの爆発が起きても無傷なほど頑丈だ。それを、こんな穴を開けれるなんて。


「何かよく分かんねーけど。力が満ちてるな。今ならあいつを殺せそうだ」


「イリウス!我々で止めるぞ!」


「うん!」


 僕はビームや歪みを駆使してケルトさんの足止めを狙う。バクは直接ケルトさんを叩きに。バクに当たらないよう上手く操るが、どちらの攻撃も当たらない。


「何だこれ。レーザーか?お前のはナイフか。ちゃんと敵だったんだな」


(当たらない?この量が?)

(いつものケルトより強い…何が起こっているのだ)


「飽きた」


 ケルトさんはそう言い残し、バクを蹴り飛ばす。


「バク!」


「人の心配してる場合か?」


(まずい!)


 一瞬にして距離を詰められた。僕は迫り来る拳に、死を感じる。目を瞑った僕だったが、再び目を開けると、そこにいたのは神器を持ったトラさんだ。


「トラさん…?」


「はぁ…はぁ…昔のケルトそっくりだ。話は後で聞く。お前のハコニワが必要だ」


「は、はい」


 ハコニワを展開し、みんなを中に入れる。この全く違う空間に少しでも困惑してくれれば良いけど。


「お?何だ?これがこの世界の技か。よく分かんねーな」


「困惑は…してくれないみたいですね。ここからどうしますか?」


「お前と主は帰れ。俺がどうにかする」


 いつもなら信頼できる言葉。でも今は違う。トラさんの抉られた腹を見て、安心なんて出来ない。血を吐き出した跡もある。今の状態じゃ無理だ。


「無理です!絶対無理です!」


「良いから帰れ。命令だ」


「では我からの命令だ。1人で戦うな。今のお主じゃ勝てん」


 トラさんは不服そうな顔を見せるがバクの命令には逆らえない様子。


「じゃあ、2人とも援護を。俺が前線を張ります」


「はい!」「分かった!」


 僕らとケルトさんの戦いが始まる。トラさんとケルトさんは相変わらず良い勝負を見せる…いや、トラさんの方が押されてる?


(こいつ…いつもより強い?)


「バク!なんか変だよ。これじゃあまるで…僕らの援護がなきゃ、トラさんがボコボコにされてるみたい」


(確かに…いつもなら、我々が手を出さなくてもトラとケルトは良い戦いを見せる。なのに今、援護があるに関わらず押されている状況…?)


 撃ちながら色々確認している内に気付く。押されていると言うより、撃ち返されている。いつもの攻防戦だと、トラさんの攻撃は拳で防ぐなり流すなりする。今はトラさんの攻撃にケルトさんも攻撃してて、撃ち返されている。


「何でケルトさんは防御に回らないの?トラさんの攻撃受けたら多少なりとも怪我すると思うんだけど」


「昔のケルトの立ち回りと一緒だ。攻撃は最大の防御だーって。トラと我にやられてその考えを改めたはずだがの」


 僕らの猛攻は止まないが、慣れてきたのかケルトさんの攻撃がトラさんに当たるようになってきた。その内トラさんが耐えながら煙を回し、こっちに飛んできた。


「謎が分かりました。あいつ、本気出してます」


「そんなの見れば分かる。あいつの力が強くなってることに疑問を抱いておるのだ」


「簡単に言います。俺らは本気の出し方を忘れていた。俺も今は分かりません。でもあいつは知ってる。俺より力が強い理由はそれです」


 そういえば、前にケルトさんが似たような事を言っていた。常に力加減をしているから本気の出し方が分からなくなっていると。次第に煙が晴れていき、ケルトさんの赤い目が見える。


「話し合いは終わったか?第二ラウンドスタートだ」


 またトラさんと正面衝突すると思ったが、予想外のことで僕の所に来る。


「まずは、援護役だよなぁ?」


(やばー!)


 やられると思ったその瞬間、またもやケルトさんが飛ばされる。


「それくらい予想済みだ。昔のお前ならこうした」


「昔だとかうるせぇな。よく分かんねーが決めた」


 ケルトさんは拳を手のひらに叩きつけ、こう言った。


「皆殺しだ」


ーーーーーーーーーー次回予告ーーーーーーーーー

「何これ…力が…神力が溢れる…?」


 記憶を失い昔の頃に戻ってしまったケルト。その圧倒的な力を前に、イリウス達はまんまとボコされてしまう。勝ち目なんてない。そんな時に覚醒した力とは?

 こんなことで記憶を失うとは。馬鹿馬鹿しい。鍛錬が足りんな鍛錬が。


            次回「ーー神得化ーー」

ちょっとでも先が気になる!おもしろい!と思いましたらブクマ、感想などしてもらうとモチベになりますm(__)m

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