表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
120/251

第119話 ーー達成するものーー

「やっと着いたのでーす!」


 僕らは旅行を終え、家に着く。久々に見た家は新鮮なものだ。僕はドアに手を伸ばす。


「あれ?開いてます」


 鍵がかかっておらず、ガチャっと開けれた。中からは妙に騒がしい音が…


「おい!留守番はメーデにしか頼んでいないはずだぞ!」


「何でてめーらもここに居んだよ!」


「うわー…随分と汚くなったわね」


 中にはバクのグループのメンバーと煌牙組の人達が全員揃っていた。広いリビングがいっぱいに…


「あ、帰ってきたんすね!良かったっす!」


「良かったっす!じゃないよ…何でピルス君達がここに…」


「たまたま通りかかった時にね、こいつが入ってくのを見て泥棒だと思ったんだ。ケルトさん達旅行行くって言ってたし」


「お前らマジで馬鹿か…シャーガまで何やってんだ!」


「い、いやぁ…その場のノリと言いますか…」


 いつも真面目なシャーガさんもふざける時があるのかと、少し人間味を感じる。ケルトさんは煌牙組を叱っているが、バクも同様だ。


「誰が他に入れて良いと言ったのだ!」


「私も最初は止めたんだけどね〜。ライが…」


「別に良いだろこんぐらい!だだっ広い家住んでんだからよー。あ、冷蔵庫のもんとか勝手にして良いって言われてたから勝手にしといたぞ」


「それはメーデに言ったんだ…お主らには言っておらん!」


「そんな騒ぐなよ。もっと柔らかい思考で行こうぜ?」


「シュウは柔らかく考えすぎだ。能力で脳まで溶かしたのか?」


 その場はカオスだ。机の上もどこもかしこもゴミだらけだし。


(もしかしてこの人達ってだらしない?)


 完全にわちゃわちゃしてる状態。僕は疲れもあって考えてられない。


「とにかく休みたいです…」


「そうだ。早く出てけ!」


「お主らもだ!メーデ以外帰れ!」


 バクとケルトさんがそう言うと、それぞれが立ち上がり帰っていく。


「カゲ、てめーも居るなんて驚きだったぞ。失望だ」


「そうですか…2階のコレクションは守ってみせたのですが、それならば仕方ありませんね…」


「よし、給料上げてやる」


(カゲさん世渡りうま!)


 こっそりガッツポーズしていたカゲさん。そんなカゲさんに色々な意味で尊敬した。みんなが出て行った後、ケルトさんとトラさんがゴミの片付けを始めた。僕も神力で手伝おうとしたら、掴んだゴミを一瞬で取られて諦めた。ある程度片付け終わった後、テーブルに座ってメーデさんとおしゃべりだ。


「旅行、どうだった?」


「すっごい楽しかったです!」


「そう。良かったわ。ところで、私だけ残したのには理由が?」


「ある。まずは単純な話からだ。何故全員集まっていたんだ?煌牙組のやつらが来た時の状況もだ」


「それね。私がバクの家にお泊まりすることをついつい話しちゃったの。そうしたらみんなも行くって言い出しちゃって…煌牙組の人達には泥棒と間違えられちゃってね。それでもってうちのライがヤクザだの何だの突っかかっちゃって。お互いに出ていけオーラ全開で、どっちも出ていけない状態になっちゃったのよ」


「我の方もケルトの方も、馬鹿ばっかだったのだな」


「あいつらにはキツく叱っとかねーとな」


 トラさんが入れてきた紅茶をごくごくと飲む。僕のカップにだけ砂糖が入っていて飲みやすい。美味しいと思って飲んでいたが、


「次に少し重い話題だが…殺人鬼を探してもらいたい」


「ぶーーーー!」


 思わず紅茶を吹き出してしまった。バクがこんなにデリカシーの無い人だったとは


「バク!何でその話するの!」


「我々だけでどうにかなる問題ではない。お主の言っていたことを全てまとめての結論だ。許可を取らなかったのは申し訳ないが、こうするしかない」


 バクの言う通りだ。僕達は強いけど万能じゃない。特に人探しとなると他人の手を借りるしかない。


「…何かあったのは確かね。まぁ聞かないけど。それで殺人鬼って何の話?」


「この前も居たであろう?目を取られた死体があったやつ。あれの犯人を探している」


「特徴は?」


「分からん」


「それじゃあ探しようないじゃない…」


 バクとメーデさんは真剣に話し合っている。その中に僕が入る隙間はない。僕は1人で、○○の秋やることリストにチェックを入れる。これはやった…これもやりました…とぶつぶつ言いながらやる。


「あ、海釣りの秋…あの時やっとけばよかった…」


 まさかの海に行かなければいけなくなった。軽く絶望しつつ、バク達の会話を聞いている。そんな中、ある一つの疑問にたどり着く。


「どうしてメーデさんなんですか?メーデさんに探索能力あるとは思えないんですが…」


「私の能力は覚えてるわよね?」


「はい。『蛇と会話する能力』でしたよね」


「そう。だから蛇を放って、どこで見たかを情報共有するの。そうすることで、人を探し出せるのよ」


 真っ当な意見に見えるが、やはり変だ。


「…メーデさん。嘘ついてますね」


「どうしてそう思ったの?」


「蛇って、確かにある程度は賢い生き物です。懐くのも難しくないでしょう。人探しだって、頼めばやってくれる。でも、会話するだけで可能なレベルですか?姿も分からない人を探すなんて蛇にさせるには不可能です。不可能なことをバクがさせるとも考えられません。『蛇と会話する』、これはあなたが生まれ持った物なのでは?」


 みんながシーンとなる。メーデさんも、バクも驚いた顔をして止まっている。ナビはやったれ!とアピールしている。


「…すごいわね。まさかバレるなんて」


「答えまでは辿り着いていない…しかし、敵の能力を嘘だと見抜く力、大いに評価出来る」


「私の本当の能力は、『蛇と共有する能力』。見ている景色、記憶、その蛇が使う毒ですら、私は共有出来る。仲間にも隠していたことなのに、初めて見抜かれたのがあなたなんてね」


 メーデさんの言葉に嘘は見えなかった。バクもとっても嬉しそうだ。


「それなら、納得出来ます。あと、もう一つお願いしても良いですか?」


「良いわよ。何でも協力するわ」


「ガスマスクを付けて、フードを被ってるじゅう…人獣を探して欲しいんです」


「あら?そっちはしっかり情報が出てるのね」


「いえ、正直曖昧です。でもこっちの方が見つけやすいかなと」


「分かったわ。そっちの方を優先するわね」


 バクは少し困った顔をしていたが、急がば回れ。殺人鬼にたどり着くには、協力者から倒さなければいけない。ピカソもそう言っていた。「後は任せておきなさい」と言って、メーデさんは帰って行った。


「本当すごいのね、イリウス」


「それほどじゃないよ。能力の割に、やってることに違和感を感じだからさ」


 ナビと話しながら僕の部屋の扉を開け、驚く。


「な、な、な、何これー!!!!」


 そこら中にペンキや絵の具で何か描かれている。


ーーーーーーーーーー次回予告ーーーーーーーーー

「な、何があったんですか…」


 知らない間に部屋が落書きまみれになっていたイリウス。何かの能力かと警戒するがそうではない。1人でに動いていたのはまさかの筆!?一体何の用があるのか…

 掃除をするのは俺だ。勘弁してくれ。


           次回予告「ーー協力ーー」

ちょっとでも先が気になる!おもしろい!と思いましたらブクマ、感想などしてもらうとモチベになりますm(__)m

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ