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第114話 ーー秘密と家族ーー

「目取りの…殺人鬼?」


「前にちょっくら追いかけたやつの呼び名か。ゾンビ事件の時の」


 僕が真剣に話す時、みんなふざけたりしない。冷静に分析して、僕にとっての最善手を探してくれる。


「それを追ってる?何か情報でも掴んだのか?」


「はい。僕の隣には、幽霊であるナビが居ます。この子が僕に教えてくれたんです。殺人鬼について、殺人鬼の協力者について。だから決めたんです。僕があいつに辿り着いて、絶対…」


 ガタっと急に椅子から立ち上がったのはケルトさんだ。握った拳をこっちに向けている。トラさんがケルトさんの腕を掴んでなかったら、完全に殴られていた。


「なんでそんな大事な事言わなかった! お前にもしものことがあったらどうすんだ!」


「…その覚悟で、追ってるんです」


「てめー!」


「落ち着けケルト!」


 暴れるケルトさんを2人が抑えつけてる。こっちだって生半可な気持ちじゃない。死ぬ気で追ってるんだ。


「やはり、幽霊から話しかけられてたんだな」


「はい…嘘ついてごめんなさい」


「おいトラ!知ってたのか!」


「ああ。俺には見えていたからな。だが悪霊では無いし、イリウスが問題無いと言えば問題無い。その霊の言うことが信用出来る根拠は?」


「もし、この子が殺人鬼の使いで、狙いが僕の命なら、強くなる前に連れてっちゃった方が得策です。他に狙いがあるとしても、殺人鬼の情報が入るだけプラスだと考えてます」


「うむ。ちゃんとした理由だ」


 トラさんは納得したように首を縦に振る。でもその表情はまだ曇っている。ケルトさんも落ち着いたようで、床に座っている。


「そんな重要なこと、何故話さなかった?」


「…だって…だって…ケルトさん達は…優しいから…」


「あ?」


「優しいから! 僕に行くなって言うじゃないですか! 関わるなって、死に行くなって!」


 みんなが目を丸くしている。それが後悔なのか、驚いているだけなのかは分からない。


「だから、俺ら家族に嘘ついてたのか。理由にならん」


 涙が溢れる。黙ってきたこと、その罪悪感で。許されないのは分かってる。でも、それじゃあ…


「だが、縛ってたのは俺らの方だったみたいだな。すまん」


「そうよの。少し過保護すぎたのかもな。こやつも立派な能力者。神の憑き人だ」


「協力出来ることがあるならなんだってする。俺からも言うが、死ぬようなことは許さんぞ」


 やっぱり僕を拾っただけある家族だ。ここに来れて本当に良かった。僕は涙を流しながら謝る。


「本当にごめんなさい…」


 すぐに涙を拭って、顔を上げる。みんなの目を見て、しっかりと話す。


「お願いします…協力してください…」


「おう。何すりゃ良いんだ?」


「明日、全ての世界にある、ピカソの絵を…人の描いてある絵を破壊してほしいんです」


「おま…全ての世界だと?何百種類あると思ってんだ?それにピカソって…超有名な画家じゃねーか。美術館が破壊すんのを許可するわけ」


 流石に焦った顔をされる。でもここで諦めるわけにはいかない。


「明日、僕はピカソを捕まえに行きます。その為には、あいつの人が描かれている絵を破壊する必要があるんです。詳しくは後で説明します」


 机に肘をついて考えている。しばらくしたら、ニヤっと笑いながら話す。


「数百種類もある世界を全て回って、ピカソの作品を壊す。無理ゲーだよな?」


「そうだな。出来るとは思えん」


(いくらケルトさん達でも…)


「我々でなければ。だがな」


「やってやろうじゃねーか。久々に面白い展開になってきた」


「1人200〜300だ。忙しくなるぞ」


「1分で終わらせたとしても最大5時間か。猶予はどの程度だ?」


 5時間…朝早く行ったとして、時間的には余裕がある。でもそれじゃあピカソに気付かれる。


「3時間で…お願いしたいです。無理なら少し長くても」


 ピカソの情報収集能力がどの程度か分からない。でも、3時間なら僕が気をそらせる。


「無理?俺らに無理かもとか言ってんのか?舐めんな。3時間だな、やってやる」


「1つに40秒かそこいらか。馬鹿よの」


「物理的に可能なのか?もし海の上とかに落ちたら…」


「泳げ。物理的とかどうでもいい、やるしかねーんだよ」


 ケルトさんは完全に面白がっている。自分でも大変なことを言ってる自覚はある。でも、この人達にしか頼めない。それを裏切るわけにもいかないとトラさん達も思ってるんだろう。その後、少しも不安がってない様子で作戦会議を始めていた。誰がどの世界を回るのかとか。


「イリウス!」


「は、はい!」


「勝てんだな?」


「…はい! 勝ってみせます!」


「おし! 絶対負けんじゃねーぞ!」


 元気付けてもらって勇気が湧いた。負けるわけにはいかない。いいや、僕はもう1人じゃないから、負けない。

 次の日、僕らは早朝に起きる。


「おいトラ。ちゃんと覚えてんだろうな?」


「当たり前だ。お前こそ、間違えて来るんじゃねーぞ」


「イリウス…」


 バクは寂しそうな顔でこっちに来る。バクには悪い事をした。


「絶対に死ぬな。死ぬくらいなら、泣きじゃくってでも逃げてくれ。我々も時間が余ればすぐにでも援護に向かうから」


「うん。絶対そうする」


 バクと小指で約束を交わした。破ったら本当に小指を切られそうだから守るしかない。


「じゃあ行くぞ!」


「「「おー!」」」


 僕達家族の、共同戦が始まる。


ーーーーーーーーーー次回予告ーーーーーーーーー

「お前も知ってることがあるはずだ。能力とか」


 決死の覚悟でみんなに話したイリウス。全ては殺人鬼を捕まえる為。絵画の住人ピカソと戦うことになったイリウスは捕らえることが出来るのか。絵を壊しに行ったケルト達は時間内に全て壊せるのか。

 本当に馬鹿な願いよの。まぁ、叶えてやらんと示しがつかん。勝つんだぞ、イリウス。


          次回「ーー絵画の住人ーー」

ちょっとでも先が気になる!おもしろい!と思いましたらブクマ、感想などしてもらうとモチベになりますm(__)m

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