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第105話 ーー味覚の秋 前編ーー

「ふぁ〜。まだ眠いです…」


 午前5時。突然起こされたかと思ったら朝風呂とだけ言われて連れてかれる。朝日も登ってない時間なのに…と思いながらもついて行かざるを得ない。


「ふぃ〜。寒いですけどあったかいです〜」


 温泉に浸かりながら落ち着く。森の中、滝のすぐそばにある温泉で自然をより近く感じる。滝の音もすごく落ち着く。


「やっぱ来て良かっただろ?目が覚めるし、朝から最高の気分だな」


「そうでふね〜。でも、これだったら旅館の中の高い所の温泉の方が良かったんじゃないですか?朝日が拝めると思ったんですが…」


「本当にそう思うか?ここより綺麗に見えると?」


「え?いやだって滝で見えないじゃないですか…」


「へっへっへ。まぁ責任持って連れてってやるから安心しろよ」


 また変な所に連れてくつもりなのかと少しも安心出来ないが任せることに。誰も居ないから泳いでたらトラさんに叱られた。

 空が軽く明るくなってきた頃、そろそろ朝日なんじゃないかとケルトさんに言った。


「そろそろだな。んじゃ行くぞ。ご主人様とトラも行くぞー!」


 とりあえず一旦外に行くらしく着替えて移動する。どこに行くのかと着いて行ったら滝の下だ。


「まさか…」


「そのまさかだ。ちゃーんと捕まっとけ…よ!」


 おんぶしてもらった僕は川の中でゴボゴボ言っている。突然泳ぎ出したかと思えば今度は深く沈んで川の地面を思い切り蹴る。滝に逆らって登っていく様はまさに滝登りだ。しばらく登ったかと思えば途中で滝の裏に出る。ピタッと地面に着いたと思った時にはもう死にかけだ。


「がははは!楽しかったな!あ、ちなみに服の乾かしはよろしくな」


「鼻にどれだけ水が入ったと思ってるんですか!この仕返しはいつかしますからね…」


「こえーこえー。早くいくぞ」


 冷たい川は直前に入った温泉のおかげで何とか。服も髪も全部びちょびちょで嫌になる。滝の裏にしては妙な洞窟で先に少し明かりが見える。遠くからだと何か分からなかったが次第に見えてくる。


「温泉?人もいる…」


「ここに誰か来るなんてな。誰も居ないと思ってたんだが…」


 まさに秘湯といったように洞窟の中に温泉がある。滝が流れてる山の裏と繋がってるみたいで丁度綺麗な景色が見える。


「あれ?あの時のおじいさん!?」


「ん?その声は…少年か?」


 1人ただ居たのは最初に入った温泉に居たおじいさんだった。どうやってこんな所に…。


「不思議です…こんなとこおじいさんじゃ来れないんじゃ?」


「腐っても能力者。わしも怠けてられんよ」


「あの時はありがとうございます」


 僕はすぐ温泉に浸かって朝日を眺める。相変わらず綺麗だ。煙と相まって余計綺麗に見える。


「思い出します…」


「ん?何をだ?」


「何って…決まってるじゃないですか!ケルトさんに首輪を貰ったあの時、僕は全てをケルトさんに許すと決めたんです」


「あん時も綺麗な朝日だったな。今も一緒に居るなんて嘘みたいだ」


「そうですね。僕も帰されちゃうのを受け入れていましたから」


「でもお前はこの世界のルールすらねじ曲げ…いや歪めちまった。流石は俺の子だ」


 懐かしい気分に浸る。思い返せばもう1年、ずっと一緒に居るんだ。この日々が続けば良いのに。


「さ、そろそろ上がるぞ。朝飯の時間だ」


 しばらく浸かっていてのぼせそうだ。お風呂から出ておじいさんに挨拶して朝食を食べる。松茸とかあったけど舞茸の天ぷらの方が美味しかった。


「ありがとうございましたー!」


「またのお越しをお待ちしております」


 怒ってないかと心配だったが平気そうだ。そう言うことで僕らは旅行を再開することに。


「これからどこに行くんですか?」


「もうちょっと進んだとこに…あ、あったあった」


 ケルトさんが行ったところには大きな今が2つ。明らかに不自然だ。


「目印に置いといたんだ。こっからホールで行けば目的の場所に出る」


「岩を目印にするな岩を」


 もう驚かない。トラさんがボールを作るとみんなで中に入る。繋がる先がどこになるんだか…




「……あれ?僕移動したよね?」


 山。ひたすら山だ。さっきと木の配置が変わった?ってぐらいの山だ。


「移動したぞ。それより足元」


「足元?ぬわぁぁ!」


 謎のワームみたいな生物が靴の周りをうろちょろしてる。ケルトさんに持ち上げられてもう一度その場所を見ると、小さな穴が空いている。きっとこの子達の巣だったんだろう。


「何ですか?この生物…」


「なんて言えば良いんだろうな〜。虫とか動物の死体を食う森の掃除屋だ。害虫じゃねーよ」


「なるほど…それで一体この世界に何を?」


「ほれ足元足元」


 またかと思い見てみると今度は違った。キノコだ。赤くて白い点々が付いてる。下にはポコっと膨らんだ可愛らしい形になっている。


「何ですかこのキノコ」


「それはテングタケだな食っていいぞ」


「生で?」


「生で」


 バクが言うから間違いないと思った僕はムシャッと齧る。美味しくない。周りの散策に言ってたナビが大慌てでこっちに来る。


「ちょっと何食べてんの!?それ毒よ!?」


 ブーっと全部吐き出す。何か舌がヒリヒリすると思ったがやっぱり毒だった。


「うん?どうかしたのか?」


「ゲホ!どうかしたのかじゃないよ!毒でしょこれ!」


「はははは!バレてしもうたか!」


「バレてしもうたかじゃないよ!なんてもの食べさせんのよ!」


「俺の血があるから毒は平気だぞ!」


「ケルトさんは黙ってて下さい!もう僕怒った!バクがこれ生で完食するまで口聞かないからね!」


「マジで言っておるのか!?!?!?」


 バクは絶望した顔をしながら完食した。途中からトラさんに押し込まれていた。不死身だし毒ぐらい平気だよねと言う気持ちともう信じないと言う気持ちがごっちゃになる。


「まぁとりあえず食料集めるぞって話だ。薪とかは集めてくるから火はイリウスに頼むぞ」


「はーい。食料って毒があるとか分かるんですか?キノコって結構危険なイメージあるんですけど」


「ご主人様が詳しいぞ」


「ふふふ。我に従うしかないのぉ〜」


「トラさんは?」


「一応毒がある物は覚えてる」


「じゃあトラさんに頼も」


「わ、我にも任せてくれよ〜。あれは悪かったからの〜!」


 悲しそうな顔で許しを乞うバクだが軽くスルー。トラさんは少し困惑した表情と頼られて嬉しい表情が混ざっている。そんなこともあるが食材集めが始まる。ただ、それだけじゃ面白くないとの事なので持ってきた食材ごとに点数を付けて競う事に。


「まさか食材集めにゲーム要素が付け足されるなんて…」


「毒のあるもの取ってきたらマイナスにされそうね」


 今回こんなゲームに参加した理由は、一位の人には特別商品とやらが送られるらしい。


「とはいえ僕にはナビが居るからね。空から探すことも出来るし」


「そっか。二手に分かれれるし一位は取れそうね。とりあえず探すわよ」


 僕らは2人で探す。ズルかと思うかもしれないがあの人達に勝つためにはこれぐらいしなきゃいけない。


「んー?このキノコって食べれるのかな…とりあえず集めて後でトラさんに聞こ」


「あ、これ栗じゃない?栗の木はっけーん!あ、あっちに川もあるじゃない!何かあるかもしれないしイリウスに知らせなきゃ!」


 僕らは素晴らしい連携を見せる。ナビが見つけ、僕がそこに行って回収する。見える範囲のキノコは取り終えたし、ひとまず川に行き新たな食料を探す。

ちょっとでも先が気になる!おもしろい!と思いましたらブクマ、感想などしてもらうとモチベになりますm(__)m

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