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第101話 ーー○○の秋ーー

「風なびき 落ち葉は赤く 色付いて」


「俳句?俳句って人間界だけの文化じゃないんだ」


 秋のとある日。バクと一緒に少し遠くまで散歩に行っている。葉っぱがオレンジ色になってて綺麗な道だ。


「別に人間界だけとは限らんぞ。ローディアは色んな世界の文化を受け入れておるからな」


「変なの〜。どこかの文化が対立することもありそうなのに」


 よく考えるとローディアの…と言うより色んな世界の文化は全て人間界のものと似てる気がする。何か理由があるのかな。


「風が強くなってきたね。落ち葉がすごい落ちてくる」


「丁度良いくらいかの。お主に見せたいものがある」


 バクは僕にそう言って走る。見せたいって言うから見てれば良いかと思いその場に立ち尽くすが何かをするつもりらしい。


「お主に我の技術を見せてやろう。名付けて、『落ち葉隠し』だ!」


「落ち葉隠し?落ち葉隠すの?」


「まぁ見ておれ」


 バクは動き出す体制に入り一瞬で消えた。辺りを見回してみてもどこにも居ない。


「え?バク?どこ?」


「ここだぞ」


「バク!…あれ?」


 後ろから肩をトントンと叩かれたが振り返ると誰も居ない。今度は横から、正面に現れた、とか色々あったけどすぐに居なくなってしまう。


「バク!もうどこから出てきてんのよ!テレポート?」


「はっはっは。少し遊びすぎたの。原理を説明しよう」


 相変わらず落ち葉がすごい。バクは僕の頭に乗った落ち葉を取って説明を始める。


「我が使ったのを簡単に言うと遠近法だ。知っての通り遠近法とは遠くのものは小さく見え、近くのものは大きく見える。それを使って我の身体を落ち葉に隠したんだ」


「理論的に可能なの?相手の視覚と落ち葉の落ちてくる場所が正確に分からないと難しいと思うんだけど…もしそれが出来たとしてもバク自身は遠くに行ったりだから体力の無駄だよ」


「そう思うのが普通だろうな。だが姿が見えない、相手の場所が分からないと言うのは戦いにおいて大きな不利を生み出す。出来るだけでも自信の勝率を上げれるのだ。それに無くなるのは体力であって神力じゃない。体力くらいどうにかせい」


「う…」


 珍しく正論で返されて何も言えなくなる。技術としてはすごいけど僕じゃ真似出来そうにないな。


「この技術こそ秋にしか出来ん。だから我は暗殺の秋と言うんだ。誰にも気付かれることなく、人を殺せるからの」


「殺さないでよ…」


 僕らはそんな事を話しながら家に帰る。


「それで遠近法使った技見せられた!」


「へー。あの人ってそんな凄い人なのね。イリウスと同じくらいの年齢で年配の喋り方してる変な人かと思ったけど」


「バクはああ見えて800歳くらいなんだよ!経験も強さも僕より上だし」


「そうなの!?初めて知ったわ…」


 ナビは僕達の情報をある程度しか知らない。何より僕のことしから調べてなかったみたいだから家族のみんなについては知らない事だらけだ。


「なぁイリウス〜。俺のプリン知らねー?」


「え、…………知らないです」


 僕はビクッと身体を揺らす。ケルトさんは不思議そうな顔でこっちを見るがすぐに確信した顔に変わっていく。


「まぁ仕方ねーよな。食欲の秋って言うし。でも嘘はついちゃダメじゃねーのか?」


「すいません…僕が食べました…」


「許す。食いてえもんあるんならいつでも言えよ。買ってきてやるから」


「はい…」


 そう言ってドアを閉める。食欲の秋…か。


「結構優しいのね。あんなに人殺ししてるみたいだけど」


「そうだ!!!!」


「何よ急に驚くじゃない!」


 僕は良い事を思いついて大声を出す。


「って事で○○の秋をコンプリートしたいです!」


「…色々ありすぎて無理だろ。まぁ芸術とか読書とかは学びになるし、悪くはねーのかな」


「お、遂に暗殺をする気が起きたか!」


「あ、それは無しでお願いね。みんなに○○の秋を書いてもらってそれを実行するんです!良い暇つぶしになります!」


 僕はすぐさまこの暇つぶしをみんなに話した。メールでも友達みんなに○○の秋を聞いてリスト化することに。被ったら他のに変えてもらうよ。ありそうなやつを答えてもらうようにした。


「筋トレの秋だ筋トレ筋トレ!」

「暗殺…ダメならば適当に勉学でも励んでろ」

「うーむ。食欲の秋が良いな。美味いもの作れるし」


 そんな調子でどんどん僕のリストは埋まっていった。煌牙組の人にはもちろんバク達のグループもアイドルの人達にも聞いた。思い当たる限りみんなに聞いた。その結果…


「まぁまぁいっぱいになりました!これで秋はやる事いっぱいです!」


 修行の秋、海釣りの秋、山の秋、仕事の秋などたくさんの秋が僕に届いた。中には変なのもあるがそれも達成してやるという思いだ。


「随分あるのね。やるだけなら簡単そうだけど」


「だから僕はその上を行くんだよ!この秋を出来るだけ完璧にこなすの!修行だったらやるだけじゃなくてケルトさんを倒すとか!」


「出来るの?」


「無理!」


 とにかく今年の秋は色々やるんだと意気込んだ。いつも変わらない日々に飽き飽きしていたので丁度良い。


「とりあえず出来るものからやっちゃおう!」


 その夜、僕は晩御飯の食べ過ぎでケルトさんに叱られることとなった。


ーーーーーーーーーー次回予告ーーーーーーーーー

「旅行ですか!?」


 突如としてケルトから告げられたのは旅行の話だった。それも1週間。話によると綺麗な紅葉や山の幸、海の幸を楽しむ旅行らしいが秋といえど能力者への警戒を怠ることは出来ない。

 秋くらいみんな休んでれば良いのに。ほら!『休息の秋』とかね!


            次回「ーー秋旅行ーー」

ちょっとでも先が気になる!おもしろい!と思いましたらブクマ、感想などしてもらうとモチベになりますm(__)m

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