第9話 ーーサンタさんーー
「ふぅぁ〜〜〜」
朝。クリスマスの翌日。外は丁度良く明るくて、まだ寒い。僕は起き上がって着替えようと準備するが、
「うにゅ?何これ?」
一つの物が目に入った。緑色の箱がリボンで装飾されている。振ってみると中からガタガタ何か入っている音がする。
「開けて良いのかな…でもケルトさんに言った方が…でも…」
何か分からない僕は開けるか戸惑っていた。しばらく悩んだ挙句僕は開けることを決意。リボンを解き、箱を開ける。
「?えーっと何だっけこれ。あ、そうだ!スノードームだ!」
入っていたのはスノードーム。中に赤い屋根の家があって振ると雪が降る。何でスノードームが入っているのかと言う疑問と共に僕はケルトさん達がいるリビングに向かう。
「おはようございます!みなさん、朝起きたらこんな物があったんですけど…」
「おはよ、イリウス。何だそれ?スノードームか?起きたらあったってどゆことだ?」
「起きたら置いてあるなんて事あるわけないだろう。誰か置いたんじゃないのか?」
「俺は何も知りませんけど」
場が沈黙に包まれる。
「待て、誰も知らないのと言うのは本当か?」
「「はい」」
「け、気配はせんかったのか?お主ら常に張ってあるだろ?」
「特に何も…」
「音もしなかったしな…」
「分かったです!」
僕が急に大声を出したせいでみんなビクッとする。
「きっとサンタさんです!サンタさんは良い子の所に来るんです!」
「な!そんなはずないぞ、サンタは架空の存在だ!実際にいるわけ…」
「でもローディアは色んな世界と繋がってるんでしょ?どこかにサンタさんも居るかもしれないよ?」
的確なツッコミをしてしまった。それもそのはず、この世界は本当に色々あるんだ。サンタさんぐらい居たっておかしくない。
「それを言われたら…そうだな…」
「仮にサンタだとして、俺らが気付かないほど気配を消せて、家に入る時もプレゼントを置く時も音が出ないとなると相当やり手だぞ」
「サンタとはそこまで強いのか…是非一度手合わせを願いたいがな」
「サンタさんに変な想像しないでくださいよ…」
クリスマス後の日。謎のプレゼントのせいで僕の家内でサンタ事件が突如発生したが、分からずじまいで幕は閉じる。僕は貰ったスノードームを机の上に丁寧に飾っておいた。
一方その頃
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「そういえば世神様よ。昨晩留守にしていたようですが<仕事をサボって>何をしていたんですか?」
「あーえっとだなー?小さな子供に夢を配っていたんだぞ!」
「つまりは?」
「イリウスにクリスマスプレゼントを渡してきました…」
「なっ!自分が何をしたか分かっているんですか?人間への過干渉は調律を乱す!仕事のサボりは世界を壊す!」
「ちゃ、ちゃんと気付かれぬよう置いて行った!干渉自体は行なっておらん!」
「そんな事したらイリウスの家族が困惑するでしょう!?何やってるんですか!?」
「仕方ない。これもあやつのためだ」
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どうやら神様からのプレゼントだったようですね。