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星降る夜の果て

私は中学生の頃部活で帰りが遅くなり、真っ暗になってしまったときがあった。

空を見ると、西の方も真っ暗で星がきれいに見えていた。

街頭が、わずかに照らした足元を見て歩く。

ドン!

前を見ていなかったので、誰かにぶつかってしまった。

「あっすみません」

顔を上げると、電柱で、まるで漫画のワンシーンみたいなことをしてしまった。

 少し遠くから、笑う声が聞こえる。

「美桜ちゃん何してるの?ははは、ちょっ面白すぎ」

優ちゃん!?恥ずかしい…

 いやでも逆に、見られたのが優ちゃんでよかっただろう。誠人先輩や知らない人だった場合、とても恥ずかしくて死にたくなっていたかもしれない。

「もう!優ちゃんそんなに笑わないでよ!」

でも、よかった。こんな暗闇を一人で歩いて帰ると思うとかなりしんどい。

「よかったぁ、私一人で帰ることになると思って、めっちゃ怖かったんだよ、美桜ちゃんもそうでしょ?ねーねー」

まぁ、はいそうですけども

「今日天気悪かったけど夜にかけて晴れていったからよかったよ」

空を見上げると、それぞれ瞬きをこちらに見せ私たちを魅了する。

「ねぇ、美桜ちゃん今日流れ星がたくさん流れるんだって、一緒に見に行かない?」

流れ星なんてさいきんは滅多に見かけないもっと小さい時、幼稚園生くらいの時にはよく見かけたが

いまでは、下や、前ばかり見て、夜空を見上げることはあまりやらなくなってしまった。

「いいね、行こうよ」

田舎の、この村には山なんざそこら中にある。

私は、山に向かう途中に家があるので、寄ってから行く。

「望遠鏡取ってくるね、あと寒いからカイロも持って来るよ」

家の戸を勢いよく開け、ダンダンと大きな音を立て階段を駆け上がり、部屋の戸を壊すくらいの勢いで、開ける。

クローゼットから、大きな箱を取り出し、中から望遠鏡を取り出す。昔はよく天体観測もやっていたのだが、さいきんはめっきりやらなくなって箱が、ほこりをかぶっている。

一階から、カイロを取り、玄関に走る。

とても、ワクワクして落ち着いていられない。

「お待たせ、行こうか」

「早っ!めっちゃドタドタ聞こえたけど」

えっ…誠人先輩…

「美桜ちゃん、そんなに楽しみなんだね天体観測。僕も一緒してもいいかな?」

なんで誠人先輩がいるの!って優ちゃんに視線を送るけど知らんぷり…まさか呼んだ?そんなわけないか

「もちろんです、今日はオリオン座がきれいに見えるかなと思います!」


「ちょっと、美優ちゃん歩くの早い!まってー」

やば、誠人先輩も置いていってる、一緒に歩きたいのに…少し風が吹いてきた。

制服の、スカートが揺らぐ。冬の寒い風が足元から、私の体を冷やしていく。

山の森に入り、月明かりもない森は真っ暗で少し怖い。でも、動物の声や木々のざわめき、私たちの歩く音までしっかりと聞こえた。

「やっとついた、うわー…」

私は、言葉を失うほどの満点の星空を見た。水平線の先まで星がびっしりと並び私たちを照らしている。

あっ、流れ星

「流れ星が今流れたね。今日は流星群後見えたりするのかな?」

そうかも知れない

私は、夜空のさらに遠くに、私の父の姿が見えた気がした。

でもそれは、星降る夜の果てのこと

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