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銀嶺の声音

今日から、普通に仕事が始まる。お正月が終わると、いつも通りの日常が始まる。今年は里帰りはせず。優ちゃんの部屋で、一緒に年を越した。私は初めて、年越しを起きて迎えることができた。

けど次の日かなり疲れた。その疲れを引きずったまま、私は会社に向かう。

 優ちゃんと一緒に、部屋を出ると、外は静かに雪が降っている。

 今日は、とても冷え込む。体の芯から冷え、体を震わせてしまう。

指の第一関節まで積もった、雪道を歩いていく。サクサクと、踏むと気持ちがいい感触と音。

 雪が降ると、冬本番ということを実感する。

「昨日から、だいぶ雪積もったね。ちょっと楽しい」

優ちゃんが、歳に不相応なはしゃぎ方をしていて、かわいい。

私たちのマンションの向かい、の部屋の誠人君を待つ。

 誠人君は、温かそうな服装で出てきた。服のセンスは中学生のころからとてもよかった。かっこいい

「待っててくれたのかい?ごめんね、ちょっと準備に時間かかっちゃった。雪が積もってる!ワクワクするね。さ、行こうか」

いつもの街が、一面雪化粧をまとい私たちの会社のある山も銀嶺となり、生き物の声音も聞こえない。

ただ聞こえるのは、私たちの足音だけだ。

「今日は、なんだか静かですね。何の音もない」

「そうだね、静かだ」

銀嶺の、ふもとに誠人君の会社が見えてきた。寒さに、窓が曇り中が見えなくなっている。

「じゃ、僕はここで。山、気を付けて上るんだよ。じゃぁまたね」

山を登り始めると、雪が木陰から入る、わずかな光でもいつもよりも明るい。一面真っ白な、道を歩いていく。要所要所滑るところもあったが、険しい道ではなかった。

 山頂に着き会社の門を開ける。冬の金属は氷よりも冷たく感じ、雪をかぶった重たい門を冷たい手で開けていく。

 やっとの思いで、開け終わり背中の方を振り返ると、水平線の先の雲を抜けた太陽がこちらを明るく照らしていた。見下ろす町は、銀色の世界から一面、太陽のような白さに変わっていった。

 とうとう、私のいる山も銀嶺から一面白色の雪嶺だと自覚させられていく。

冬半ば、雪萌ゆる、静けさの中に。

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