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機械仕掛けのリフレイン  作者: リリー
リフレイン
6/14

コーラ

「ほい。」


 いつもの公園に寄り、喉が渇いたので、自販機でコーラを二つ買い、その一つを渡してベンチに座る。


 先にぷしゅという音がして、リフレインは、ぐびぐびと喉を鳴らす。


「コーラはうまいな、君。今日は君を拘束した。明日は自由にしてやろう。」


「リフレインは明日、用事でもあるのか?」


「特にないけど。でも、最近、集会の召集が多くて。今日はないことに賭けたんだ。賭けの結果は勝ち。」


 定例的な会だった筈なのに、その頻度は増えていたらしい。どうやら俺が学校に行っていた間に行っていたみたいだ。予定が入る可能性が常にあるのは、暇とはいえない。そうか、リフレインの気は休まっていなかったんだ。今日は貴重な一日だったんだ。


「なあ。聞いて良いか?」

「なに?」


「何を話しているんだ?その集会は?」

「うぃーーん。」


「まあ、そうだよな。」

 やはり誤魔化された。


「・・・あ、待って。」


 リフレインが足をぷらぷらさせながら、少し考えて、ぴたっと動きを止めて何かを思い付いたようだった。


 そして、すぐに砂に足で文字を書きだした。地面も見ずに器用に。


『スナデカイタコトハ↓』


 そう書き終わると俺が読んだのを確認してから、リフレインは、ざっざっと足で地面を擦り、土をかけて文字を消した。


『コウガイシナイデ、ワタシニモ↓』


 ざっざっ。


『キミハナニモ、ハンノウシナイデ↓』


 ざっざっ。


 紙に書かないのは・・・そうか、そういうことか。だめなんだ。リフレインは見てはいけないんだ。彼女自身が今書いたことを。口外しないで、反応しないで。そう書かれた砂の文字。すぐに消すことができるので証拠も残らない。


「君、コーラでも飲んでて。」


 リフレインがさっき飲んでたコーラを渡してきた。


「自分のがあるよ。」


「一本残せばあとで飲めるから。お得。」

 

「随分と合理的・・・なのか?」


「ロボットだからね。」


 リフレインがこっちを向きながら、下を指差す。続きを書き終わったみたいだ。


『シュウカイノナイヨウ↓』


 ざっざっ。


『ロボットニオケル。ニンゲントノセッシカタ。』


 ざっざっ。ざっざっ。


 集会の内容。ロボットにおける人間との接し方。なんだ、そんなことをやっているのか。


 今までなら、うぃーーん、で終わりだったのに、初めて内容を教えてくれた。紙に書けばリフレインは自分の文字を見てしまう。足で書いた砂の文字までは想定していないということか。


「・・・今日はありがとうな。砂場は楽しい。また来よう。」


 リフレインは特定の質問には答えられないんだ。監視までされているのか?予定が急に入るだけではなく?誰か分からない存在に憤りを感じたが、それを押し殺して俺は平静を装い、リフレインにそう言った。


「そうだね。また行こうね、君。」


【コーラ】

甘い。しゅわしゅわする。

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