暖炉には抜け道がある、そしてパスワードと黒歴史は忘れがち
都市伝説級の定説で、暖炉や食器棚には隠し通路を置きがちだ。まあ、自分調べ、細かい事はいいんだよ。
私はジーコ。とある会社の事務員から、転職して社長秘書になった女だ。
社長のマヤは金星人だと寒いギャグを連発するけれど、とても人が良い。大企業の会長令嬢との縁をきっかけに、成り上がった女傑だ。
たださ、急速に発展すると妬む恨む輩は当然湧く。こんな地方の都市にまで、国際問題に発展しかねない事件を起こすなよな、そう言いたい。
「駄目ね。某国のエージェントに囲まれてる」
冷静な私の相棒の黒いコスモスこと黒里桜子は、こちらを伺う視線に勘づく。
「会長令嬢はオカルトおたくで厨二病だから、抜け道があるはずだよ」
雪山の山荘の設計主は、そのためだけにこの山荘を作ったと言ってもいい。
「日が暮れるまでが勝負ね」
それは日暮れと共に踏み込まれるとの桜子の予測だ。私もそう思う。
「今度はどこにちょっかいかけたのさ、マヤ社長は」
「近海の取引きを断っただけだって」
商売上のトラブルか。まったく某国は面子に煩いこった。
「ジーコ、暖炉にあったよ」
少しは捻れ。でも逃げられそうだ。某国の密偵は、私達を捉えて取引にマヤ社長を引きずりだすつもりだ。
以前にも関係者の息子が狙われた。
「ねぇ、パスワードあるけど」
暖炉の中の扉を開くには、パスワードが必要らしい。時間もなくて危機なのに。
「入力は何? 数字? ワード?」
「恥ずかしい思い出を語って下さいって表示されてる」
あのアホ会長令嬢め、嫌がらせだ。これ、彼女に繋がって聞こえるんじゃ?
「よぅし、なら話してやる。会長令嬢はわんこのように懐く……」
全部ぶちまける前に開いた。せっかく新人の桜子に恋バナ聞かせるチャンスだったのに。
「犬がどうかしたの?」
「触れなくていい。拗ねると面倒だからさ。それより逃げるよ」
聞いていたって事は、マヤから情報届いているってことだ。
トラブルと変人ばかりだけど、面倒見の良い会社だよ。
――――日はすっかり落ちて、あたりは暗闇に包まれていた。
私達が雪山の山荘を脱出する頃、某国の密偵が痺れを切らして踏み込む。
ドカン!!
お腹に響くくらいの爆発音で山荘が吹き飛ぶ。
「うん、あれだ。お約束通りなら爆発するよね」
それと自然界には掟がある事を、アホな会長令嬢とマヤ社長に叩き込む必要がある。
「逃げるよ、桜子!!」
爆発に反応し、雪崩が発生した。私達は生命からがら雪山の山荘から脱出出来たのだった。
お読みいただきありがとうございました。この物語は、なろうラジオ大賞5の投稿作品となります。
あらすじにも五年とコスモスのワードは使いましたが、タイトル、本文に入っていないので一応除外しました。
某国のエージェントがどこの国で、あの後どうなったか、それはご想像にお任せします。
バディものの応募がまたあるようでしたら、このバカバカしい作品から誕生した二人で物語を書きたいなと思います。
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