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黎明旅団 -踏破不可能ダンジョン備忘録-  作者: Ztarou
Act.1 The First Complex
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第36話 装備②

 ロアとセナは観測船マゼラン南方──船尾側の事を言う──の地下13階に向かった。マゼランはメインデッキを地上階として、それ以下を地下と定義している。


 地下13階は本義の地上から見ればちょうど同じ高さで、北の秋葉原サイドからは旅団と各種交渉や取引を行うビジネスマンが、南の渋谷平原側の基地では研究都市、渋谷大市場との接続がされている。


 ちなみに停泊中は船尾のゲートが一般開放されている。これはあくまで黎明旅団が人類の味方であるというアピールなのだという。


「まあ、一見すれば武装して超法規的な動きをする組織ですからね。そのあたり、シリウスやポップコーンが特に気を使って色々やっているみたいです」


「シリウスも?」


「あの人、あんな顔面凶器していますが、マゼラン中央こども園の副園長ですからね」


「ぶっ」ロアは噴き出した。


「しかも意外と子どもたちに人気っていう。世の中分かりませんね」


 ふたりは笑いながら、廊下を進む。


 ロアとセナは暗く鉄臭い領域に足を踏み入れた。

 金槌や回転工具の音が響く。そここそが、黎明旅団の探検家活動を裏から支える南方大工房だ。


 工房にはコンピュータエンジニアから装備工匠、服飾デザイナー等技術職の人間が、ソフトかハードかを問わず在籍している。道具の購入、依頼、リペアも請け負う道具の総合窓口だ。


 ロアは物めずらしい道具や修繕中の逆理遺物を見て目を輝かせた。それを見ていたセナは面白かった。ロアという人間は基本的に堅物で、滅多なことで表情が動かないのだ。だが、好奇心があるという点に於いては、彼もまた立派な探検家というわけだ。


 セナが先導して向かったのは逆理遺物の修繕転用品の販売スペースだ。


「ロアはどういう戦術装備があったら嬉しいですか? もちろんあの棒でもいいですが」


 ロアは並んでいる不思議な遺物を見て頭を悩ませる。


「そういえば君の持つコンパスも逆理遺物(パラドックス)だ」セナの胸を見るロア。

「ええ、母の形見なんです。《導く羅針盤》と言って、所持者に必要なものを指すのですが」


 セナはその針が今もロアの方を向いていることに気が付き慌てて手で隠す。


「?」

「あっいえ、たぶん壊れているんです、これ」


 まあいいかとロアはまた物品の物色に取り掛かった。セナは羅針盤をジャケットに隠す。


「この『カタナ』というのはどうだろう!」

「アマハラの伝統的な剣ですね。かっこいいですが、ロアっぽくはないですね」

「僕っぽいとは」

「なんか、ロアって遠くから攻撃する卑怯な感じ」


 セナが真剣に言っていることに、ロアは傷つき泣きそうになった。


「これなんてどうです?」セナは一際大きな銃を手に取った。


 すると──。


「なるほどなのだ。対物スナイパーライフル型逆理遺物(パラドックス)《エンドレスホープ》、とっても良いのだ。ボクの友人のファティマもエンダーシリーズの所有者だけど、エンダーシリーズの良い所はなんといってもその靭性なのだ。ありとあらゆる衝撃を吸収するので、威力が青天井になるという所が特に素晴らしいのだ! ボクも自力で作ってみたいのだ」


 ふたりの間に飛ぶドローンが唐突に話し始める。


「エニグマったらモノのことになると饒舌だよねぇ。そういうのオタクくんって言うの?」


 ドローンの隣にいた女性がやや甘ったるい声でそう言う。つなぎにタンクトップで、大きく開いた胸元を気にする様子もなく、なんならそのままロアの腰に腕を回した。


「黙るのだ。色ボケ女にとやかく言われたくないのだ」


 セナは女性の方をぐんとロアから引きはがし、それから咳払いして改めて話す。


「色ボケマチネ!! 引きこもりエニグマ!! 久しぶりですね!」


 セナの知り合いだろうか? にしては散々な言いようだが……。それでも、ロアは黎明旅団に新たな知り合いができるのを楽しみに、セナの紹介を待つことにした。

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