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中身がおっさんでも、見た目が聖女なら、まあそれはそれでいいんじゃね?  作者: ミマス
聖女になってしまったおばさん
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聖女、聖女を見る。

ここからは聖女サンゴの視点。


何かがあったけど

何もなかったその日の後

馬車は進んだ。


数日が過ぎたある日、馬車の外から誰かの呼ぶ声がした。


「クリス!緊急に城に連絡をたのむ」

「はい?ボッキフーデン様?どうかしました?」

「死の王だ。 フンジャク領の帰還中、ツコーミの森で王の痕跡を発見。我々はオーサッカに向かう」

「分かりました」


またあれか

死の王、黄色い死。


ツッコミの森から大阪…いや何か違うね

ツコーミの森からオーサッカの方面へ…

…まぎらわしいわよ!


とにかく、危険だから回り道をするって事だね。


しかし、物語は主人公を逃がさないもの

我々にも当たり前のようだった。


我々の前に現れたのは-


「前方にオークを発見!身体に黄色い膿を確認!死の王です!」

「くっそ!」

「前方のオークたちが我々に向かって接近中!」

「全員!防御隊列を広げろ!大楯と槍は前に!聖女様を守れ!死を恐れるな!」


馬車の外から聞こえる声、ボッキフーデンだ。


黄色い死に侵されオークが近づいているらしい


「聖女様たちはけっして馬車の外に出ないように!」

馬車の外から騎士の一人の声が聞こえて来る。


怖い

あれだ、あのやつだ。残った味方のために怪我した味方を殺したあれだ。

怖い。


避けられない死―とか、仲間だった人が敵になってまた仲間を襲うとか…

B級ゾンビ映画もこれよりはましだろうが!


そもそもそんな危険な者が出る森とか、通らないでよ!怖いじゃん!


怖い

死が怖い

もちろん自分死は怖い。


死ぬのも怖いけど、全身から黄色い膿を流しながらがら死ぬのはやだ!

仲間だった者の手によって燃やされたくない

仲間だった者を燃やしたくない。


私を守るため戦った者が仲間に殺される事が何より怖い。


「じゃあ、いよいよ私のタ~ンですな?」

ノリだった。


は?何言ってるの?あなたが出て何ができるの?

「ノリさん!?何をおっしゃっているんですか!外には死の王が!」

「むしろあなたこそ何を言うのですか? あなたたちが私を訪ねてきた理由が“あれ”ですよね?」


「あ」

「あ」


そういえばそうだった。


ここに死の王を追い払う聖女がいるという噂

それがノリだった。


ノリは堂々と馬車のドアを開けて外に出た。


「ノリ様!ここは危ないです!今すぐ馬車の中に戻ってください! 今すぐ出発しなければなりません!」

馬車の外からの兵士の声。


そして

「あ~そんなのいいから、ぱぱっとやっちゃってささっと戻りますから」

「は?」

ノリの言葉が理解できない兵士の気の抜けた声。


私の方を見ないでください!私も知りません!

けれど、


何か見たくなった。

死の王を追い払う巫女の姿を。

堂々と死の王に向かう聖女を。


本当に可能なのか?

あのノリが?


気が付ければ私はノリと一緒に隊列の正面に向かって走っていた。


そんな私たちの後ろでは

「エリカちゃんはどうしますか~?ママと一緒に行く?ここで待つ?」

「あい~」

「ママと一緒に行くんですね~」

「あい~」


おいクリス、お前の妹、頭おかしいわよ?色んな意味で。


隊列の前

聖女を守る兵士たちの前に、ゾンビのようなオークたちが立ちはだかる。


その数7


巨大な盾と長い槍を持ってオークを迎える準備をしている兵士たち

そして魔法使いたちは火炎の魔法の準備をしている。


そして、側面の森から現れるゴブリン。


彼らの身体は死の王の痕跡が表れている。


「クアアアアアア!」

「キエーエーエー!!」


「な?!森から多数のゴブリンが出現!全身に黄色い膿を確認!」

「くっそ!魔法使い!ゴブリンの方をたのむ!」


前のオーク、 側面のゴブリン

後ろには守るべき聖女


ボッキフーデンは死を覚悟した


「クルルルッ、キエッ、カアア!!クッカ!カ!!!」


「ゴブリンの数、15!」

「魔法使い!火炎魔法は?」

「もうすぐ!後10秒!」

「それじゃ遅い!俺が出る!」

「おい、お前には!」

「だまれ!俺が一番早い!」


盾がぶつかり合い,低い音を立てた。

槍の端が揺れる。

誰も前に出ることができなかった。


「……あと、8」

魔法使いの声

迫り来る死

兵士たちを盾に騎兵たちだけでも後ろに送ったら聖女を逃がすことができるだろうか

ボッキフーデンは聖女と愛する人のために覚悟を固めた。


「くそ···…」

誰かが一歩後ろに引いた。

それを誰かが止めた。


「まだ5」

遅い

皆がそう思った。


そして、そこにノリがいた。


「ボッキフーデン様!」

「クリス!? 聖女様!? なんでここに! 早く馬車にお戻りください!」

「あ~そんなのいいから、こう見ても私も一応聖女だからな?私の目の前で私の許可なしに勝手に死ぬのは許さないんだからな?」

「何を仰っているんですかノリ様!クリス!早く聖女様たちを馬車に!」

あまりにも堂々と兵士たちを押しながら前に進むノリを見て兵士たちは慌てた。


ゴブリンとオークさえも慌てるような気がした。


オークとゴブリンと兵士の間に止まったノリは言った。


「私は聖女だ!誰でも死ぬときは私に許可を取ってから死ね!」


ノリは大きく息を吸って


両手を上げて


「キレイニナレヨアホタレ!」

大きく叫んだ。


そして、ノリの両手からの強烈な光があふれ出した。


「クアアアアアアア! 目が!」

「アアアアアア!目がああああ!」

「アアアアアッ目が!目が!」


ノリを見ていた者たちは皆、目を閉じて床に転がった。


それはまるで目の前で閃光弾がはじけたような光だった。





暫く時間がすぎて


目の痛みが消え始め、一人、また一人と前の方を向いた。


そこには、両手を上げたままのノリが立っていた。


そして彼女は

「痛いの痛いの!すべて治りなさい!!!」

と叫んだ。


再び、彼女の両手からの強烈な光

そうだ、二番目の閃光弾だった。


「ああああああ!!!なんでええええ!!!」

「またかよくそがああああ!!!」

「あああああ!!!目が!!!目が燃えるううううう!!!」


正に天丼。

阿鼻叫喚の天丼であった。


「迷惑行為やめろばか!」

この兵士たちは、私たちを守るためにここにいるんだよ。


馬鹿が!

私は思った。

こいつはあほだ。馬鹿だ。ぼんくらだ。


そう思うながらゆっくりと前を見ればそこには

ノリがいた。


ただ一人、その場に立っている彼女は、倒れているゴブリンを見ていた。


「お前らはもう大丈夫だ。安心しな」

「に、人間の女……お前は、以前の……」

「そ、その時はありがとうね?皆はどうなった?」

「死の王に、食われた」

「そう…」

彼女はしばらく空を見た、そして今度はオークの方を向いた。


「お前らはどう?立てそう?」

「…ワ…イ…」

「…わ、い? わ…い… ま、まあ…今は休んどけ。」

彼女が優しく話しかけるとオークたちは眠りについた。


え~? 嘘だろう?

彼女が本当に聖女に見えるんですけど~!?

え?なに?後光?後光が見えるんですけど~?


ワアアアアアアア!!!

森が揺れるほどの喊声が響く。


「聖女だ!!!」

「聖女様が死の王を打ち払った!!!」

「奇跡!!!」

「彼女が黄色い死を治した!!!」


その場にはもう黄色い死はなかった。

その代わりに奇跡と歓喜だけが残った。


その日の晩飯の後、

私たちの前にはオークとゴブリンが一匹?一人?ずつやって来た。


話をするメンバー(?)は次になる。

オークとゴブリン、私、ボギー·フー·デン、クリス、

ノリ…と、たしか…“ドレミファソラシド”って言ったっけ…?

変わった名前の女性とエリカ。


正直、私がいなくてもいい気がする。


だって何もやったことないもん

あと、エリカは赤ん坊だろう?

オークは先に言った。


「ウィー アー フーブズ サンズ、オークス オブ ザ ディープ フォレスト。ワン デイ、ア デス ドラゴン ケイム アンド ブロート デス ウィズ イット。モースト オブ アワ ピーポォ ダイド、オア ターンド イントゥ ワッ ウィー アー ナウ。ウィー フレッド フロム ザ キング オブ デス、バッ アワ レッグズ フェイルド アス。

ディーズ ゴブリンズ サファード ビコーズ オブ アス。ウィア ソーリィ。ウィー ワナ セッ トゥ シングズ ライト」

…………

皆、反応に困ったように視線を交わした。


「あ…。オーク、言ってる。死を、ばらまくドラゴン……来た。たくさん、死んだ。逃げた。でも……だめだった。それで…悪かった。」

ゴブリンが通訳した。


話をまとめればこうなる。


オーク:死を振りまくドラゴンにやられた。ゴブリンには迷惑をかけた。すまない。

ゴブリン:あれは仕方ない、ゆるすよ。

ボッキフーデン:そのドラゴンの特徴を教えて。

オーク:頭から尾まで細長い。六本の脚と二対の翼膜。二重に裂けた顎と、左右に八つずつの眼。

ボッキフーデン:まさか、ゴレゴリウス

ノリ:私が何とかできる相手なの?

エリカ:あうあ~あばあば~

ノリ:そっか~今はまだ無理か~


私?……酒と肉はおいしいかったよ。


そして、二日後。

私たちはオーサッカの門を叩いた


お、お久しぶりです。

............本当に···はい。

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