やはり筋肉
召喚されてから何日が過ぎた.
俺の泊まっている部屋に来た客、 王子様、 うん、王子様。 俺をここに 召喚 してきたやつ。 何?王子曰く。 俺と話がしたくて来たんだって。
「それで?王子様、お…私は理財からどうすればいいんですか?」
「どうやって?って? 君の生活は私が保障してくれることにしたと言ってなかったか」
「ああ、それは覚えています。 今後の私の生活は王子様が保障してくれた。 ってことは」
「君は心配しなくていい」
「つまり私はこれから何もない部屋で一日中ぼんやりと空だけ見ながら部屋の置物になってもいいとおっしゃるのですか?」
「何言ってるの?」
「つまりこれから私はどこで誰と何をして暮らせばいいのか。 というものです。 少なくてもある程度は分からないと私も心の準備ができません。 衣食住が保障されるとしても、監獄で一生使うことも、王座に座って天下を号令することも、衣食住が保障されるということに変わりないでしょう?」
「あ…あ…詳しい説明をまだしてないんだな。 すまないね」
「それで、私はこれからどうやって生きていくのでしょうか?」
「……うーん……一応本来なら。 意識は失敗して誰も呼ばれないことが我々が想定していた状況だが」
「あ`?」
「あ`?」
「いや…7万6千5百年前に一度だけおこなった儀式なんでしょ? 私たちもちょうど可能な状況になって実験のつもりで行った儀式なのよ?」
「あ`?」
「もし意識が成功して聖女が召喚されるなら、この国には彼女の立場とかは全然ないから、一応召喚責任者である私の嫁にしてでも…ね」
「……つまり」
「つまり本来君の立場は私の嫁候補だった。 ってことなんだけど」
「.......................... 悪夢かな……」
「現実だけど」
「王子様は私みたいなおじさんを自分の奥さんとして迎える気が…」
「ないよね!あるはずが。 男だろ?」
「当然男が呼ばれる状況は全く想定していなかった。 と」
「うむ。 全く」
「おして。くわしい話の前に一言言いたいだが」
「え?」
「言葉を少し楽にしてくれないか。」
「え?なんで? まさか不敬罪で処刑…」
「そっちのほうがよければ」
「そんなはずが」
「まあ、詳しいことは後で話すけど、君の立場と関係があるし。 君には迷惑だし、僕の個人的な理由もあるんだけど、まあ、なるべく気楽に話し合いたいな」
「えーと…お望みなら」
「それじゃあまず質問だが」
「はい?」
「君は向こうの世界でどんな立場にいるのか?」
「エリートニット?」
「いや、それじゃない。 君の社会的地位、すなわち階級に関することだとか。 君の世界での君の立場とか」
「うーん、ただの平民ですね。 どこにでもころころ転がる。いやそもそも階級がないから平民というのも変かな?」
「階級がない?」
「はい。基本的には階級がないですね。 まぁ、階級に代わるものはあるんですけどね」
「それは何だろう?」
「お金。」
「お金…」
「はい。お金が多ければ偉い人、お金がなければ貧しい人、お金が多ければ罪を犯しても無事だし、お金がなければ罪がなくても罪が生じるでしょう。 お金が力でお金が階級ですね」
「…ん…お金に関してはここと大きく変わらないような…」
「人間はどこへ行っても人間ってことなんでしょうね」
「うーむ、とにかくわかった。 君は平民というわけだな」
「はい そうですあっちこっちどこにでもころころの平民です~」
「…そうなんだ まあ分かった。とりあえず…君の体はちょっと不格好だな」
「アン?」
なんで急に文句を?
そりゃ、お前みたいな筋肉の塊に比べれば格好悪いけど、俺も俺なりに…。…いや、見た目はよくありません。 はい、存じております。
「筋肉を作ろう!」
「あれ?いきなり···。やっばり…あなた脳筋...」
…うん?それで? 私の生活に関する話は?
頭痛い