一応ついてはいる
「どころでさぁ…?」
部屋の片隅に何か…ドレスとか立っているんだけどね…あれ…あ…どう見ても服でしょ? ドレスでしょ?ピンクに白にゆらゆらとかわいい…そして今この部屋にいる人は俺一人… あれ…誰が着るために持っていったの? まさか…ね?
部屋の片隅にあるドレスをにらみながら意味のない悩みをしていると,ドアからノックの音が聞こえた
「どちら様ですか?」
「ケイ様アルフォンス王子殿下がいらっしゃいました」
「Oh~welcomoncomon~」
「君はまた何を言っているんだ?」
そのままドアを開けて入ってくるアル、こいつやることないのか? 王子だよな? だいぶんよく見るような?
「どうされました? アルフォンス様? まさかもう少女の顔がそんなにプッ」
帽子は帽子掛けにかけておけ!投げない!こら~
「その顔でそんなことを言うと気持ち悪さの度合いがさらに強くなるな、鳥肌が立つな!」
「うるさい!そしてさあお前の帽子」
「うむ」
「それで?なんでまたごこ…ごほん、今日はどゆう理由でこちらへお出かけなさいましたか王子殿下?」
「だからそんな言い方やめなさいって言っ…うおお?」
後ろを振り向いたアルの目に映ったのはたぶん氷のような冷たい表情でアルをにらむマリアンヌさん、俺は首を回して見えない 見えない 見えない
マリアンヌさんの目つきがすごく怖い まじでびびった…
「あなた」
「マ、マリ!」
「あなた」
「ちょっと待って! 用件だけ伝えて戻る!」
「あなた」
「すぐ!すぐ終わるから!」
「それでは早く伝えてください さぁ 10 9 8」
「あ、わかった! さあ、ケイ、明日あの服を着てお父上に会いに行くことになった!」 6 5
と、さっきのピンクのゆらゆらドレスを手で指差しながら話し出すアル
「お伝えすることはすべてお伝えしましたか? それでは行きましょう」
と、アルの首を引っ張るマリアンヌ様、おぞましいやおぞましいや.
「あと4秒のこったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
………
行った…な
…
え?
今なんて?
明日、あの服を着て、お父上に、会いに、行くって?
…………………………………………………………………
明日?あの服(ピンク、白、ゆらゆら、ゆらゆらのドレス)を着て?
父上?(…国王?)に会いに行くの?
明日?
あのピンクと白を基調にしたふわふわゆらゆらのお姫様風のドレスを着て?
アルの父であり、この国の国王を?
会いに行くの?
明日?
明日?
おい!アル!戻ってきて! 説明して!! こらああああああああ!!!!!
そしてドアの外から入ってくる 数人のメイドの皆さん?
「説明はお聞きになったでしょう? 準備しましょう。」
「さあ! さあ! さあ! さあ! 腰を伸ばして!!! 肩を伸ばして!!! あごは何をするんですか! 視線が揺れますよね? 国王の前で恥をかかされたいということですよね?」
「うぎっ うぎゃ」
「姿勢が崩れます!」
くっそ…部屋の中に押し入ったメイドたちの手に強制的に服を着せ替え…
鋼材脱衣に鋼材…コルセット…死にそうだ息苦しい…
コロセットのせいで息をするのも苦しいのに、なぜ俺はドレスを着てあのおばさんの指導のもと、 歩き方から…明日国王の前に立つというから 死ぬ覚悟で練習します、 知ってます、知ってますよ、知ってますから、くっそ!で、どうして女の服なんだよ! 俺、まだ男だよ! まだぎりぎり男ですよ!
「グヘッ……グエエエ……グ…うん…」
「変な音を出しません! 早く起きてください!」
「うぅ…ちょっとだけ吐きそう…」
「また飲み込みます! 淑女は吐いていません!」
「俺は淑女じゃない…ううっ」
吐くのは生理作用なんだよ! くっそ! お前こそちょっと淑女らしい言行をしろよ!! そして俺は淑女じゃない! まだ男だって! ううっ…
「不思議な目で見向きません! ここで苦労して明日を越しますか? ここで気楽にいて、明日は多くの方々の前で恥をかきますか?」
……………あの…アル…俺、そろそろ楽になってもいいんじゃない?
「うぅ…くっそ…なんというざまだ…アルめ…」
無理に席を立って…おばさんを見る
「では最初からやり直します、ドアの前に立って入場から!」
今何時間すぎたかな…どうして俺にこんな試練をくれるの?おいアルさんよ…こいつ本当にいつか…ころ…ううっ…吐きそう…
* *
「あなた、余裕が溢れていますね」
「いや、マリアンヌ、あいつにも 時間をくれないと」
「時間は今でも十分です あなたがサボりさえしなければ」
「私のサボりと何の関係が…」
「は?」
「申し訳ありません」
「さあ、あなたの仕事です、 私にできることは全てしておきましたから、のこりはあなたの仕事だけです」
「はい! ありがとうございます!」
「お手、止まってるんですよ?」
「あ、はい」
奥さんの前では頭が上がらないのが、男という生き物なのか? 書類の束を手に持ったマリアンヌの前で限りなく小さな男は書類とにらめっこをする、 夜が更けるまで
「そういえば、ずいぶん若くなりましたね、彼女は」
「あ?彼女?」
「ケイです、そして手が止まりました」
「まだ男なのに」ごしごし
「あら、そうでしたか? 完全に女にしか見えなかったですが」
「ああ外見は女なんだけどさ、一応ついてるんだって」 すろすろ…かきかき
「うん…でもこのまま変わり続ければ、後は完全に女になるかもしれませんね」
「本当に… 一応ついてるというのに胸はチラッと出て、 身振りもちょっと女らしくなったな」
「手振りとか身振りとか、私を見て驚いたときとかね、 ベッドに座っている時自然に女の子のように座っていました」
「このまま女になるのか女らしい男として残るのか気になるんだけど」
「手が止まりました」
「あ、すみません」ささっ
奥さんの前で顔を上げられない男アルフォンスは今夜書類とにらめっこする
「…このまま完全に女になったら…準備しておかないとですね」




