プロローグ
バシャン!!!
「キャアア!」
「あら、頭からバケツを被って、全身ずぶ濡れじゃない、王族としての自覚はあるの?」
軽蔑するような視線を、口元を扇で隠して、どこか愉快そうに第一王女のセクアナは私を見下ろした。
久しぶりに偶々廊下ですれ違っただけ、それなのにあちらにはお付きの騎士やらメイド、貴族の取り巻きがぞろぞろ。
私には一人の侍女…。
あまりの顔ぶれにビクビクしながら額を床に擦り付ける勢いで頭を下げている。
私はたまたま廊下の掃除をしていたメイドの持っていたバケツを頭から被せられてビショビショ。
転ぶようにわざと足をかけたの見てたんだから。
私は一応第二王女なんじゃないの?
必要とされてないって事は薄々感じてたけど、まさかこちらに来てからも実の姉にこんな目に
合わされるなんて。
「姫様、さ、参りましょう、王子がお待ちかねです」
「そうね、なんの役にも立たないあなただけど、そのままこの長い廊下でも拭き掃除してくれれば少しは役に立のではなくて?」
愉快そうに笑いながら私の横をぞろぞろと横切っていく集団。
私バケツを投げ捨てるとビショビショの髪をたくし上げた。
「…いいわよ、見てなさい、絶対に幸せになってやるんだから」
そう一人固く誓ったのだった。
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時を遡る事二週間前、私は倉 美津羽という名前の20代のOLだった。
現実でも姉に嫌がらせを受けていた私は、ずっと我慢していた糸がプツッと切れて
ある日目覚めたらこの世界の第二王女の体に転移していた。
普通の外見普通の体系、少し秀でたところがあったとしたら
普段から鍛えていたタフな体とポジティブな性格くらいだ。
早くに両親を亡くしたった一人の姉と仲良くやっていけたらよかったたのだが
姉は我儘、乱暴、自分さえよければいいというまさに悪女のような人物。
なのに外見は美人で私と似ても似つかない。
そんな姉の横暴さについに我慢の限界を迎えたのか
姉のいない世界を強く願ったらこうなっていた。