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59話・ミモザ屋敷の住人達のその後


「う。うそ……」

「何となく察する事が出来るので。義理とは言え、親子になったのですからいつかその手の話もじっくりしたいものですね」


 にっこり微笑まれてはその先が言えなくなった。説教しようとしたのが上手く誤魔化されたような気もする。さすがは元陛下。丸め込むのが上手かった。

オウロがよく「あいつの見た目は自分より遙か年下なのに、口を開けばどこぞのおっさんと話しているようだ」と零していたのはこのような裏があったのかと納得する。

 でも前世の記憶持ちはこの世界ではよく思われない。しばらくは二人きりの秘密になりそうだと思っていたのにその後、嫉妬に駆られたらしいサーファリアスから根掘り葉掘り追及されて告白することになってしまった。


 前世の記憶持ちと知られて気持ち悪がられるかも? と、思っていたらサーファリアスは受け止めてくれた。わたしが年齢の割に大人びて見えたのはそういった理由があったのかと納得したようだ。





 その後のわたし達はアマテルマルス国に渡り、帰国後挙式を上げた。

 わたしはこれでアンバー当主夫人となった。相変わらず仕事に忙しい夫だけど、どこにも寄らずにまっすぐ屋敷に帰って来てくれるし、王配となった息子オニキスもたまに里帰りして「前世」について語り合ったりして楽しい日々を送っている。


「義母上。あのミモザ屋敷が取り壊されて新たに屋敷が建ったのを知っているか?」

「いいえ。知らなかったわ」


 その日もプラッと屋敷を訪れたオニキスとたわいない話をしていた。

 義母上と呼ばれるのに初めは抵抗があったが何度か呼ばれているうちに気にならなくなってきた。慣れというのは怖いものだ。年齢だって四つしか離れてないし、どうみても姉弟にしか見えないと思うのに。

 前世の年齢だって彼の方が年上だった。その彼に母と呼ばれるのは不本意だと思いながらも受け止めてしまっている。


 オニキスはわたしがかつて暮らしていたミモザ屋敷が売りに出されたことを教えてくれていたが、今は別の者が所有したようだと教えてくれていた。

 わたしがサフィーラ帝国で過ごしていた二年間の間にミモザ屋敷では色々あったらしい。パールス伯爵夫妻は多額の負債を抱えてあの屋敷を手放すことになり、貴族社会では色々と問題があり嫁のもらい手のなかった長女のダリアは、その商人の後妻として嫁いだ。

伯爵夫妻はお互いに揉めて刃物を振り回して命を落とし、一人残ったアンフィーサは修道院に行ったそうだ。


わたしは彼らに対して思うところは無かった。それなりの罰を彼らは受けたと思うし、そこから何とか頑張って生きて行って欲しいと思う。

彼ら親子に振り回された形となったマエトロ男爵子息のランスは、王都騎士団の仲間の妹と親しくなり婚姻したそうだ。こちらは幸せにやっているようで良かった。



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